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0636・子爵領とその周囲の話




 クッションで遊んでいるセリオを見ていると、ストレーナが部屋を訪ねてきた。そしてクッションで遊んでいるセリオを見て愛好を崩している。小さいセリオは可愛いのでストレーナも可愛いもの好きだったらしい。


 それはともかくとして、訪ねてきた目的を聞くミク。すると大した用事ではなかったようだ。



 「夕食まで暇でしたのでこちらに来たのですが、アレはそもそも何なのでしょうか?」


 「アレが言ってたクッションだよ。さっき作り終わったんで、今はセリオが遊んでるね。一応コレがストレーナとメイドにって作った物だよ。はい」



 ストレーナはともかくメイドは驚いていたが、別に気しないように言って座らせる。すると、お尻で跳ねたりして感触を確かめたストレーナは大喜びした。



 「これ、お尻が痛くないです! 柔らかくて弾力があって、その御蔭でお尻が下にぶつかる気配も無いですし、これを本当に貰って良いのですか!?」


 「構わないよ。とりあえず作れるかなと思って作っただけだし、それ以上は作る気ないからさ。沢山欲しいなら自力で作ってよ、こっちに言われても困るから。それと、これが子爵と執事の分ね。一応作ってないと五月蝿そうだからさ」


 「あー……確かにお父様ならば五月蝿そうです。とはいえ貴族というのは新しい物好きですし、流行に後れないようにするのが習い性のようなものですから。こればっかりは貴族の習性ですので治りません」


 「御嬢様、流石にその言い方はどうなのでしょうか?」


 「分かりますよ? ですが新しければ何でも良いみたいにして喜ぶのはどうかと思います。もう少し落ち着いて大人の慎みを持っていただきたいと思ったのは、1度や2度ではありません」


 「………」



 メイドも微妙な顔をしつつ、言葉を発する事は無かった。貴族が新しい物を取り合うのは、子供が玩具を奪い合うが如きものらしい。流石にそれはどうなの? とロフェルが言うも、ストレーナは「そういうものなのです」とハッキリ口にする。



 「本当に酷いのですよ。何が流行るか分かりませんし、その流行に後れる訳には参りませんから、とにかく新しい物があると購入するんです。何かが流行っても、それはもう知ってるという態度を出す為だけにですよ?」


 「流行したものを先に知っていたら面目も立つって事かな? でも早々に新しい物なんて出て来ないし、国中の物を知ってたらそれで終わらない? だって限りがあるんだし」


 「甘い。甘いですよ、ロフェル! 国の中が終わったら、次は外国です。他国から入ってきた物が流行るかもしれないのです、ならばそれも知っておかねばなりません。流行り物を知らないだけで田舎者扱いされるんですから!」


 「田舎者扱いっていうか、田舎者でしょう? そもそも子爵領の辺りはゴブルン王国の北の方なのだし。王都は国の中心にあるけど、こちらの地方は普通に田舎じゃない? だから豊かじゃない土地が多いんでしょ?」


 「まあ、そうですけど……。ですが最北にあるゴヴェスティ公爵領は豊かですよ? あそこは銀鉱山を抱えているからですし、魔物も強いのが多いというのも大きいのですけれど」


 「公爵って王の兄弟とか子供とかよね? って事は何処かの時点では王族の血筋な訳じゃない? そんな血筋が最北の領地って不思議だね」


 「我が国では現在の陛下の御兄弟だけが公爵を名乗れます。ゴヴェスティ侯爵家に陛下の弟君が入り婿になられたので、公爵家になってるんですよ。今の陛下が退位なされれば、また侯爵家に戻ります」


 「という事は、公爵家って一時的にしかないんだね。まあ、国によって制度は色々とあるけど、ここゴブルン王国ではそうなってるだけだし他の国じゃ違う事も多い。しかし公爵家にあんまり価値なさそうな制度だねえ」


