0606・学校とコウジ達
Side:北条光時
今日はいつものように普通登校だが、2人は大丈夫だろうか? 既に妊娠2ヶ月。後8ヶ月ちょっとで俺も子供の親になる。その事が驚きなような、そうではないような。そんな不思議な気持ちだ。
いつものようにセンと学校への道を歩くが、新入生らしき1年生をちょこちょこと見る。自分もああだったんだなと思いつつ、去年の今ごろのセンもああだったなと思い出す。
「お兄ちゃん、何か歳とった? 新入生を見るのはいいけど、懐かしいって懐古してる時点で色々駄目だと思う。なんか歳をとったお爺ちゃんみたいになってるよ?」
「誰が爺だ、誰が! ちょっとくらい懐かしさに浸ってたって良いだろう。俺は今年で卒業だぞ?」
「卒業できるの?」
「出来るに決まってるだろう。去年の3学期の成績はメチャクチャ良かったっての。そもそもそれはセンだってそうだろう? 【身体強化】して勉強してるんだからさ」
「まあね。覚えやすいというか忘れ難いというか、とにかく勉強が捗るんだよねー。御蔭でテストは凄く楽」
「俺もだ。まあ、元々平均よりも良かったけど、このままだと大学がどうとか言われそうなんだよな。俺の進路決まってるのに」
「<ダンジョン暮らし>だよねー。っていうか、あそこまで儲かるなら大学とか行かずに稼ぎまくって引退するよ。普通は」
「半年どころか、数ヶ月で3億だもんな。千芭と夏沢さんはそれ以上に稼いでるらしいけど、夏沢さんが妊娠したから今は休みだって言ったら蹴り飛ばされたらしい。今しか稼ぐチャンスが無いんだから稼いでこいって」
「翠さんって本当にそういうトコ容赦ないよね。千芭はアレだけど、翠さんが尻に敷いてるから大丈夫かな?」
「まあ、浮気とかは心配しなくていいらしいけど、大丈夫なのかな? そこに関してもあんまり信用ないけどな、千芭は」
「それよりもお兄ちゃんもじゃないの? お母さんも遥さんも喜んでたけど、2人とも妊娠してるしさ。奥さんが妊娠中は浮気しやすいらしいよ?」
「無い無い、そんな事あるわけないだろ。根本的にモテないっての。まあモテても無いけどさ」
センは俺を何だと思ってるんだかな、全く。それよりも学校生活でも気をつけてもらわないといけないし、2人をさりげなく助けたりしないとな。何かあったら一大事だ。
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昼になったので昼食を食べるんだけど、今は2人とも同じクラスなので一緒に食べている。周りも遠慮しているのか何なのか、最近クラスで昼食を食べる人が減った気がするなぁ。気持ちはちょっと分かるけど。
「それで、この前はどうだったんですか?」
「上手くいったよ。案外2人でもどうにかなるもので、ちょっと驚いたけどね。ただ、御大からは二郎衛門さんと一緒に3人で行った方が良いって言われたよ」
「それはそうでしょうね。流石にセンと2人では危険ですし、せめてもう1人か2人は居た方が良いです。とはいえ、その人選には難航しそうですし、下手な人は付けられないでしょうが……」
「そうですね。男性でも実力が乖離していますし、女性などもっての他です。となると夕月と坂村になるのですが、あの2人は元々私のメイドと運転手なのですよね……」
「私の方はもっと駄目です。そもそも鍛えていませんから、一から教えるとなると時間が掛かり過ぎます。それ以前に私もメイドと運転手が居ないと困りますので……」
「そうなるとやはり貸し出せても坂村までですね。ですが、それだと3人ですし……」
「いや、センと2人で潜れるところまでしか行かないから、別に問題は無いよ。そこまで危険なところに行っても仕方ないし。それに私有地ダンジョンの踏破率も今は100パーセントだからね」
「私有地ダンジョンの中にも解放している所がありますので、必ずしも破壊しなくてもよくなりましたしね。中には初心者ダンジョンとして売り出している所まである始末ですが」
「それもまた仕方がないと言えますし、同時に探索者になったばかりの人にとっては丁度いいですしね。初心者が難易度の高いダンジョンに行くのは危険です」
「<ダンジョン暮らし>に所属している人もそうだけど、儲からないからって難易度を上げて怪我する人が多いみたいだよ。前にミクが愚痴ってたからさ」
「そういえば、そのミクさんは一緒ではないのですか? 彼女に来てもらえば安全ですし、私も八重さんも安心できるのですが……」
「ミクはこの前の会議で言ってた<スライム育成師>の人のところに行ったから今は居ないよ。向こうのダンジョンを踏破してから帰ってくるから、時間が掛かるんじゃないかな? それと<竜の牙>っていう人達も連れてくるってさ」
「向こうの最強チームでしたか……。まあ、本当に最強かどうかは定かじゃないらしいですけど、それでもギルドマスターの娘さんが所属しているチームらしいですからね。どんな人達なのかちょっと興味がありますが……」
「ごちそうさま。俺も興味はあるけど、礼儀とかはちゃんと弁えている人達らしいから心配はしてないかな? トップチームって事は色々とちゃんとしてないといけないらしいし」
「ごちそうさまでした。そうですね、その辺りは星が違っても変わらないと思います。下なら気にしないのかもしれませんが、トップの人というのは何かと注目されますからね」
「ごちそうさまでした。実力があればある程に注目されますし、そうなるとちょっとした事で責められるんですよ。礼儀が足りないとか、愛想が良くないとか。それよりも食事は終わりましたよ?」
俺にとって処刑時間というか、色々と大変な時間がやってきた。未だに慣れないし、何で学校というかクラスの中でしたがるんだろう。とはいえ、奥さん2人の求めに応じられなきゃ男じゃない。今日も気合入れて乗り越えよう。
「じゃあ、いつも通りに2人と。チュッ……チュッ」
「うん。こういうのって、やっぱり良いですよね」
「ええ、本当に」
2人が喜んでるから良いんだけど、周りから生温い視線がビシビシ飛んでくるんだよなー。とはいえ俺の恥ずかしさと2人が喜ぶのと、どっちを優先するんだと言われたら2人なんだけどさ。それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。
何だか、その恥ずかしさも含めてやらされてる気がするけど、気のせいだろうか? 確か千芭も夏沢さんに色々させられてて恥ずかしい思いをしたとか言ってたような……。女性ってこういうのが好きなのは変わらないんだろうなぁ。
「そういえば、今日は光時君の家にお泊りですけど大丈夫ですか? この前は寝室が別々になっちゃいましたけど」
「そうでしたね。男性は色々と溜まるそうですし、八重さんと相談して浮気防止策をとる事になったんですよ」
「いや、浮気なんてしないから」
「そうかもしれませんが、やはり念には念を入れておかねばいけません。ですから私達でちゃんと処理しておかないと」
「そうですよ。それも妻の務めです」
「あっ、はい」
こうなった2人は絶対に俺の意見を聞かない。早々に白旗振って、2人の希望通りにするのが一番だ。周りから更に生温い視線が飛んでくるが、この際気にしたら負けだ。無になろう、無に。
「では、今日のお泊りで光時君のイロイロを処理するという事で」
「ええ。私達が妊娠しているのに光時君が浮気したとなれば、ウチの父も何を言い出すか分かりませんし」
「いや、しないって言「えぇぇぇぇーーーーーっ!?!!!?!」ってる……」
………2人とも笑顔だけど、もしかしてワザと言った?。




