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0656・再誕




 Side:ロフェル



 「ロフェルが死んでから今までの事はこれで終わりだ。アルダギオン子爵領の東西南北に居る貴族と、ゴヴェスティ公爵家の当主は潰している。各家に1人以上は【善なる呪い】を刻んだ後継者が居るので、なんとかなるだろう」


 「混乱は私も望まないけど、大丈夫……って、【善なる呪い】を刻まれてるから悪さは出来ないのか。それならいいかな? 殺された腹立たしさはあるけれど」


 「それは仕方ない。本来なら蘇えらせるなど不可能というか、やってはいけない事なのだ。理を捻じ曲げるが故にな。ただしここは私の本体がある本体空間なうえ、根源の神が死んだロフェルの肉体を巻き戻したのだ。その御蔭で蘇生できたのだよ」


 「そうなんだ……。つまり、私は死ぬ直前に戻ったって事?」


 「ああ。流石に怪物である私もそんな事は出来ん。それは時間に関わる力だからな。それはともかくとして、今のままではロフェルを外に出す事は出来ん。先ほども言った通り、死んだ者を蘇生させる事は理として許されていない」


 「じゃあ、ずっとこのまま?」


 「いや、そうではない。新たに生まれ直せばいいだけだ。つまり再誕となる。分かりやすくいえば、私の血肉を与えて別の存在になるという事だな。これなら蘇生ではないから文句を付けられる事も無い。実際、今までにもやった事がある」


 「それって私じゃなくなるんじゃ……」


 「肉体は今までの物ではなくなるが、ロフェルという存在そのものと思考はそのまま残る。<我思う故に我あり>とも言うしな。自分が何者かなど定義できんのだ。自分だと思うものが自分だ」


 「……まあ、分かるような分からないような」


 「ロフェルは一度死んでいるからな。元のゴブリンの体だけではなく、私の血肉とドラゴンの肉と骨を使ってやろう。そうすれば今までよりも頑丈な肉体となる。まあ、私に任せておけ」


 「えっ!? ドラゴン!?」


 「それでは、始めるぞ!」



 って私の話を聞いてない。ちょっと待って、ドラゴンってなに? ミクの血肉って時点で色々ブッ飛んでるのに、ドラゴンってなに!?。


 あっ、ちょっと待って。ミクの肉の中に埋まる。って、本当に埋まってるんだけど!? 呼吸は出来てるし苦しく無いけど……何故か、意識が…………。



 …

 ……

 ………



 「ぶはっ! はー、はー……い、いったい、何が……って、あれ? 地面に倒れてる? うわっ、ついでに裸なんだけど!?」


 「意識を取り戻したか。新しい肉体に再誕した気分はどうだ? ちゃんとロフェルとしての意識も自我もあるままだろう?」


 「あー、うん。確かに私は私だね。でもこれどういう風に変わったの? なんだか背が高いし、皮膚の色が違うんだけど?」


 「そうだな。見た目は人間と似たような姿になっている。が、ロフェルの居た星には人間が居ないから分からんか。私の分体と似た姿という事だ。ただし微妙に違うのは瞳孔だな。ロフェルの瞳孔は縦になっている。おそらくドラゴン素材を使った影響だろう」


 「瞳孔?」


 「目の中の黒い部分だと思えばいい。実際に今は緑だけどな。グリーンドラゴンを使った所為か、緑の瞳に緑の髪になっている。若干手足がドラゴンっぽいというか爬虫類っぽいが気にするな。背は少し伸びているし器用に使えるだろう」


 「背は確かに高くなってる気がするけど、この髪っていう頭から生えてるのは邪魔な気がする」


 「それはそのままにしておけ。ゴブリンみたいなハゲは恥ずかしいと考える種族は多いぞ? それと今までは120センチぐらいだったが、今は150センチまで背は伸びている。それでも150センチしかないとは言えるのだがな」


 「ミクの背が高すぎるだけよ。まあ、他の種族にも高い者は色々と居るけどね。特にコボルト族は背が高いので有名だし。オーク族だってゴブリン族からすれば十二分に背が高いし」


