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0614・港区ダンジョンと新たな星へ




 更に時が過ぎ、日本は秋の季節になっている。突如、皇居にダンジョンが出現し、天皇陛下と皇族方は京都へと移動されるというニュースが流れた。その対応として皇居ダンジョンの攻略は、コウジ、セン、タケル、アスカ、ケイコの5名が向かう事に。


 時を同じくして港区にもダンジョンが出来てしまい、ここの攻略はミク1人で行う事になった。こちらにはドラゴンが出るが、ミクには相手にならない程度でしかない。所詮ドラゴンでしかないのだから。


 それぞれが分かれて攻略するのだが、タケルの目当ては<武神の剣>だ。他にも色々なアイテムがあるダンジョンらしいので、それぞれで山分けするそうである。ミクはどうでもいいので港区に移動し、さっさとダンジョンを攻略していく。


 1階から進んでいくものの、一気に走って階層を通過。ドローンなどで撮影しているのはコウジの方であり、ミクの方はビデオカメラで撮影しているだけである。ミクが走るとドローンが遅れるので仕方ない。


 適当に魔物を蹴り飛ばしたりしながら走り、あっと言う間に最深部に到達する。ハッキリ言ってザコしか居ない以上は、ミクを阻止できる者など存在しない。そもそも最強の怪物なのだから当たり前の事であろう。


 そんなミクの前にドラゴンが現れたものの、普通の赤いドラゴンでしかなかった。



 「なんだレッドドラゴンか、下らない。マジックキラーを投げたら、後はセリオの遊び相手かな?」


 『僕が戦うの? ドラゴンかー。勝てるとは思うけど、やってみないと分からないね。それにダメージを与える事が出来るかな?』



 ミクはブレスを吐こうと口を開けたレッドドラゴンに対し、マジックキラーを投げつけた。狙いをあやまたずに口蓋に突き刺さったマジックキラーの投げナイフ。流石に口の中の異物は取れないのだろう。


 必死に顔を振ったりしているが、何の意味も無いようだ。そんなレッドドラゴンに対し、大きさを最大にしたセリオが突進する。レッドドラゴンの大きさは縦に4メートルだが、セリオの最大の大きさも縦に4メートルである。


 そんな重量級戦車が【身体強化】をして突撃してくるのである。流石のレッドドラゴンも堪ったものではなく派手に吹き飛ばされた。鱗などに傷は付いていないが、体の芯に届く衝撃はダメージとなって蓄積する。


 また、このボス戦の場所そのものがレッドドラゴンにとって相性が悪かった。何故なら飛んで逃げられないからである。ダンジョンの中なので高さにも限度があり、空があるように見えているだけだ。天井があって高さは決まっている。


 他にも飛べない理由があり、それはドラゴン自体が【魔法】を使って飛ぶからだ。マジックキラーは魔素の動きを乱す、よって魔法は全く使えない。つまり今のレッドドラゴンは二重の意味で逃げられない。ドラゴン種の足は遅いのである。


 優雅に飛ぶ姿をイメージするだろうが、地上ではドタドタ走るしか出来ないのがドラゴンでもある。4本足で体が大きいのだから、どうしようもない事ではあるのだが、およそドラゴンの優雅さからはかけ離れている光景だ。


 そんなレッドドラゴンに対し、相撲のように押していくセリオ。相手の体の下に角を無理矢理入れ、グイグイと押していく。レッドドラゴンは両手をセリオに向かって振り下ろすが、セリオの皮膚を切り裂く事も貫く事も出来ない。


 どうやら【竜鱗】スキルを使わなくてもレッドドラゴンの攻撃で傷は受けないらしい。そして【身体強化】を使って一気に押したセリオは、ついにレッドドラゴンを引っ繰り返した。


 仰向けに倒れたレッドドラゴンの翼の根元を噛み、無理矢理に顔を左右に振って千切ろうとするセリオ。それを受けて痛みに悶えるレッドドラゴン。数十秒は掛かったものの、最後には翼の根元を噛み千切った。



 「Gyaaaaaaa!??!!?」



 レッドドラゴンは悲鳴を上げて苦しむが、セリオは更に噛んでいき、左の翼を根元から噛み千切ってしまった。体が長細い形だからか、一度仰向けになるとなかなか起き上がれないレッドドラゴン。それでも翼を失ったからか、そちらへ体を回転させて起き上がる。


 怪獣大決戦は終盤へと差し掛かってきたが、未だ闘志が衰えないレッドドラゴンと、翼の肉を食って御満悦のセリオとの睨み合いが続く。何度もブレスを吐こうとするも出ない事に腹を立て、今度はセリオに噛み付くレッドドラゴン。


 流石に噛みつきは危険だと思ったのか、【竜鱗】スキルを使って防ぐセリオ。そしてその間にレッドドラゴンの首に噛みつき、どんどんと噛む力を強めていく。鱗が圧迫されて呼吸がし辛くなったのか、レッドドラゴンが噛みつきを止めて暴れる。


