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0605・全員での話し合い その3




 スライムを連れて来ても構わない。そうミクは言ったが、それを聞いて少々困る面々。問題は色々とあるが、一番厄介なのは特定外来種となって猛威を振るう事である。そうなったら目も当てられない。



 「そんな事は無いんじゃないかな? 作物を食べないように話して、害虫とか雑草だけ食べていいと言っておけば勝手に食べると思う。まずは家庭菜園から始めなきゃいけないとは思うけどね。向こうの<スライム育成師>をこっちに連れて来ようか?」


 「向こうの星にはそんな者が居るのかい。今まで向こうの星の情報に触れてきたけど、そんなのは初めて聞くね」


 「向こうの星では当たり前の事だからだよ。貴族家ではお抱えの<スライム育成師>も居るらしいよ。家の中を隅々まで綺麗にしてくれたり、庭の雑草を処理させたり、汚物を綺麗にしてくれるからね」


 「汚物って……いや、そういう利用方法も分からなくはないけどさ。それってどうなのかとも思う。俺自身がそれを見なければ納得できるようになるのかな?」


 「自分にさえ見えなければ、特に気にしなくなると言いますからね。人間誰しもそうですが、自分が当事者にならない限りは本当の意味で理解できませんよ。だから色々な事件の被害者だけが苦しむのですし」


 「その事は今関係ないから横に置くとして、汚物を綺麗にしてくれるなら、スライムを活用するのは特に問題ないね。とはいえ昨今では汚物からリンを取り出したりしてるから、使うなら最終工程かい?」


 「その辺りは下水処理場に任せた方が良いでしょうね。それよりも貴族の家の掃除の事ですよ。それをしてくれるなら大変ありがたいのですが、向こうの星の<スライム育成師>とやらを連れてこれますか?」


 「たぶん大丈夫だと思うけど、翻訳アプリの方はどうなってるの? 確か向こうの言葉の翻訳アプリも開発してたよね?」


 「大凡おおよそは終わってるよ。ただし専門用語とかその他はちょっと無理だね。これに関してはその言葉を知ってるのが居ないからストップしてる。これから学習させてバージョンを上げていくしかないね」


 「それならこの話は<スライム育成師>を連れて来てからとなるね。まずはダンジョンを踏破しなきゃいけないからちょっと時間が掛かる。たぶん2日か3日で終わるとは思うけど」


 「それだけ早けりゃ十分だよ。私達だって急いでる訳じゃないからね。その程度で十分だしお釣りが来る。スライムが上手くいけば日本もまた変わるだろうさ。海外が何を言ってくるかは知らないけど」


 「そういえばその海外で思い出したんやけど、連中の国はどこまで数を減らすんや? 特に同盟国のアメリカはメッチャ国民の数が減っとるんやけどな。他の国でもバタバタ死にまくっとるから問題にはなっとらん。せやけど世界の警察を自称しとったアメリカが弱まるとなぁ……」


 「心配しなくても善人以外が死んだら治まるよ。ついでに悪人であれば日本人でも死ぬしね。中には耐える奴も出てくるだろうけど、そこまで多くない筈。私の予想では、このガイアにあの病原菌は蔓延し続けると思う」


 「つまりアレや、あの病原菌は常にあり続けるから、善人やないヤツは毎年死んでいくって事か?」


 「おそらくだけど、普通ぐらいなら問題ないんだと思う。ちょっとした悪戯とかその程度ならカルマが悪化したりしないだろうしね。ただし虐めや差別だと多分死ぬ、つまりそういう星にするつもりなんだと思う。間引きをするにしても、善人を殺したら意味が無いでしょ?」


 「成る程、それで特殊な病原菌を撒き散らした訳だ。何だかあれだね、この星ではもう2度と戦争は起こらない気がするよ。魔物との戦いは戦争じゃないし、狩りぐらいは流石に許されるだろう」


