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0635・1つ目の町に到着




 アルダギオン子爵の領地を出発し、ガラゴロという車輪の音と共に移動して行くミク達。アルダギオン子爵の馬車が遅いので、どうしても移動が遅くなってしまう、その為ミクとセリオはダラダラと歩いているだけであった。


 大した意味も無くダラダラと歩く事に納得はいっていないものの、文句を言っても始まらないので黙っている。仮に馬車のスピードが上がっても、今度は周りを護衛している騎士が遅いので変わらないかもしれない。


 暇で仕方ないので、本体は適当に漫画を読んでいる。分体の方は意識を歩く事と周囲の警戒に使い、それ以外は本体に意識を戻している状態だ。ロフェルも歩く事に専念しているのか、口を開かず黙々と歩いている。


 そんな状況の一行ではあるが、前の馬車が止まり昼休憩だと大きな声で知らせがあった。ミク達も停車して昼食を始める事にするのだが、まずはセリオの装具を外す必要がある。ささっと装具を外したミクは、セリオを自由にして自分は料理を始めた。


 鍋に水を入れて火に掛けると、塩干し肉とドラゴン干し肉と野菜を入れて煮込んでいく。野菜といっても数種類入れている為、寂しい内容にはなっていない。それとロフェルに練ってもらった小麦の団子を後で入れ一煮立ちしたら完成だ。


 簡単に出来る料理を作り終わったら、さっさと深皿に入れて食べていく。周りを確認すると、適当なパンと戻した干し肉に野菜を少々齧っているだけであった。というか、子爵ですらそれで済ませているのだから呆れてくる。


 それでもミク達はガン無視して食事をし、ストレーナはジッと見てくるが最後までスルーし続けた。それはロフェルも同じで、流石に食事を渡す事はしない。どうも野営で食事をしなければいけないのはここだけらしいので、後は村なり町で休憩できるそうだ。



 「だからこそ最初の昼休憩だけは質素な食事になってしまうのです。今までは食べた事がなかったのですが、初めて食べた塩の干し肉は最悪でした。戻してあったとはいえ、あんなに塩塗れだとは……。口の中がおかしくなりそうです」


 「そりゃねえ。そもそも塩が大量に使われてる干し肉なんてそういう物だし? 当たり前と言えば当たり前過ぎて何とも言えないね」



 昼食が終わり出発しているが、何故かストレーナはセリオの上に乗っている。馬車の中は密閉空間なので息が詰まるといい、今はストレーナがセリオの上、護送馬車の中にメイドとロフェルが入っている。


 中に居るワルドー伯爵の息子と【豪腕】は縄などで縛られてもいないが、【善なる呪い】を受けているので悪事は絶対に出来ない。故にメイドにもロフェルにも手は出せないのだ。だからこそ馬車に乗るのを許可している。


 ストレーナは馬車への箱詰めから解放されたからか、テンションが高く色々と話し掛けてくる。護送馬車は幌馬車だが、アルダギオン家の馬車は箱馬車なのだ。だからこそ余計に息苦しかったのだろうと思われる。



 「我が子爵家の馬車にはなるべく乗っていない方が早く進めるでしょう。父上1人だけの方がタッソーも楽でしょうし、ちょうど良いですね。いい加減、箱馬車も疲れますし」


 「まあ、それはそうだろうね。狭い所に押し込められるし、そのまま揺られ続けなきゃなんないし、更に言えばお尻が痛いとも聞くしさ。私は自分が乗りたいとも思わないからどうでもいいけど、実際に乗る側からしたら大変なんだろう」


 「そうなんですよ! お尻がバンバン当たるし、その度に痛い思いをしてですね、本当に大変なんです。正直に言って、セリオの背に乗せてもらっている方が遥かに楽なんですよ、本当に」


 「聞いてた通りか。にも関わらず、改善はされないんだねえ。クッションでも敷けば多少は改善すると思うけど、それでも限度はありそうだし……。やっぱり簡単には解決しそうにないか」