 それを好機と見たセリオは【身体強化】を顎と牙に使い、更に噛みつく力を強める。



 「Gaaaaaaaaaa!!?!!? ……gya!?」



 セリオが本気を出して噛み続けていると、突然「ガチィッ!!」と音が鳴り、レッドドラゴンの首が落ちた。どうやらセリオが噛み潰す事に成功したらしく、その一撃で首を落とされたレッドドラゴンは死んだようだ。


 レティーがレッドドラゴンの血抜きをしている間、セリオは小さくなって【清潔】を何度か使い体を綺麗にしていた。レッドドラゴンの涎などが付いていたので汚かったのだろう。ミクはマジックキラーの投げナイフを回収している。



 「セリオも随分と強くなったね。レッドドラゴン如きじゃ相手にもならないみたいだけど、今のところはグリーンドラゴンぐらいしか何度も戦えるドラゴンは居ないし、暴れられるのはゴールダームの第9エリアぐらいかな?」


 『そうだね。とはいえ無理に戦いたい訳じゃないけど、たまに暴れるぐらいならいいかな?』



 レティーの血抜きが終わったので回収し、先へと進むミク達。次の階層はコアルームだったので、コアを潰して宝箱を開ける。中にあったのは何かの薬壜であり、ミクはそれをアイテムバッグに入れて待つ。


 ダンジョンが収縮するように変化し、そして気付いたら港区のダンジョンの外に出ていた。どうやら無事に破壊し終わったようである。


 ミクは葉月家の車へと急いで移動し、乗り込むとすぐにその場を去った。話しかけようとする者やマスコミが鬱陶しいからであり、ミクには話す事など何も無い。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 葉月家に戻ったミクは、手に入れた薬壜をハルカと共に鑑定する。その結果、この薬壜はミクが封印する事に決まった。何故なら説明に<霊薬の薬壜>と出たからだ。体の全ての不調を治す万能薬であり、時間が経てば薬が湧いてくると説明にはある。


 間違いなく戦争案件の薬であり、とてもではないが誰が持っても危険な代物でしかない。よって、絶対に奪われないし見つからないミクが持つ事に決定したのだ。そして受け取ったミクがアイテムバッグに詰めると、何故かその場から姿が消えた。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 「どういう事だ?」


 「あの2つの星はあれで終わりだという事だ、今以上の干渉を禁じる。どうもこれから<世界>が関わるようなのでな。……悪いが我らに文句を言うても困るぞ? 我らとて何も聞かされておらぬ」


 「<世界>か……ならば仕方あるまい」


 「そなたは中途半端なところで終わったと思うかもしれぬが、悪徳な者も放っておけば始末されるからの。あれも<世界>が関わる前の大掃除なのだ。そなたには悪い事をしたのでな、今回の褒美は【空間魔法】とする」


 「は? 【空間魔法】?」


 「そなたには教えておらなんだが、アイテムバッグを考えれば時空間に関わる<根源魔法>が存在する事は分かろう? それを褒美としてやるから溜飲を下げよ。<世界>が関わる以上、優先されるべきは<世界>ぞ」


 「まあ、それならば構わん。【空間魔法】とやらは役に立ちそうだ」


 「うむ。次の星は少々厄介なので役に立とう。それとアヤツの作った病原菌はここから完全に消すぞ、あれを次の星でも撒き散らされては困るのでな」


 「私は喰いたいのだから、あんな物を使う気は無い。命じられたからバラ撒いただけだ」


 「ならばよい。それでは【空間魔法】を受け取れ」


 「ぐぁっ!?」



 またこれかと思いつつ痛みが引くまで待つ本体。「毎度毎度変わらんな」と思ったが、知識はすぐに入り痛みも引いた。



 「終わったな。ならば次の星へと送る。次の星は人間が居らぬ。人間の姿でも構わぬが注意せよ」


 「は?」



 今度はどんな星なのであろうか? ミクの旅路はまだまだ終わらない。



 ここまでお読みいただきありがとうございます。「いいね」を押してくれたりポイントを入れてくれた方、この場で感謝申し上げます。


 この第2部は、第2部とは名ばかりの第1部との続きとして最初から考えていました。病原菌の話自体は最初の星の時から構想の中にあったのですが、それだけではつまらないなと思い、少し第1部に付け足す形での第2部となります。


 あのままダラダラと続けても意味が無い為、最後はタケルの知っているゲームの終わりと同じ状態で終わりとしました。本当はもうちょっと色々と書きたかったのですが、このまま続けても意味は無さそうだと思い、丸々カットと致します。


 次は心機一転、完全に新しい星となります。イメージは魔物が暮らす星であり、特に人型の魔物が文化を営んでいる星と考えると分かりやすいでしょうか。


 読んでくださる方が少しでも居るのが励みとなっておりますので、これからも宜しくお願いいたします。


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