0604・全員での話し合い その2
「まあ、病気の事は分かったよ。あれは神様がバラ撒けといった事であり、間引きの為のものだとね。これが主題だったんだけど、まさか神様が絡んでるとは予想外もいいところさ」
「しっかし神さんに創られた言うてたんやから、どっかで想像できてもよかったんかもなぁ。見事に頭からスッポリ抜け落ちとったわ。そういえば御大のところから融通してもうた武器、それなりに役立っとるで」
「そうかい。時間は掛かったけど、やっとミクが言っていた方法での武器作りが出来るようになったからね。苦労の甲斐があったよ。とはいえ、一番苦労する羽目になるのが接着剤だったとは、あれだけは本当に予想外だった」
「今のところはアーストードの体液かドレイクの血液を濾過したものでしたっけ? 他の魔物の血液は駄目だったんですか?」
「いや、使えなくもないけど、強力な魔物の血液の方が上手く力が乗りやすいという事は分かってる。この血液の濾過にそれなりの時間が掛かるから、安い物はアーストードの体液だね。あれの採取は難しくないそうだからさ」
「まあ、捕まえて宙吊りにするだけですからね。魔物だからか、何故かオシッコとかしませんし。俺も何度か採ってきましたけど、そこまで難しくはないですし、1匹でそれなりの量が手に入りますからね」
「しかも浅い階層で出てくる場所が数ヶ所あるからな。そこへ行けば儲かるだろ。最近公的ダンジョン以外でも、私有地ダンジョンを解放する人が現れ始めたしな。公的ダンジョンと違って全部売らなくて済むから、色々な企業に売ってるし」
「私有地ダンジョンは自己責任だもの。言い換えれば自己責任で解放しても文句は言われないのよね。訳の分からない政府の決定の所為で全部売る事を義務付けられてたし、何故か国外に売られたりしてたけど、最近はそれも無くなったみたいよ」
「しかも私有地ダンジョンの活用が活発になってきた所為で、公的ダンジョンに行く人が減る一方だそうよ。あそこまで色々と建物を建てたりしたのにね、それを回収できたのかしら?」
「難しいんじゃない? 横流しっぽい事をしてたのは色々な企業だって知ってたし、公的ダンジョンに信用が無いのよねえ。絶対に売らなきゃいけないって文言を外せば、それなりに人は集まると思うけど……難しいでしょ」
「そらな。利益全部ガメてたのに、それが出来へんようになるってなったら反発は必至やで。せやけど、そこを何とかせんと人が寄り付かんようになるでな。そうなったら赤字垂れ流すだけの箱になって終わりやで」
「人件費の回収も難しくなるから、そうなる前には政府も舵を切るとは思う。バカな野党も随分減ったし、外国とのパイプが自慢の売国奴も居なくなった。その御蔭で随分と良くなったよ」
山雅家の当主の発言に「うんうん」と頷く各名家の当主達。何故か善人になった千芭家の当主も頷いているが、善人になったのではなかったのだろうか?。
「国を弱らせたり悪化させる者など許してはいけない。そんな事は当たり前のことだろう。良い悪いではない、国あっての名家なのだからな」
「「「「「………」」」」」
5名家の当主からすれば「お前がそれを言うのか?」という思いがあるが、それを口にするのを寸でで思い止まったようだ。その所為で何とも不思議な空気になったが、そこを無視してミクが話を変える。
「そういえば、大陸の国でゴミを喰ってたら宗教関係のヤツに襲われたんだけど、心当たりはある?」
「宗教関係? ……っていうより、大陸って何大陸のこと?」
「大陸と言えばすぐ近くの巨大国家の事だろうさ。昔からあそこの事は大陸とか支那とか呼ぶからね。ミクもそういう意味で呼んでるんだろう」
「そうなんだけど、それはいいとして、某十字架教の連中に襲われたんだよ。どうもナントカ市国の中に、そういう部署が古くからあるみたい。悪魔殺しの部隊? そういう感じのがさ。これはレティーが脳を喰って手に入れた情報だから間違い無いよ」