 「そんな事はありません。王族方の御血筋が入ったという事だけで栄誉ですし、公爵家でなくなる際には爵位が上がる事が多いのです。だからこそ王族の血筋を望む家は多く、取り合いになる事が……」


 「贈り物攻勢とか賄賂とか、それに水面下で熾烈な争いをしてそうだね。下らないと言うべきか、それとも貴族の習性と言うべきか。よくある事と言えば終わる話だけど、爵位が上がって何かあるの?」


 「爵位が上がると発言力が大きくなるのと、寄子を持てるようになります。そうやって自分の派閥を大きくしていくのですが、北部にはあまり関わりありませんね。何故ならゴヴェスティ公爵家1強ですから。全ての領主が寄子です」


 「寄親はゴヴェスティ公爵家ってわけね。となると意味が無いというより目を付けられるちゃうじゃん。そういう意味でも駄目ってわけか。……その公爵家は今回の事でワルドー伯爵に何か言ったりしないの?」


 「公爵閣下に大量の献金をしているのもワルドー伯爵なのです。ゴヴェスティ公爵閣下も重税はご存知の筈なのですが……ワルドー伯爵からの献金がある内はお目溢しされているのでしょうね。ただ、お父様が訴え出る事で少々の風向きは変わるかもしれません」


 「何というか、公爵が叱責されてその恨みが子爵家に向くって事もありそうな気がするけども、そうなったら周囲から一斉に攻撃を受けそうだね。まあ、それでも勝てなくはないのかな? 東は潰したし」


 「それでも一斉攻撃などされたら敵いません。流石に領地に住む者達が蹂躙されかねませんが、そうなるとゴヴェスティ公爵閣下の政治手腕が問われますので、流石にそれは無いのではないかと……」


 「ならアルダギオン子爵家が勝つ可能性は高いんじゃない? そもそも東との戦争では殆ど誰も死んでないんだしさ。【回復魔法】で済むレベルで収まってたし、あれならそこまで苦労もしないんじゃないかな?」


 「戦争はそんなに甘いものじゃない。と言いたいんだけど、ミクが居れば勝てそうな気がするのが何とも言えないところね。とはいえ、流石に公爵家が恨んでくるって可能性は高くないと思う」


 「まあ、それはそうです。そもそも公爵家とすればワルドー伯爵との戦争に関わってもいませんし、切り捨てれば済みますからね。後は陛下から注意を受けて、それで終わりでしょう。王都にも呼ばず、手紙で知らせて終わらせる可能性が一番高いです」


 「王様だって自分の弟に傷が付くと、自分の治世も疑われかねない。とはいえ、悪徳な事を許していれば王としての示しが付かない。家臣が好き勝手するのを黙認したら舐められるだけだからねえ」



 そんな話をしていると、子爵の執事が訪ねてきた。どうやら夕食の時間らしいので、ミク達はストレーナと共に部屋を出る。子爵と一緒に食事など御免ではあるが、護衛依頼は続いているので仕方ない。


 騎士達はワルドー伯爵の息子と【豪腕】を監視しつつの食事だが、ミクとロフェルも同じである。とはいえどちらかと言うと証人の護衛という観点の方が正しいだろう。襲ってくる可能性は町中の方が高いのだ。


 周りを気にしつつ食事をし、終わったら宿へと戻る。流石に2人も死にたくはないのか、終始周りを警戒していた。ちなみにワルドー伯爵の息子は証言が終われば帰されるし、【豪腕】は王都でも何処でも好きに生きればいいだけである。


 そもそも最高責任者はワルドー伯爵本人であり、息子や【豪腕】ではない。ついでに【呪魔法】で縛られている為、息子が新たな伯爵になっても何も問題は無かったりする。


 それにワルドー伯爵には娘が居るらしく、何処かから入り婿を迎えて続けるという道も無いではない。ただし、その娘がどうなのかは分からない。伯爵令息いわく、何を考えているか分からない妹なのだそうだ。


 どちらかしかないが、【呪魔法】の説明をすれば納得されるのではなかろうか? 絶対に悪事を働けないのだし。


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