 「それは問題無いよ。生きる為の戦いは、そもそもカルマには関係が無い。たとえ金儲けでも、それが生きるのに必要ならカルマが悪化したりはしないよ。生きるだけで悪って事は無いからね」


 「あの病気の症状そのものは軽い風邪みたいなもんやからな。放っといたら治るし、治ったいう事はカルマは問題ないっちゅうこっちゃ」



 とりあえずで安心した各名家の当主達。話し合わなければいけない議題も完全に終わり、ここからは雑談モードに変わる。飲み物などを飲みつつ適当な会話を始める面々。



 「そういえば、翠。お前帰ってくる言うとったのに止めたみたいやな。おかんが怒っとったで、「せっかく久しぶりに会える思てたのに」ってな。それと尊にもじっくり話聞きたい言うとったし」


 「あー、それか。ゴメンなぁ、て言うといて。この前調べに行ったら、妊娠3ヶ月やったんよ。最近太ったかなー? 思てたら子供出来ててん」


 「はぁ!? お前そない大事な事いきなり言うなや! こっちはこっちで色々と準備せなあかん事があるやろがい!」


 「そない言う思てたから言いたなかってん。ゆっくり準備したらええがな、どうせアタシもこっちから動かれへんねやし。それに兄貴らの子供はもうるやん」


 「それとこれとは話が違うに決まっとるやろ! こら尊! お前なんで黙っとったんや!!」


 「いや、翠に黙っておいてくれと頼まれたので……。流石に言う訳には……」


 「まあ、仕方がないね。尻に敷かれてるうえ、嫁さんは身重だ。余計な心配を掛けない為には黙ってるだろうさ。翠が調べたのは、私に相談があったからだよ。ちょうどその話をしてたからねえ」


 「は? その話……?」


 「そうさ。八重と桜も妊娠2ヶ月で曾孫が見られるって話をしてたら、最近太ってきたと思ってたけど、もしや……という話になったんだよ。で、調べてきたら3ヶ月だったという訳さ。つわりとかは全然無いそうなんだけど、もしかしたら強くなってるからかもしれないねえ」


 「ああ、苦しゅうないんか。そら良かったで。そういう心配もあるんやからな、息子と娘は違うんや。お前も親んなったら分かるやろうし、そん時にはワシと同じように怒っとるで。……千芭のヤツ顔色変わっとらんけど、もしかして」


 「すまないが、私は知っていた。その時は偶然にも葉月家への報告のタイミングだったのだ。繋がったままだったのでな、聞こえてしまったのだよ」


 「……なんでやねん! 何で知らんかったんワシだけやねん、おかしいやろ!」


 「そんな事を言われてもねえ、たまたま運が悪かったと思うしかないだろ」


 「すまないが、私は娘の妊娠を知っていたので同じじゃないよ? 揃って報告してくれたからね。こっちで出産できないのは残念だが、連れてくる間に何かあってはいけないから、産まれそうになったら私が行く事にしているよ」


 「せや、ワシも産まれる時には行かなあかんがな。予定は空けとかなあかんけど、入れてくるヤツりそうやし……情報は出さんようにしとかなあかんか」


 「あー、色々と夏沢家の足を引っ張ろうとしてるトコがあるねえ。私も京都だからかよく聞こえてくるよ。毎回、私のところに言いに来るんだよね。名家同士が争うと思ってるバカがさ」


 「あいつらポッと出やからな、筋の通し方知らんのよ。今までやったら外資の後押しもあったんやけどな、大陸の。今はそれが無くなっとるから必死なんや、あのボケども」


 「大陸はおびただしい程の数が亡くなってるけど、それだけ悪人が多かったというところだろうね。然もありなん、としか思わないけどさ」



 どうやら日本人だけが耐性を持つ事は頭から飛んだらしい。カルマの悪い者が死ぬと覚えてくれればそれでいいかと思うミクであった。


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