 「クッション?」


 「布を四角く切って、三方の端を縫い合わせる。で、袋状になったら中に綿を大量に詰めて、最後の一辺を縫い合わせたら完成。お尻の下に敷く、弾力のある敷き物……かな? それで多少はお尻はマシになると思う」


 「本当ですか!? お金を出すので作って下さい!!」


 「いや、まあ、別にいいけどさ。そんなに切実なんだね……」



 ミクはそこまでだったのかと呆れつつ、ストレーナにクッションを作る事を伝えた。というか、こういう時代なら既にクッションぐらい作られているだろうと思うのだが、違っていたのだろうか?。


 ミクも詳しくは知らず、ガイアに居た時にハコで調べて知った程度の知識しかない。とはいえ動画なども見ていた為、作り方は十分に分かる。発祥が何時の時代かは知らないが、この程度はあって普通だと思い首を捻ってしまう。


 とはいえストレーナが知らず、無い物は無いのだから受け入れるしかないのだろう。ガイアの歴史でも、何故こんな簡単な物が発明されないのかと思う事柄は山ほどあった。つまりそういう類の物なのだろう。


 色々と話をしつつのんびり進んで行き、夕方よりも早く町に着いた。この町へと一直線に進む為に昼は野営となったらしい。町の手前でストレーナとメイドは箱馬車に戻り、ロフェルも外に出て歩き始めた。


 ロフェルが言うにはワルドー伯爵の息子も【豪腕】も大人しかったようだ。連日の激痛にすっかり心が折れたらしい。今は痛みを受けないように必死なのだとか。どのみち悪事は一切出来ないので、殺されることさえ防いでやれば問題無い。


 町に入って高級宿に宿泊。既に部屋はとられている為、ワルドー伯爵令息も【豪腕】も高級宿に泊まる。これはその方が警護をしやすいからであり、防犯上の観点からこうなっていた。実に正しい配置である。


 ミクは少し出て雑貨店に寄り、大銀貨1枚分の布と綿と裁縫道具を買って帰る。それなりの値段がしたが特に綿が高かったのだ。とはいえクッションが10個は作れる量を買ったので、これほどの値段になってしまっている。


 宿に戻ったミクは、ロフェルとの相部屋でクッションを作成していく。作り方は簡単だし、装飾など一切無くていいのだから簡単な物である。とはいえ運針が見えないほどに速いのは漫画みたいではあるのだが……どうやら気付いてないらしい。


 ミシンよりも速い速度で手縫いをしているという自覚も無いまま、三方を塗った後に綿を詰めていき、ある程度詰めたら縫い、半分ほど縫ったらまた詰める。パンパンにするほどには詰めないが、十分な弾力を出すほど詰めたら縫いきって完成だ。


 それをロフェルへと放り投げて、新しいクッションを縫っていくミク。完成したクッションを受け取って遊ぶロフェル。



 「これいいわね。弾力があって柔らかいし、確かにこれをお尻に敷いていたら馬車でお尻も痛くないかも。でも跳ね過ぎて飛んだりして……」


 「それはもう本人が悪いんじゃない? 流石にお尻はマシになるんだから怒られても困るしね。それとも中央部分を縫い合わせたヤツの方がいいかな? 真ん中が凹んでるクッション。その方がお尻乗せやすそうだし」


 「そんなのもあるんだ。確かにお尻に敷くならそっちの方が良いのかな? とりあえず作ってみたらいいんじゃないの、物凄い速さで作れるんだし」



 それもそうかと思ったミクは、中央を縫い合わせて低くしたクッションも作成。それをお尻に敷いたロフェルは、座るならこちらが良いと絶賛。どう座ってもお尻が安定するからと力強く語っていた。


 ならそれで良いかと思い、子爵とストレーナと執事とメイドの4人分を作成。先ほど作ったクッションのうち中央を縫った方はロフェルに渡し、こんもりしたクッションではセリオが遊んでいた。


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