 「とりあえず本体空間に在る物で色々と作らねばならんな。裸で外に放り出す訳にはいかん。……ところで、ロフェルの荷物はあれで全部か? 肉体を変えるので剥ぎ取ったが」


 「………うん、これで全部よ。大して物を持ってもいないしね。それにしてもキルテッドアーマーじゃ話にならないわね。あれで鎖帷子でも着けていれば防げたのに」


 「ただし鎖帷子は重いぞ? ゴブリンの騎士どもが着けている鎧より幾分かマシという程度だ。それで歩けるのか?」


 「無理ね。それなら仕方ないのかなー……。一度死んだからか、色々と出来る事があったなぁって思っちゃうのよ」


 「まあ、分からんではないがな。それより下着を作ったから着ろ。それと私が装備しているのと同じ、ドラゴン皮の服を作る」


 「いや、ドラゴン皮って……」


 「気にしなくていい。第1の星でドラゴンを乱獲したからな。素材としては余りまくっているのだ。ロフェルの体もドラゴンの筋肉や内臓と骨に私の血肉を使っているのだぞ?」



 そうミクに言われて体を動かしてみる。………手を握っただけで、尋常ではない力があるのが分かった。今なら剣とか槍を握り潰してしまうのがハッキリと分かってしまう。この体、異常なほど強くない?。



 「何か、今までとは桁違いのパワーが出せる気がするんだけど!?」


 「それはそうだろう。先ほどからドラゴンの肉と骨に、私の血肉だと言っているだろうに。最強の怪物たる私の血肉なのだぞ? 弱い筈があるまい」


 「ああ、うん、そうね。ドラゴンより遥かに強くて、神様まで喰う最強の怪物なのよ。そりゃ弱い筈が無いわ。普通に話してるから、あんまり実感なかった。そうか、ドラゴンが圧倒的に格下なんだ……」


 「そうだ。高がトカゲ風情に負けるほど私は弱くないのだよ。……よし、次はコレだ。とっとと着けていってくれ。まだこの後に武器も作らねばならん」


 「武器かぁ。私は、って思ったけど、よくよく考えれば今の体なら普通に使えるのか。……あれ? 何かよく分からない魔法の知識があるような気が……」


 「それはロフェルの頭の中に私がブチ込んでおいたものだ。<根源魔法>と言ってな、それはこの世界のどこに居ても使える魔法なのだよ。ロフェルが使っている魔法はそれ以下の魔法となる」


 「この魔法陣を使う魔法が一番って事?」


 「正しくはその魔法を制定した神によって変わる。<根源魔法>は根源の神が制定したので何処でも使えるのだ。しかし星の神が制定した魔法はその星でしか使えん。試しにこの場で詠唱してみるといい」


 「……風の精霊よ、我が前に強き風を」



 あれ? 全く何も起きない? ……じゃあ、この魔法陣のヤツは使えるって事なのかな。



 「うん? 【清潔】を使ったのか。私が居るここは根源の神が創りだした空間だ、だから<根源魔法>は使用できるのだよ。それぞれの星で違いがあり、魔法を制定していない星もあれば、魔法を制定している星もある。ロフェルが居た星はおそらく制定しているのだろう」


 「そうなんだ。………詠唱しない魔法の方が有利じゃない?」


 「その通り。いちいち呼吸する為の口を使うなんて、無駄な魔法でしかない。もちろん意図的にそうやって使い難くしている可能性はある。簡単に使えるとその分だけ悪い事に使う者も多いだろうからな」


 「ああ、成る程。ワザとね……ありがとう。後は武器なんだろうけど、どうしたものかな? やっぱり前に言ってた槍?」


 「それで良いと思うぞ? そもそも敵を近づけないのが一番だ。今はドラゴンの筋力程度はある筈だから、あの星の生き物にとっては十分強力な攻撃になるだろう。盾を持つのもいいが、持ち運びに苦労しそうだからな。アイテムポーチがないと」


 「ミクが武器を出し入れしてるアレね。確かにアレがないと持ち運びは大変ね。杖みたいに使える槍の方がいいかな?」


 「ならば作ろう。そこまで時間も掛からんし、シンプルな槍の方が良いだろう。もしくは矛でもいいな」


 「ほこ?」


 「槍の柄の先に着いているのが、細い穂先ではなく太い剣の物だ。まあ、それでも通常の剣よりは細いがな。斬撃の方に寄っているが、刺突も十分行える」


 「じゃあ、それで。振り回しも出来るならそっちの方が良いし」


 「了解だ。出来上がるまではそこら辺に放ってある物を適当に振って練習するといい」



 そういえば何でここ、剣とか槍とか鎧とか盾が散らばってるのかしら? それも鉄製ばっかり。



 「それはアルダギオン子爵の周辺の軍が使っていたものだ。皆殺しにして回収したからな」


 「あっ、そう……」


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