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0062・盗賊との戦闘




 「しかしなあ、肝っ玉が小せえからこそ領軍で来るかもしれねえだろ。流石に軍を使われたらどうにもならないぜ。数が少なきゃオレ達でも勝てるけどよ、流石に軍ともなれば100は連れてくるぞ」


 「こっちは50も居るじゃねえか。それに森の中じゃ騎士や兵士は鈍重なんだろ? だったら森の中に引き込んじまえばいい。そうすりゃオレ達の勝ちだ」


 「勝ってどうすんだよ? それ以上の軍が報復に襲ってくるだけだぞ。そうなったら、ここのアジトを捨てて逃げなきゃなんねえし、軍に勝ったところで何にも得しねえじゃねえか」


 「そりゃあ………そうか」


 「だろ? とにかくオレだって腹が減ってるが、領主に目を付けられるのはマズい、肝っ玉が小せえからこそ、小さい被害だと無視して済ませちまうもんさ。オレ達はそれで美味しい思いをすんだよ」


 「成る程なぁ……。だから今は腹が減ってるのを我慢しなきゃなんねえのか」


 「だいたい腹が減ってるつっても、1食は食えてるじゃねえか。2日に1回しか食えないよりマシだろ? オレ達は元々そんな集落の生まれだ。ガキの時よりマシだろうに」


 「そりゃ、そうなんだけどよぉ。腹いっぱい食いたくて盗賊になったのに、盗賊になっても腹いっぱい食えないんだと思うとなぁ……何の為に盗賊になったのか」


 「言いたい事は分かるが、余計に腹が減るから止めろ。そこら辺に生えてる食える物でも探そうぜ」


 「本当にガキの頃と変わんねーなー……」



 大した会話でもないので殺害を決めたヴェスはミクに合図を送る。ミクは素早くククリナイフと大型ナイフを持って接近、盗賊2人が声を上げる前に喉を突き刺して捻った。


 喉への一撃を受けた盗賊は声を上げる事も出来ずに苦しみ、押さえつけられた盗賊はレティーに血を吸い上げられて気を失う。もう1人も血を吸い上げられ気を失うと、そのまま乾涸びるまで血を吸われるのだった。



 「このブラッドスライムの手際が良すぎるのと、怖ろしすぎる結果だね。もはや殆ど血が残ってないだろ? ここまで乾涸びてるとさ。エゲつないとも思えるけど、死体の処理としては楽だねえ」


 「レティーが血を抜いてくれると後は燃やすだけで済むからね。そもそも人間種の死体もそうだけど、腐る原因は血と糞と尿だよ。この3つが大きな腐る原因なんだけど、その中でも血が一番大きい」


 「へー……。血をここまで抜き取っちまえば腐るのを止めさせたり、大きく遅らせる事が出来ると。何かで役に立ちそうな知識だけど、今は盗賊が先だね。さっきの奴は50人ほどと言ってたけど……」


 「どういたしますか? 流石に多勢に無勢と言える数の差でございますが……」


 「相手のアジトが分かってないけど、50人程度じゃ大した事はないね。洞窟を利用してるなら、面倒なのは逃げられる事だけだよ。まあ、気配と生命力を調べていれば、逃げたかどうか分かるけど」


 「ふむ。私も久しぶりに暴れたいし、ここは突っ込もうか。ところでミク、あの槍を貸してほしいんだけど? アタシのは剣でね、数が多いんじゃリーチが欲しい」


 「………はい、コレ」



 ミクはウィリウム鋼の槍をヴェスに渡す。ヴェスは受け取った後で何とも言えない顔をしたものの、すぐに表情を消した。そして再びミクを先頭にして進む。


 その後も7人を殺して進み、ついにアジトと思われる洞窟前に辿り着いた。正面にある洞窟前に歩哨のように立っているのが4人。この人数だと知られずに一気に殺すのは難しい。特に中央の2人は洞窟前に陣取っている。



