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0681・戦場へ




 Side:ロフェル



 ガラゴロガラゴロと木の車輪が回って進む。それにしてもここまで大きな馬車をよく用意できたわね。コボルトやオークでも大きいと思うような馬車じゃないの。辺境伯も何を考えてこんな物を作らせたのやら。


 もしかして戦場に出して盾として使う為じゃないでしょうね? だとしたら勿体なさ過ぎるわよ。かといって輜重の馬車としたら重すぎて牽くのも大変だし、それだけ分厚く作らないと床板とか抜けちゃうだろうし……。本当、なに考えてるのか訳が分からないわ。


 その馬車の右側を私が、後ろをミクが担当している。ミクが後ろなのは奇襲に対応しやすいのと、手助けするなら前に出れば済むからこの配置になってる。ちなみに輜重の馬車の屋根には、レティーが乗っていてそこで監視中。


 幌を張る為の軸部分に乗ってるけど、そもそもレティーは軽いから問題ないのよね。そのうえ屋根の上から魔法を連射できるし、気配に魔力と生命力まで感知できる。普通のスライムじゃないから、十二分に頼もしい。


 セリオも戦えるけど、馬車を牽いている間は装具が邪魔で動けないのよね。無理矢理に動くと輜重の馬車が壊れちゃうし。……まあ、それ以前に【竜鱗】を使えば傷も負わないから、敵が来てもねーって感じなのよ。私もだけど。



 「これだけ大きな馬車を牽いてるセリオが、一番元気でつまらなさそうに牽いてるのよねえ。他の馬や家畜は頑張って牽いてるのにさ」


 「お昼も回ったし、休憩も何度もとってるんだけどね。セリオと同じ体力と力は無いし、それを期待するのは流石に可哀想かな? 違い過ぎてどうにもならないでしょ」


 「まあ、そうよね。それだけの差があるし、そもそも比べられたくないかも。それにしても気配って何となくは分かるんだけど、敵が居るかどうかが分からないのよ。戦闘で使ってないからか緊張感も無いし」


 「それは仕方ないよ。どのみち町中でも使えるようにならないと尾行に気付けないんだから、こういう状態でも使えるようになる必要がある。だから練習としては間違って無い」


 「そういえばそうね。確かに町中でおかしな連中に尾行された事もあるし、気が抜けてる時にも使えなきゃいけないか。でも何かボヤッとした感じなんだけど、気配として分かるだけマシなのかなぁ」


 「マシじゃない? 瘴気を感知する訓練をしてなかったら、ここまで早く分からなかったと思うよ。だからこそ無駄じゃなかったとハッキリ言えるんだけど」


 「練習が無駄じゃなかったのは助かるわね。あれは瘴気だけで、気配は1からとなってたら流石に凹むわ。そもそも魔力とそれ以外はかなり違うのよね。瘴気と気配は似てるのにさ」


 「魔力と生命力は似通ってるけどね。精神と存在は独特かな? 精神まで出来る様になったら殆どの者は感知できるよ。存在感知までいくと、そもそもほぼ必要ないっていう領域だから。正直に言って複数の隠蔽スキルでも持ってなければ要らないし」


 「ああ、隠蔽系スキルね。あれらを使われると全く分からなくなるって言うし、相当に強力なスキルなんだと思うわ。私は会った事とか無いんだけど」


 「会ってても気付いてないだけって可能性はあるけどね。何故なら町中で使ったりなんてしないし、余程の事がないとスキルがバレるから使わないでしょ。普段から使ってたら怪しまれるだけだしさ」


 「まあ、それは……。確かに不審人物だし怪しんでくれと言わんばかりねえ。……っと、今日はここで野営かしら? まだ砦とやらにも到着してないのに」


 「流石に行軍ともなれば1日では無理なんじゃない? それに見張りをさせる以上は、ある程度遠くに作らないと迎撃が間に合わなくなるしね。あくまでも監視用の砦っぽいから壊される前提なのかも」


