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0671・エソロム商会




 宿の部屋に戻ったミクは、【浄滅】を使った後でロフェルをベッドに寝かせる。その後は自分のベッドに狐の毛皮を敷き、セリオとレティーを寝かせたら寝転がった。目を瞑ったら分体2を出し、後は任せて瞑想する。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:分体2



 今度は<エソロム商会>って奴等か。表の不死玉の依頼は分体1がするとして、裏のこちらは俺の担当だな。ついでに辺境伯の家の中も掃除するか? ………本体いわく、どっちでもいいみたいだ。


 どっちでもいいっていうか、どっちにもメリットとデメリットがあるってところか。ま、どっちでもいいなら面倒臭いからしないでおく。勤勉に働いてもそれなりのデメリットがあるんじゃなあ、やる気も失くす。


 <エソロム商会>自体はここで過ごしている間に知った。ここ辺境伯の領都ウェルスでは割と大きめの商会だ。何でも扱ってるが、主に扱ってるのは主食の麦系なんだよな。そこから食い物が流出したとでも判明したのかね?。


 まあ、事実かどうかは調べれば分かるんだが、な! ……よしよし、侵入できた。存外に隙間が少ないな。どこから入るか迷ったじゃないか。とはいえ最悪の場合は暖炉の煙突から侵入すれば済むから、俺としては難しくないんだが。


 今回は店の扉の下を掘って侵入したよ。今の俺の体は小さいからな、然して掘らなくても侵入は容易い。仮に穴が見つかっても虫が開けた穴だ、不審には思われないだろう。こんな時代というか文化じゃ、住宅の密閉なんて不可能だしな。


 そもそもガイアというか日本でさえ店の扉はシャッターだったし、あれじゃ密閉されておらずスカスカだった。俺にとっては入り放題なんだよ。まあ、自宅でもなければそこまでしないものだしな。盗人が入らなきゃいいだけでもある。


 店の中には特に不審な点は無し、おかしな物を売ってる訳じゃないみたいだ。在庫などに関しては記録してある紙なんかを見ないと分からん。だから不審な売り物でもなければここはスルーして次だ、次。


 さて、裏の自宅の方はどうなってるのかね? ……ここも然して変わらんな。扉の下を掘って侵入した方が手っ取り早そうだ。


 ささっと掘って侵入したが、それなりの数の生命力などは感知できるな。商会の会頭の家だからか? 下宿しているヤツが多い? ……まあ、悪人が居たら喰えば分かるか。問題は悪人が居なかった場合だな。情報が全く手に入らない事になる。


 最初の1人は……駄目だ。こいつは普通だな。その隣に寝ているヤツも駄目となると、次に行くしか無いな。とはいえこの調子で駄目なヤツばっかりだったらどうするか……。


 2つ目の部屋は、っと。……居た! 悪人が居ると助かるっていうのもどうかと思うが、これで多少の情報は得られるだろう。全く関係の無い罪であっても、レティーが内情の情報を引っ張ってくれる筈だ。


 ………成る程。コルクサ国に横流ししてるのは確定か。辺境伯もそう言ってたしな、そこまでは問題ない。しかし喰ったヤツはその方法までは知らなかったみたいだ。いったいどうやってコルクサ国に運んでいるのか? その方法はお預けか。


 それを知る者を捕まえれば、辺境伯は芋蔓式に捕縛して証拠を整えられると思っているんだろう。とはいえ辺境伯のお膝元で堂々とやらかしてるヤツが、そんなに甘いかねえ。俺としては証拠なんて常に廃棄していると思うぞ? それぐらい危険なんだしさ。


 頭の中に入れておけば証拠は取られないからな。そういうヤツじゃないと辺境伯のお膝元で暗躍するのは無理だろ。


 その後も何人か喰ったが、まるで情報が出てこない。おっかしいなあ、馬車で運ばなきゃならないんだから結構な人数が関わってる筈だろ。という事は関わってるヤツは全員善人って事か? 可能性としては考えてたが、本当にそんな事があるとは思えないんだが……。