「あそこにそんな漫画みたいな秘密部隊があったんだ……。ある意味で本当に驚きだけど、今でも悪魔を探して倒してるのかな? あれでしょ、変な形の双剣もって「エイメン!」って言うんでしょ?」
「双剣は持ってなかったけど、「エイメン」とは言ったね」
「おぉう、マジか……。センは冗談で言ったんだろうけど、本気で言うんだな。やっぱり修道士っぽい服で襲ってきたのか?」
「いや? 黒ずくめだったけど、何故か服の前に大きく十字架が描かれてたね。何であんなに分かりやすい服を着るのかは謎だけど」
「いやいや、隠せ隠せ! なんで黒ずくめやのに分かりやすう十字架なんか描くねん、おかしいやろ! お前らアメリカのNINJAかっつうんじゃ! 少しは隠せ!」
「言いたい事はよく分かります。十字架だけじゃなく「エイメン」もですからね。隠す気ゼロでしょう」
「脳から情報が奪われるとは思ってなかったんでしょうけど、それにしても少しは隠そうとしないものですかね?」
「他にも弁髪集団に襲われたよ。何だか功夫っぽい技とかも使ってる感じだったけどね、主に棍で攻撃してきた。後、銃も撃ってきたよ」
「なんでやねん! そこはカンフーの技で戦えや!! なんで銃なんぞ取り出しよるんじゃ、ボケェ!」
「本当にね。弁髪の集団が銃を使うとか心底ガッカリだよ。でも同時に、実に大陸の者らしいとは思うけどね。あいつらそんなもんだろ? 偉そうに古い時代の事を誇る割には、それをマウントをとる道具にしか使わない。現実には大切にも大事にもせず、平然と裏切ったり無視する」
「正に自分だけが良ければいい。徹頭徹尾、あそこの国の者は自己中心主義なのですよね。もちろん半島も変わりませんけど。あそこは大陸と親子みたいなものですし」
「ま、今は砂漠方面に行ってるから、もう大陸には居ないけどね。いちおう言っておくと、人を喰うから妖怪扱いされてたよ。それで襲われたんだけど、十字架教の方は知らない」
「妖怪ねえ。分からなくもないけど、何を考えてるんだか……。少なくとも妖怪なんてものは存在が確定してないだろうに。魔物が向こうの星から来たって方が、よっぽど可能性は高いだろ」
「そんな事が分かるんやったら、阿呆は出てこんて。十字架の方もどうせ悪魔が見つかったやなんや言うて襲ってきたんやろ。あれらも古い時代から弾圧やら何やらしまくっとるからな。魔女狩りなんか、その最たるもんやろ」
流石に今の時代になって、そんな非科学的な迷信を行うとは思わないが、あり得ないと一笑に付すような連中が出てきたのだ。笑って済ませるには危険な気もしてきた面々。
「神様の作った病原菌で人口は凄い速さで減っています。もしかしたら、その影響でオカルトが力を持つかもしれません。まあ、我が国でそんな事は無いでしょうが、早急に農作物を大量に育てないとマズいですね」
「そういえばそうだ。他国の人口が減るという事は、我が国が輸入している作物も減る恐れが高い。もちろん耕作機械があるから、早々簡単に減ったりはしないだろうが……」
「大昔と違って、1人当たりの担当出来る田畑の面積は増えてるからね。それでも限度はあるけど、品質が落ちてもいいなら面積は増やせる筈。とはいえ目が届かないと害虫被害もあるから難しいところではあるけどね」
「そういう農業はスライムが使えれば楽そうだけど、そこはどうなんだろう? 連れてくるだけなら裏技を使えば連れて来れるよ」
「「「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」」」
スライムが連れてこれるという事で、ビックリする一同。ミクは何を考えてそんな事を言ったのだろうか?。




