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0664・壁塗りと酒場の話




 Side:ロフェル



 起きたミク達と昼食に向かい、食堂へと歩いていく。中へと入ったらミクが小銅貨20枚を支払い大麦粥を注文、皆でテーブル席に座る。ミクが小銅貨や大銅貨を減らしたいからと支払ってくれるけど、一向に減らないみたい。


 何故ならウェルスに来るまでに潰した組織の所為で、各銅貨も大量に増えてるからなのよね。とはいえ神様の命である以上、ミクは地上のゴミを食い荒らす必要があるし、そいつらの持つ貨幣をそのまま捨てて行っても誰かに奪われるだけなのよね。


 社会に良い意味で還元される可能性が低い以上は、ミクが持って行っても罰は当たらないわ。でもねー、増えていく一方なのはどうすればいいのかしら? ミクもそこに悩んでいるんだけど、でも寄付するのも良くないのよねえ。



 「寄付したところで、そこの孤児院の連中が都合よく利用するだけだからね。そういう奴等ばっかりだから、孤児院の連中を善人に洗脳したんだし。まあ、正しくは洗脳というか書き換えたんだけどね」


 「それも話に聞いたけど、二重の意味で酷いわよねえ。子供達を食い物にしている経営者は最低だけど、それを知って頭の中身を書き換えて善人にするっていうのも……。神様の力だから可能なんだろうけどさ」


 「孤児院を経営しているヤツを喰うと破綻する恐れがあるからね。私はゴミどもをどうにかする為に居るのであって、まともな者を不幸に陥れる為じゃない。だから洗脳というか書き換えが一番被害が出ないんだよ」


 「まあ、そうでしょうね。ある意味で【善なる呪い】より酷いと思うけど、神様の力で矯正してるだけとも言えるわ。むしろ、そこまでされなきゃいけないヤツが悪いと考えた方がいいわね」


 「そうそう。そもそもきちんとやってれば良いんだよ。善人にしたうえで寄付するなら悪くはないんだけど、そうしておかないと寄付したお金を自分達の懐に入れるだけだ。そもそもさ、孤児院関係は真面目なヤツが殆ど居ない」


 「子供の相手って大変だから、そのうち捻じ曲がっていくのが多いんでしょうね。役得が無きゃやってられないみたいにさ。だったら孤児院で働くのを止めればいいのにって思うけど、そういうヤツって何故か離れないのよね」


 「元々は何かしらの思いがあったんだろうけど、現実に敗れたり疲れ切った結果なんだろうとは思う。とはいえ私がそれを考慮してやる必要は何処にもないから、叩き潰すか書き換えるか喰うんだけどね」


 「究極の三択ねえ……ごちそうさま。結構大麦を食べるのも慣れたかな? 1日に2度も食べてると段々気にならなくなるものねえ。後、多めに食べても太らないっていうのが助かるかも」


 「太るほど食べられるのは貴族か裕福な狩人ぐらいって言ってたけど、商人も当て嵌まるね。この前見た商人、驚くほど太ってたしさ。あれでよく動けると思ったけど、何故か割と動けてて驚いたよ」


 「確かにね。あの商人、ゴブリンにしては体も大きかったし力も強そうな感じだった。まあ、太ってるからそう見えたのかもしれないけど……。っと、午後からも壁の補修があるから、もう行くわね!」


 「あいあい。行ってらっしゃい」



 ミクはまだゆっくり食べてるけど、私は午後の壁塗りに参加しなきゃいけない。ゆっくり話してる訳にはいかないから早く行かないと。遅くても文句を言われるから、急いで現場に着いておかないとね。


 そう思って素早く現場に行ったけど、時間的にはギリギリだった。危ない、危ない。ダラダラと昼食を食べすぎてたみたい。ギリギリでもセーフだから助かったけど、その分多く動いて働いてますアピールをしておかないと。



 …

 ……

 ………



 「お前らー、今日の作業は終わりだぞー。ご苦労さんだったな。気をつけて帰れよー」


 「「「「「「「うぃーっす」」」」」」」



 やっと終わったと言うべきか、もう終わったと言うべきか。やっぱりこの体の力や体力は桁外れに高い。あれだけ動き回ってたのに大して疲れてもいないし、まだまだ動き回れる。所詮この程度では疲れが溜まらないらしい。