 「たとえ壊されても迎撃が間に合わないよりはマシって事ね。確かにそうだけ………お帰り、ファーダ」



 馬車の後ろからいきなりファーダが男性の姿で顔を出す。突然重くなっただろうけど、セリオは装具が外されて解放されたからか楽しそうね。レティーも屋根から降りてきたし、早速料理を始めるみたい。


 その為にミクがファーダに食料を買ってくるように言ってたんだけど、わざわざ王都で買ってくるように言ってたのよね。まあ、売ってる物の種類は王都が一番多いんだけど。



 「ありがと、これで食料の心配は無くなったね。一応私も食べるフリはしておかないと怪しまれるから、食べない訳にはいかないんだけどさー。補給をするのが面倒臭いんだよ」


 「行ってくるのは俺だが、両方俺だからな。どっちが行っても俺である以上、面倒臭いのは同じだ。ただ、面倒臭いのは隠れなきゃいけない事だけだがな。おっと、話していると怪しまれるから戻る」



 そう言ってファーダは本体空間に戻っていった。戻る時はどこからでも戻れるから凄いよね。ミクは【空間魔法】の【転移】も十分に凄いって言ってたけど、私にはどっちも凄いとしか思えない。ただ、ややこしくて難しいのよ。



 「【空間魔法】の【転移】っていうのは、元の地点から転移先の地点に飛ぶものじゃないんだよ。私の本体空間に居た時にロフェルも漫画とか読んでたから知ってるだろうけど、ああいう訳の分からない転移じゃない」


 「【転移魔法】には【空間座標】というものと【座標観測】という魔法があるのよね? それで調べるのが先なんでしょ?」


 「そう。【空間座標】で転移地点と元の地点の座標を調べて、【座標観測】で向こうに問題がないかを調べる。そして問題が無ければ転移。ただし飛ぶのではなくて入れ替えるが正しい」


 「それがね、本当に驚いた部分なのよ。何度も聞いてやっと理解できたけど、確かに漫画とかの転移はおかしいもの」


 「そうなんだよ。本当の転移は2つの座標にあるものを入れ替えるが正しい。A地点とB地点にあるものを入れ替えるから、転移先の空間に物があったら入れ替わってA地点にも行く。A地点の物が失われてB地点に行くのではなくて、交換するという形になってる」


 「だから座標さえ知ってたら、物も好きなだけ移動出来るのよねー。案外どこかに倉庫を借りれば、好きなだけ物を送り放題じゃない? ……よく考えたら、アイテムバッグがあるから意味が無いのか」


 「まあ、そうだね。私のアイテムバッグに関してはどれだけ入るかそもそも不明だし、未だに入らなくなる気配すらないよ。後、【転移】は2つの座標距離が離れていれば離れているほど、魔力消費は跳ね上がっていくから」


 「とてもじゃないけどミクでなければ運用できそうに無いわね。だから使えても【空視】か【把握】しか無理って言ってたんでしょうけど」


 「そうなんだよ。普通の属性魔法の比じゃないほどの魔力と制御力を必要とするから、ロフェルでさえまともには使えないの。つまり他の普通の種族なんて、もっと無理」


 「でしょうね。ミクの血肉やドラゴンの血肉を貰ってもコレなんだし。……さて、食事も出来たしさっさと食べましょうか」



 今日はうどんみたいだからセリオはちょっと食べ難いかな? そう思ったけど、汁ごといったわね。なかなか豪快に食べてるけど、あれが手っ取り早いんでしょう。たぶん。


 おっと、私も見てないでさっさと食べようっと。煮込まれて柔らかくなった竜の干し肉も結構入ってるし、美味しそう。


 ………うん、美味しい! 町に居る時より種類は少ないけど、町に居る時よりも美味しい。なんとも言えない状況だけど、それはそれで悪くないかな? やっぱり美味しい物と温かい物はいいわね。


 冷たい食事って色々と辛くなってくるから、温かい食事はありがたいわ。このまま見つからないように最後尾で食べてしまいましょう。


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