表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
656/1113

0651・ワルドー伯爵邸




 第3王子を【瘴気の苗床】にしたミクは、さっさとゴミどもを始末する為、王城から出る事にした。怪物がやると言った以上、それは何があっても為される。



 「貴様ら悪党を生かしておく価値などない。とはいえ、国1つが混乱する事もまた面倒だ。とりあえず私に喧嘩を売ったゴミ虫どもをこれから処分しに行く。恨み事があるならば愚か者どもを恨め。ではな。【転移】」



 ミクの足下に魔法陣が現れ、次の瞬間には消えて居なくなっていた。それを認識した瞬間、その場の全員がへたりこむ。正真正銘の怪物がこの世に居る事を知ったからだ。



 「貴族だ王族だなどと言っても、それが何の価値も持たぬ相手はこの世に存在するのだ。皆も肝に命じておけ。そんな化け物を怒らせたら、想像する最悪よりも遥かに酷い目に遭うぞ。我が嫡子ながら、何と愚かな事を……」


 「陛下。私はこの後すぐに領地に帰らせていただきます。周り全てが敵など、我が領地に何をされているか分かりませんので。もしかしたら既に周りが攻め込んできているかも……」


 「分かっておる、国軍を動かす。我がゴブルン王国の名に懸けて、必ずやアルダギオン子爵家は守る。弟の暴挙も許せんが、それ以上にあの怪物を怒らせたくない」


 「ありがとうございます。それでは失礼いたします」


 「そなたの娘に愚かな事をしようとした事も合わせて、後で詫びを送る。おそらく伯爵位と領地の加増になるであろう。あの怪物が周り全ての貴族家を断絶させるであろうからな、再編をせねばならん。すぐに素案を考えよ」


 「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」



 慌ただしく動き始めた各大臣達。権力に伴う闘争はあれど、あの怪物を敵に回してまでやる事ではない。この場に居た者達は、権力が全く効かない怪物には触れない事しか出来ないと理解したようである。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ここはアルダギオン子爵家がワルドー伯爵軍の伏兵に奇襲した森。そこに【空間魔法】で転移したミクは思わず驚いた。何故なら近くに軍の気配がするからである。



 (つまりアルダギオン子爵が居ない間に攻め取ってしまおうって腹か。随分とまたこすっからい事をしてくれるじゃないか。これだと他の方面の貴族もやってきてる可能性が高いね。分体2も出して纏めて潰すか)



 ミクは分体2を近くに出すと、鳥の姿で飛ばさせる。もし各方面の貴族が軍を派遣しているなら、そいつらを纏めて食い荒らす気なのだ。分体2を行かせた後、ミクは右手に長巻を持って森の外へ出る。


 そして軍の方に走りつつ、左手には槍を持って突撃。【身体強化】をしながら吶喊した。


 セリオはアイテムバッグの上からジャンプして降りると大きくなり、ミクの横で並走。そのセリオの背にレティーが乗って吶喊。


 ミクは軍の側面に回りつつ、右手の長巻で撫で斬りにしていく。セリオは軍の中心に突撃し、兵士を撥ね飛ばして蹴散らしながら突き抜ける。レティーは<根源魔法>での援護だ。


 セリオもレティーも怒っていた。何故ロフェルが理不尽に殺されなければならないのかと。


 期間は短かったものの、決してロフェルは理不尽に殺されるような生き方などしていない。その事はすぐに分かるほど善人として生きていた。むしろ善人として生きたからこんな事になったのかもと思う。


 だからといって、その理不尽を許容してやる必要など何処にも無い。そもそも、そんなものなど蹴散らせるのがミク達である。ならば蹴散らしてやるのが道理というものであろう。お前ら以上の理不尽がこの世には存在するのだと。


 高速で撫で斬りにしながら殺され、撥ね飛ばされ踏み潰されて殺される。そこはまさに阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。兵士が慌てて逃げ惑うも、それを許すような怪物達ではない。


