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0060・セピターの町終了




 ミクは代官屋敷の2階を移動し、代官と夫人の部屋に入る。グースカと寝ている2人の人物を肉で覆うと、声を出す事も許さずに本体空間へ転送。その本体空間ではすぐさま本体が拘束し、レティーが脳を喰らった。


 その後は本体が死体を喰らって終了。ミクは屋敷の1階に移動し、トイレの中に糞尿を捨てる。本体空間で燃やした物も捨てたので別の意味でスッキリしたミクは、再び2階にある代官の寝室に行き、そこの窓から外に出た。


 そのまま町中をウロウロしつつ、犯罪者などが居たら本体空間へと転送していく。あからさまに犯罪者と分かる者しか無理なので、多少の肉で終了。スラムの路地に適当に汚物を放り出して捨てたら、ミクは宿の部屋へと戻った。


 アイテムバッグやレティーを出した後、下着と服を転送したら、下着を履いてベッドへ。後は本体空間で遊ぶのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 翌日。日の出と共に起きる筈のミクは、着替えもせずに寝転がったままだ。理由としてはヴェス達が起きていないので、自分だけ起きても意味が無いというところだ。それと早すぎて厨房の者も動いていない。


 むしろ<拳骨亭>とか<妖精の洞>は、何故あんなに早くから食堂が開いているのだろうか? むしろそちらの方が不思議なミク。


 そんな事をダラダラと考えていると、ヴェス達が起きたらしく動き出した。なのでミクも動き出し、服を着たりと用意をしていく。準備が整いゆっくりしていると、ミクの部屋にヴェスがやってきた。


 なので入室を許可すると素早く聞いてくる。



 「昨夜の首尾は?」


 「夫婦を喰らって、地下室を確認。ドラゴンの置物が左右に分かれて、そこに地下室への入り口がある。そして男性1人と女性4人が居た。あと老年の男性1人に<隷属の紋章>を付けてある。この人物は家令か執事長だと思う。嘘が吐けなくしてあるから聞くといい」


 「………うん。最後が色々とおかしいけど、とりあえずは分かったよ。食堂に行こうか?」


 「そうだね」



 ミクはヴェスと扉の外で待っていた騎士達と共に食堂へと移動。大麦粥と適当な肉の焼き物にサラダを注文。それでも安いのだが、昨日の栄養の話もあってヴェスも何も言わなかった。というか、ヴェスも同じ物を注文している。


 他の騎士達も同じだったが、男性騎士だけは大麦粥を2つ注文していた。全員が食べてみるも、そこまで食べられない訳ではなく、特に問題も無い感じである。ゴールダームの<拳骨亭>の物とは違い、塩が利いているからだろうか?。


 食事後、ヴェスが「代官に挨拶してから行くかね、侯爵への言伝もあるし」と言ったので、全員で代官屋敷へと移動。門番にヴェスが来た事を伝える。門番は中に報せに行ったのだが、慌てた様子で老年の男性が出てきた。



 「私は代官屋敷の家令をしておる者にございます。それが、今日の朝から代官は行方不明でございまして、私めも何が何やら訳が分からず……」


 「代官が行方不明? 何だかキナ臭いね。すまないけど、ちょっと入らせてもらうよ。賊か何かの形跡があるかもしれないしねえ」


 「い、いえ、それは、その……」


 「代官が居なくなってるんだろ? なら事件の可能性がある。近くに居る貴族、ましてや将軍であるあたしには捜査権がある。普段なら侯爵の顔を立てるんだが、今は緊急だ。悪いが入らせてもらうよ」



 そう言ってヴェスはズカズカと入っていく。他の騎士は慌ててついていくものの、アリストラとミクは慌てても驚いてもいない。ヴェスは代官屋敷に入ってすぐ、メイドに案内させて代官の寝室へ。



