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0595・共同訓練 その2




 ついて行こうとしたミク達を中川大佐が止め、小さい声で話し掛けてきた。



 「今回の事はさっきも言った通り、魔法を使った犯罪者に対する訓練です。ただし、当然それだけではありません。皆さんには馴染みが薄いかもしれませんが、中東の方で例の宗教のテロリストが動いているんです。最近活発に魔法を人員に教えているらしく、大規模な魔法攻撃を計画している恐れまであるんですよ」



 中川大佐はミク達を案内しながら、今回の共同訓練が提起された理由を語る。



 「確かに中東の方にはそういうテログループが今もある事は知っていますが……。ただ、多少の魔法を知ったところで、自爆テロ以上の効果は無いと思います。使い慣れていない者が魔法を使っても大した威力にはなりませんし、それでは人数を掛けても……」


 「こちらから1つ質問があります。大勢の人数で魔力を集めれば、簡単な魔法でも強力になりますか?」


 「なる。そもそもなんだけど、その理屈で使われるのが儀式魔法だよ。魔法のエリート20人ほどを集めて使われる魔法。多くの人数を集めればそれだけ魔力の総量は増える、そうすれば強力な魔法が使えるのは当たり前」



 訓練場に到着しながらも話していた為、各国の軍人が騒ぎ始めた。ミク達も中川大佐も翻訳アプリを使ったまま喋っている。なお、ミクは英語だけでなく他にも幾つかの言語で会話可能であるが、その事は誰にも伝えていない。



 「Hey! さっき言ってた力を合わせりゃ強力な魔法が使えるって事実か? そうとなりゃ話が変わるぞ。オレ達が幾ら訓練しても自爆テロリストどもを抑えられねえじゃねえか」


 「そもそも人間相手なら銃で何とでもなる筈。ならそこまで気にしなくていいだろう。それと、お前達の中に魔法が使える者は?」


 「我々は全員魔法が使える」


 「我々もだ」


 「我々もそうだが何が言いたい?」


 「ならそれぞれの国の軍人で、簡単な魔法を協力して撃ってみれば分かる。向こうに飛ばすなら文句も言われないでしょ?」


 「まあ、そうですね。出来る限り気をつけてほしいですが、怪我などしないようにお願いします」



 中川大佐がそう言い、各国の軍人は協力して1つの魔法を使おうとする。それぞれの者が魔法陣の1部を構成し、複数の人間で一つの魔法陣を完成させる。そして、魔法は発現しなかった。何度も試してみるが成功しない。



 「おい、てめえ。オレ達を笑い者にする為にこんな事をやらせやがったのか? 魔法なんて出ねえじゃねえか!」


 「それはお前達が魔法を制御していないからだ。どんな魔法でもそうだが制御しなくては魔法は維持出来ない、だからお前達が放とうとした魔法は失敗した。つまり複数人で魔法を使うのならば、全員が一致結束して制御する必要がある」


 「全員で制御?」


 「そうだ。自分1人なら当たり前の感覚でやっている制御を、複数人で力を合わせてしなければいけない。当然ながらその難易度は急激に上昇する。真っ直ぐに放つだけでも難しく、何度も何度も何度も練習しないと出来ないほど難易度が高く、そして初級の魔法ではそこまで強力にもならない」


 「つまり難しさは跳ね上がるのに、威力はそんなに上がんねえって事か。って事は人数かけて魔法を使う意味はねーな」


 「それが儀式魔法になると変わる。儀式魔法は最高位の魔法だけあって、威力も範囲も兵器レベルのものだと考えれば分かりやすいだろう。とはいえこれも制御は相当に難しいので、無理して使える様になる意味が無い」


 「強力だが制御が難しく、しかも失敗したら魔力が無駄に無くなるだけか。確かに実戦では役に立たんな」



 難易度の高さが分かったのだろう。テロリストが使おうとしても難しく、初級魔法では対して威力は増えないというのであれば、そこまで気にする必要も無い。なので訓練に移る事になった。


 そして、やはりというか何というか、【身体強化】を教える流れとなってしまう。どうやら今回の共同訓練の本命はこれだったらしい。



 「別に【身体強化】を教えるくらい何て事はないけど、【身体強化】を使用すると栄養を消費し疲労も蓄積する。その為、適切に使えないと倒れる恐れも無い訳じゃない。だから気をつけるのと、最初は最も弱く強化する事から教える」



 【身体強化】において最も重要な事は正しくコントロールする事。自分の今の体調や体力。そういった事を考えて使わないと、あっと言う間に体の栄養を消費しすぎてしまい、疲労も倒れる程に蓄積してしまう。


 そこを上手くコントロールするには、最も弱い【身体強化】を長時間維持する事から始めないといけない。これが出来るなら次は実際の戦闘で維持し続ける事を行い、それも出来たら戦闘での強弱を使い分ける事をする。



 「最後には戦闘中において自在に強化具合を変化させて戦う。ここまで出来て一人前となる。【身体強化】というのは簡単に強くなれるものじゃない。強くなる為には必死の努力が必要だ」



 それぞれの軍人を教えていくのだが、男性の方が多い為、なかなか手が回らないのが現状だ。コウジとタケルとジロウエモンしか居ない為、どうしてもミクは男性を看るしかない。


 少ない女性の方が教える側の人数は多い為、指導が受けやすいという状態になってしまっている。良くはないのだが、1人の教官が50人を看たりするのが軍隊なので、そこまで不平が口にのぼったりはしない。



 「弱いと強くなった気がしねえなあ。本当に弱いのを続けなきゃいけねえのか?」


 「強弱をつける必要があるが、それより大事なのは維持する事だ。【身体強化】は戦闘中に解除する訳にはいかない。そもそも戦闘の為の技術と言えるのだから、維持し続けなければいけないのは当たり前の事となる。そして練習には最低出力が1番良い。それだけ長く練習できる」


 「まあ、言いたい事はわかるんだがよ。これ思ってる以上に難しいぞ。今は座ってるっつーのに、気を抜くと【身体強化】が切れる。これを戦いながら維持しろってのはシャレにならねえぜ」


 「確かにな。しかしこれが出来なければドレイクが倒せんというのならば分からなくもない。アレを倒すにはそこまでの力が要るのだろう」



 他の国の軍人達も頷いているところを見るに、どうやらそういう方向で本国の結論は出たのだろう。だからこそ今回日本まで【身体強化】を習いに来たと。そして日本軍も使える様になりたかった訳だと納得したコウジ達。


 間違っている箇所を指摘したり、途切れている事を伝えたり、全身に満遍なく強化が行き渡っていない事を注意する。それらをされればされる程、この技術が甘いものではない事を知る各国の軍人達。


 昼休憩の時点で既に疲労困憊であり、集中力を維持できるような状態ではなかった。仕方なく早めの昼食にし、軍人達の気力回復に努める事にする。どうにも各国の軍には特徴があるようだ。


 民族的というよりも、お国柄としての特徴なのだろう。どうしても細かい事が不得意というか、大雑把な者達が居る。ミク達は何処の国とは言わないが、こういうのが出てくるのは仕方がないと諦めてもいた。


 個人でもこういう事はあるし、ミク達は教える側だ。粛々と、そして淡々と教えれば良いだけになる。それ以外の感情など必要ない。とにかくこの1週間を無事に過ごせばいいだけである。


 そう再確認し、この面倒な各国の軍人との共同訓練を行う事が決まるのだった。尚、割と真面目に日本軍の軍人は練習していたが、何故か中川大佐と南雲少佐に山崎中尉と川越少尉も居た。


 ミクと会った事があるからだろうか?。


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