 情け容赦なく蹂躙されたワルドー軍は、生きている者など存在しなくなっていた。ミクは周りに誰も居ない事をいい事に、全ての死体を喰らって鎧や武器などを回収する。


 こんな物を持っていても仕方ないのだが、捨てて行って誰かに奪われるのも業腹なので持って行く。


 アイテムバッグとセリオとレティーを本体空間に送ると、ミクは鳥の姿に変わってワルドー伯爵の領都へと飛ぶ。場所はワルドー伯爵の令息から知らされていたので知っていた。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 夕日の出ている空を飛んでいき、領都に辿り着いたミクは伯爵の屋敷の上に降り立つ。そこで夜になるまで待ち、窓から屋敷の中へと侵入。悪人は手当たり次第に食い荒らす。


 執事だろうがメイドだろうが従僕だろうが、気にせずに喰らいゴミとして処分。様々な部屋を確認していくのだが、1つの部屋に入った際にミクは戸惑った。その理由は……。



 「はぁ。またあのバカは軍を召集したわ。今度こそマズい。いつ突き上げというか蜂起が始まるか分からないじゃないの。このままじゃ一揆みたいな事が起きて、私は処刑されかねないし……。いったいどうすればいいのよ!」



 部屋の中をウロウロしつつ、そんな事をブツブツ呟いているゴブリン。〝一揆みたい〟という言葉に引っ掛かったミクは、少し聞いてみる事にした。何故なら魂は少しだけ善の方にあるからだ。



 「このままじゃ本当に殺されちゃう。幾らなんでも処刑エンドとか勘弁してほしいし、それなんて悪役令嬢? っていう状態じゃない。ギロチンはお断りよ。それなら修道院エンドの方がまだマシ。っていうか、悪い事してないのに連座で処刑とか本当にあり得そうだし……」



 悪役令嬢という言葉でピンと来たミクは、部屋の中に入って素早く薄めた麻痺毒を少しだけ注入した。途端に力が入らなくなり床に倒れたが、意識は十分に保っているし、喋る事はかろうじて可能だった。


 ミクは巨大なムカデに変わって脅かし、悲鳴も上げられない恐怖の令嬢の前で女性体になる。



 「お前がワルドー伯爵の娘? <はい>か<イエス>で答えろ」


 「どっちも一緒、でしょ……。って、貴女、もしかして」


 「そう。私はお前の前世に似た星を知っている。完全に同じかは知らないけどね。そして、私はこういう者だ」



 目の前で首から上を怪物にした途端、悲鳴を挙げようとしたが、薄い麻痺毒の所為で声は殆ど出なかった。なのでミクは説明をしていく。



 「私は神に創りだされた怪物だ。漫画だアニメだラノベだのを知っているお前には、真実を喋った方が手っ取り早いだろう。そしてワルドー伯爵、つまりお前の父親は私の仲間に手を出した」



 ミクはそう言って右腕を肉塊にし、アイテムバッグを取り出す。そして中からロフェルの遺体を取り出して見せた。その遺体を見た瞬間、令嬢は理解して震えだす。



 「お前の父親は第3王子まで利用して、私の仲間であるロフェルを殺させたんだよ。その第3王子は私が呪いの神の権能を用いて生き地獄に落としてやった。【瘴気の苗床】という生き地獄にな」



 その【瘴気の苗床】がどういうものかと聞き、顔面蒼白になる令嬢。思いつくようなイメージがあったのか、「あんなのはイヤ……」と必死になってミクに訴える。



 「心配するな。お前の魂は僅かながらも善にある。良かったな、悪に傾いていれば問答無用で私が喰らっているところだ。お前の父親はこれから【瘴気の苗床】にしに行くが、お前はどうする? このままでは怒り狂った民衆におそらく殺されるぞ?」


 「た、助けて……」


 「なら、これを飲め。霊水だ」



 ミクは前の星で手に入れ、何故か根源の神に回収されなかった霊水を少しだけ飲ませる。すぐに回復した令嬢にこれからの事を話し、持って行く物などの準備をさせていく。


 令嬢は理解したのか頷き、すぐに動き始める。まずは父親の所へ行ってアイテムバッグを奪うところからだ。ミクはその部屋の場所を聞きだすと、小さなムカデの姿になって部屋を出ていく。


 それを見ていた令嬢は、「アレは幾らなんでも反則過ぎるでしょう……」と呆れていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