 新たな悪人を喰って脳を転送した俺は、ようやくレティーから待望の情報を聞く事が出来た。



 (成る程。コルクサ国って言っても、全てが草原コボルトの国じゃなかったのか。ゴブリンやオークに獣人なんかも暮らしてると。ただ戦いに出る戦士階級はコボルトオンリーなんだな。そういう階級差別はあるらしい)



 成る程なぁ。通りでコルクサに送ってる食料を運搬している奴等は悪人じゃない訳だ。彼らからすれば故郷に食料を売っているというだけで、何ら悪い事はしていない。更に言えば、商人が何処に売るかは商人の勝手だからな。それは悪事とは言えん。


 そうなると、これ以上の情報収集は無理か? ……おいおい。何ていうか、辺境伯にとっては都合がいいなー。まさか会頭というか、一番偉そうなヤツが悪人とは。ある意味で興醒めだが、これも仕事だ。さっさと【善なる呪い】を掛けて、っと。


 よし、仕事は完了。さっさとズラかりますかね。こういう時代じゃ密閉して鍵を掛けるような窓じゃないから助かるよ。ここから外へ出れば、あっと言う間に外だ。


 誰にも見られないように屋根に登ったら、さっさと本体空間に帰りますかね。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 翌朝。ミクはセリオが起きるまで待ち、起きたら挨拶をして起き上がった。そもそもミクとレティーは細胞を休ませているだけで、根本的に眠ってはいないのだ。この中で眠る必要があるのはセリオとロフェルだけである。


 そのうちロフェルは昨夜の酒で寝ている為、簡単には起きてこない。なのでセリオの起床を待っていたという訳である。


 【浄滅】を使って綺麗にしたらロフェルを起こし、準備をさせたら食堂へ。


 小銅貨20枚を支払って朝食を食べたら、今日も元気に<澱みの山>へと走って行く。昨日と同じく【身体強化】で走るが、2人はその速度を気にしていない。


 到着したら昨日と同じく瘴気を感じ取ることから始め、<澱みの山>へと突入してアンデッドを浄化していく。不死玉と魔石を回収しつつロフェルに任せて進み、索敵から洩れた者はミクが浄化する。


 なかなかの的中率だったが、やはり奥へと進むとそれも落ちていく。それでも感覚を研ぎ澄ませながら浄化を繰り返し、お昼になったら昼食にする。



 「それにしても、なかなか上手くいかないなー。もうちょっと的中率を上げたいんだけど、ここからが難しい感じがする。なんと言うか、瘴気の濃さとアンデッドとの区別が付きづらい」


 「そもそも本当なら、その領域に至るのにも時間が掛かるんだよ? 他の者達に比べれば遥かに早いんだから十分でしょ。まだ<澱みの山>に入って2日目だし、焦らない焦らない」


 「確かに、言われてみれば2日目か。そんな短期間で使えるようになったら誰も苦労はしないわね。まだまだ来る事は多いんだし、今の内になるべく学んでおけば良いだけかな?」


 「そうそう。別に無理する必要はないし、そこまで急ぐ必要は無いよ。何も必ずここで瘴気の判別を完璧に行えるようになる必要もないし。こんなのは長く続けていく事だからね」


 「長く続けていく事の2日目か。そう考えると、本当にまだまだ始まったばかりだね。っと、出来た?」


 「うん。出来たから食べようか。それにしても料理最中も襲って来ないし、不思議なアンデッド達だよ」



 ミクは近くに霊系のアンデッドが居るのは知っていた。それも複数体も居るのだが、何故か全く襲ってこない事に疑問を感じつつも食事を始める事にする。


 ドラゴンの肉はやはり美味しいのか、ロフェルが喜んで食べているのだが……。ミクは「共食い?」とか思っていた。もちろん口には出していないのでセーフだが、そもそもグリーンドラゴンを再誕に使ったのはミクである。


 仮に口に出していたら、間違いなくロフェルは怒っただろう。共食いになるのは自分の所為じゃないと。


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