 私も彼らに「お疲れさまでしたー」と言いつつ、仕事を完了した証明の紙をもらい狩人ギルドへ。それを受付に提出して大銅貨を3枚もらった。壁の補修だとこんなものなのよね。後は適当に何処かで食事をして、安全そうな場所で野宿。


 これが一般的な駆け出し狩人の生活なのよ。私は数年の間、酒場で体を売って稼いだお金があったから、最初から宿暮らしで安全に寝られたけど、そんな狩人は珍しいのよね。普通は路上で寝泊りするらしいし。


 今はもっと楽だし低ランクの暮らしじゃないけど、今さら低ランクと同じ暮らしをしたいとも思わないしね。このままランクを上げていこうっと。


 宿の部屋に戻ってみると、またもやミクはベッドに寝てた。どうやら何かやる事があるみたいだけど、何やってるのかしら?。



 「鉄の精錬が終わらないんだよ。4つの軍の武具だから結構多くてさ、しかも1キロのインゴットにしてるから時間が掛かるの。それでも3キロとか5キロ毎にしたら売れないだろうし、小分けにするしかないのが現状」


 「確かに3キロとか5キロって使い難そう。色々大規模に作るならまだしも、鍛冶師が大きな鉄を使うイメージって無いわ。小分けにされた鉄を目分量で炉に入れて熱してるイメージね」


 「そう。そんな鍛冶師が3キロや5キロの鉄のインゴットなんて絶対に買ってくれないじゃない? だから小分けにしてるんだけど、タダでくれてやってもいいと思うくらい面倒臭い。仕方ないんだけどさ」


 「元のままじゃ出所を疑われるのは間違い無いから、隠す為には仕方ないわね。でも戦場に置いてたら雨曝あまざらしになるだけだし、強欲な商人なんかが奪っていくだけよ。置いて行っても碌な事になってないわ」


 「かといってストレーナに放るとロフェルの言う通り五月蝿い可能性が高いし、暴れた結果として甘んじて受け入れるしかないかー」



 ミクはベッドから起き上がり、アイテムバッグを背負って部屋を出る。私もそれに続くけど、自業自得という言葉を送りたいわ。ミクは考え無しではないけど、怒りに任せて暴れた結果だからね。


 軍を散り散りにして追い返すだけでも良かった筈なのよ。その後はすぐにワルドー伯爵の領都の屋敷に飛んで行けばよかった訳だし、無理に全滅させる必要は無かった筈。それをやったのはミクなんだから、受け入れるしかないわ。


 酒場に行ってカウンター席に座り、大銅貨4枚を支払ってお酒や食事を頼む。今日は歌手が歌ってるけど、あんまり上手じゃないわね? 新人かしら?。



 「あいつまた男とギリギリまで寝てたな? 声の質が悪くなるから止めろっつってるのに聞きゃしねえ。いい加減にしねえと放り出すぞと言うしかねえな」



 あらら……ギリギリまでって事は情夫イロでも居るのかしら? 私に色々と教えてくれた先輩も情夫イロが居たけど、ギリギリまで一緒に居て疲れてた事があったわねえ。そこまで嵌まるほど? って毎回不思議に思ったけども。



 「何だ、嬢ちゃんも酒場で働いた経験があんのか。まあ情夫イロを抱えるのもそれぞれだ。それで生活に張りが出るなら構わねえが、溺れてもらっちゃ困るんだよ。駄目になったらやめさせるしかねえ。こっちも適当な仕事なんぞされたら困るからな」


 「そうよねえ。かつて色々教えてくれた先輩も、そうやって辞めていったわ。良い先輩だったんだけど、最後の情夫イロがちょっと悪かったみたい」


 「仕方ねえ。女も男も変わらんよ。男だって性質たちの悪い女に溺れて駄目になっちまうのも居る。どっちもどっちでしかねえさ」



 そうなのよねえ……。私もあの数年で結構色々と見てきたし、そういうのもあった。懐かしいけど戻りたくはない業界なのよ、本当。


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