 「昨夜はここまで一緒に来たんだね、お前が」


 「はい。私がここまで灯りを持って御案内するのは、いつもの事でございます。昨夜も御案内し、その後は自分の部屋に戻りて就寝いたしました」


 「ふむ………。ここに来る前には何処に居たんだい? 代官は」


 「えっと、それは……その……」


 「うん? 言い難いのかい? ただ言ってもらわなくちゃ困るねえ。何処に居たかが分からなきゃ、昨夜の足取りが分からない。ちゃんと言いな、寝室に来る前は何処に居た?」


 「………地下の奴隷部屋におられ、奴隷を犯しておられました」


 「……お前は自分が何を言っているのか分かってるんだよねえ? それは違法行為じゃ済まないんだけど……侯爵は絡んでいるのかい?」


 「……元々侯爵様の命令にございます。私は侯爵様から派遣されたお目付け役でもございます故に」


 「成る程。案内しな、その地下とやらにねえ」


 「………畏まりましてございます」



 老年の男性は喋る度に抑えようとするものの、口を噤む事はできなかった。当然であり、逆らう事など不可能なのだが、本人は知らないので仕方がないと言える。


 これがミクの言う<隷属の紋章>とやらの威力かと、ヴェスは内心で愕然としており、自分に使われた際の怖ろしさに戦慄しているのだった。


 自分に使われたらと即座に考えるところは、やはり将軍位にある人物だと言えるだろう。


 1階のドラゴン像を動かすのだが、男性騎士も手伝って動かした後、地下への階段を下りていく。そして左右に牢のある場所へと来た。


 右の牢に女性が4人、左の牢に男性が1人。それを見たヴェスは、ミクの言う通りであったと実感した。それと同時に敵に回した際の恐ろしさも合わせて理解し、絶対に国が敵対しないように立ち回らねばと改めて誓う。


 そんな内心はおくびにも出さず、奴隷となっていた男性と女性を牢から出させて保護する。更に1階へと戻ったヴェスは、男性騎士1人に東の領の貴族宛てに手紙を届けるように指示。


 その手紙はささっと書いて男性騎士に渡していた。受け取った男性騎士は胸に手を当てて敬礼した後、乗ってきた馬の厩舎に行き、馬に乗って移動していく。



 「東の領の奴はあたしの教え子でね、便宜も図ってやってるから、すぐに手勢を率いてやってくるよ。それまでは残念ながら町で待機だね。侯爵に連絡を取られても困るから、お前には詳しく話を聞かせてもらうよ?」



 そう言いつつ家令を睨むヴェスと、その視線を受けて顔を真っ青にする家令。ミクとしては無駄に時間を使わされるのは嫌だが、こればっかりは仕方ないと諦めるのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 それから3日後。東の領地の子爵が手勢30の騎馬兵を連れて駆けつけ、家令や執事長を捕縛。手勢を率いて王都に連行する事になった。徹底して侯爵には情報が伝わらないようにし、怪しい者はミクが密かに喰らったりしている。


 ついでに町中の犯罪者なども消えており、代官が居た時と比べて治安は向上していた。更には不良兵士も行方不明になっていたりするのだが、その事は兵士達も知っており、全員が見ないフリをしている。


 こういう時代だと貴族は絶対とも言えるうえ、相手はスヴェストラ女将軍だ。<雪原の餓狼>とも言われる女傑である以上、兵士如きは誰も声を上げない。上げても得をしないうえ、不良兵士が居なくなって喜んでもいるのだ。上げる訳が無い。


 捕縛した後に子爵側とヴェスは話し合いを行ったようだが、ミクは知らない。興味も無いので聞いてもいないのだ。そもそもミクは探索者だし。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 次の日の朝。子爵が出発したのを見届けてから、ミク達も出発。次の町へと進む。フィグレイオ獣王国に入った途端、喰らう事になったのは良かったが、その後の収束に時間が掛かりすぎだ。そうミクは感じていた。



 (次は喰らって終了、すぐに次へ、という形にならないものかな? スラムの連中や怪しい連中も喰えたから良かったけど、それもレティーが脳を喰って情報を得てくれなかったら喰えなかったくらいだし。次も上手く喰えるとは限ってない)



 人間種の社会は面倒だなと思いながら、馬車に揺られるミクであった。


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