 「さて、ここからどうするか何だけど、良い案があるなら聞くよ」


 「私が前で戦えば済むと思うけど? 横から漏れる奴等はそっちに任せるから、さっさと済ませよう。時間を掛けるのは面倒臭い」


 「まあ、それしかないかね。傷を負ったり、ケガをしたら退きな。それは恥じゃない、下らないケガが原因で死ぬのが恥なんだ。……じゃあ、行くよ」



 その合図と共に一気に飛び出したミクは、右手にウォーハンマーを持ち、中央右の盗賊に振り下ろす。ドゴォン!! という音と共に頭が弾け飛び、一撃で絶命する盗賊。理解も出来ぬままに戦闘が始まる。


 中央左の盗賊が「敵襲!!!」と騒いだ直後、ミクのウォーハンマーが炸裂して弾け飛んだ。右の盗賊は騎士に剣で首を切られて死に、左の盗賊は革鎧ごとヴェスに心臓を突き刺されていた。



 「流石はウィリウム鋼の槍だ、革鎧なんて相手にもならないねえ。……それにしても、そのウォーハンマーとミクのパワーは恐ろしいという他ないよ。尋常じゃないさ、頭が弾け飛ぶなんて」


 「うぉぇっ……ゴク。……これからどうしますか? 中から盗賊が出てきますが」


 「無理に飲み込まずとも吐けば良いさ。ここまできたら後は順繰りに倒していくだけだよ。ミクは洞窟の前に陣取って盾で守りつつ、あたしらは横で敵の数を素早く減らす。この策は圧倒的な盾が居るから成立する。それじゃ気合いを入れな!」


 「「「「おおーー!!」」」」



 騎士が声を上げた少し後、洞窟の中から盗賊が雪崩のように出てこようとしたが、洞窟前に陣取っているミクの所為で止まる。流石に鉄を被覆したカイトシールドの前には出辛いようだ。



 「何をやってやがる!! さっさと出ねえか! 洞窟の前に居る女なんぞ、体当たりで吹っ飛ばせ! 所詮は見た目だけだ!!!」


 「ぬぅぅぅおぉぉぉっ!!!」



 大柄の盗賊が右半身を前に出して体当たりをしてきたが、ミクは冷静にウォーハンマーを右から左に振る。武器を振る方向は変わったが、音は変わらずドゴォン!! と鳴り、大柄の盗賊は派手に吹っ飛んでいった。



 「そもそもツインヘッドフレイムですら一撃で殺したのに、人間種が一撃で殺せない訳ないじゃん。体が大きかろうが意味なんて無いね。さあ、来なよ。全員殺してやるからさ?」



 ミクは【陽炎の身体強化】を使いながら、盗賊を挑発する。しかし先ほどの凄まじい音と、人間種が吹っ飛んでいく様を見た結果、ヴェス達ですらドン引きしていた。


 そんな事を知らないミクは、怒りを露にする盗賊の頭を更に挑発する。



 「あれ? そんなに数が居てビビッてるんだ? 所詮は盗賊だね、無様で憐れなものだよ。同情でもしてあげようか?」


 「………このアマぁ! ブッ殺せーーー!!! 一気に突撃しろ!! どんな達人でも対処なんぞできねえ!」


 「「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!」」」」」」」」」」



 流石は探索者と同じ、舐められたら負けの盗賊である。同情なんていう一番バカにされたと感じる行動をされた盗賊どもは、全員がキレて突っ込んで来る。


 そんな奴等に対してミクは、シールドバッシュで押し返したり、ウォーハンマーで吹っ飛ばす事を繰り返す。敵の斧の攻撃なども上手くかわし、足を引っ掛けたりして同士討ちも狙う。


 当たり前だが盗賊なんてものは実戦慣れなどしていない。人間種の方が魔物よりも狡猾で厄介な事を知らないのだ。だからこそ魔物と同じ程度に考えてしまう。


 盗賊というのは殆どの場合、数を頼りに商人を脅す連中である。なので脅しが効かなかった場合にのみ戦闘になるのであって、ずっと戦闘をしている訳でもないし、戦闘になりそうな獲物は避けるのだ。


 にも関わらず、舐められたら負けなのである。探索者からすれば鼻で笑う話ではあるが、盗賊というのは真面目にこうなのだ。ミクでさえ意味が分からない連中である。



 「しっかし、ミクが中央で先頭だと、ここまで安定するんだねえ! 笑いが止まらないよ! まったく!!」



 むしろ楽しそうに戦闘をしているヴェスの気持ちの方が、ミクには分かりやすいのだった。


 それもどうかと思うが。


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