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0583・コウジ達のゴールダーム観光 その2




 <妖精の洞>を出て探索者ギルドへの道を歩いていたが、ようやく辿り着いたコウジ達。<妖精の洞>はスラム近くだが、探索者ギルドは魔法陣の近くに存在する。なので距離的には多少遠い。


 ゴールダーム王国は王都のみの国で、いわば都市国家である。この国だけは他国と違い、惑星最大のダンジョンで国が成り立っている為、都市国家だとしてもやっていけるのだ。大半の物はダンジョンから入手されている。



 「ま、その話は置いておいて、まずは探索者ギルドに入ろうか。この時間だと中に居るのは多くないから、今の内に手続きを済ませてしまおう。夕方とかだと大量に居て鬱陶しいんだよね」


 「分かった。とりあえず入り口を開けるよ」



 代表してコウジが探索者ギルドの入り口を開け、中へと入っていく。そのまま受付の前まで歩いていくのだが、中に居る奴等が絡もうとし、ミク達を見た途端に「回れ右」をする。身構えたコウジ達も拍子抜けしたようだ。



 「そりゃミクやティアを見たら椅子に戻るわよ。喧嘩を売ったら殺されかねない相手なんだし、そんな相手に喧嘩を売ると思う? こいつら基本的にギルドに居て情報収集するメンツなのよ。だからこそ喧嘩を売っちゃいけない相手も知ってるってわけ」


 「それはクランとかそういうものですか? それとも大きなチームの中でそういうメンバーが居る?」


 「クランみたいなものだと思えばいいわ。それが巨大になって愚連隊になったのが闇ギルドよ。そう考えると、成り立ちとしては分かりやすいんじゃない? 日本でいえばヤ○ザであり、ガイア的にはマ○ィアかしら」


 「成る程、確かに成り立ちとしては非常に分かりやすいですね。そしてミクさんに潰されると。末路としても分かりやすいですし、ミクさんが何故大金を持っていたかも分かりやすいです」


 「とりあえず、さっさと受付嬢のところへ行って手続きを済ませようか」



 ミクに促されコウジ達は受付嬢のところまで進む。しかし言葉が分からない為、アレッサやティアが代わりに伝えた。登録用紙を用意してもらい、アレッサやティアや受付嬢が8人分を書き終えたら、受付嬢が奥へと引っ込んだ。


 奥で探索者証を作ってもらっている間、コウジ達には依頼用の掲示板を見せて説明しておく。もしかしたら依頼を請ける事になるかもしれないので一応だ。それとなるべく探索者ギルド以外で依頼を請けるのは止めるように言う。



 「変なところの奴等に頼まれて仕事をしても、碌な報酬が支払われない事がある。探索者が信じて依頼を請けられるのはギルドのだけだし、ギルドが怪しいのを弾いてくれるから信用していい。それにギルドなら力があるからブン取れる」


 「どういう事?」


 「ギルドは組織として力があるから、依頼者から正当な費用を請求できるのよ。そして依頼者も払わないとマズいとなる。これが個人だと無理矢理に圧力を掛けて泣き寝入りさせる事があるわけ。それが嫌ならギルドの依頼を請けなさいってこと」


 「成る程。そういう悪辣な依頼者も居るって事ね」


 「ちなみに貧しそうな村の村長とかも踏み倒す奴が多いから注意ね。貧しいから払えないの一点張りでゴネ続けるわ。つまり最初から払えないのに依頼してくるのよ。そして払えないから居直るの」


 「そういうヤツからの依頼は請けないようにね。1度くらいならと言って引き下がると、そいつらは味を占めて同じ事を繰り返すから。そうなると他の探索者が困るのよ。善意は必ず悪意で返ってくる、それを理解しておくように。ようするにルールを守れって事ね」


 「善意を持つって良い事だけど、それは他の全員にとっても善である訳じゃない。あんた達の所為でタダ働きさせられるヤツが出ても困るのよ、だから変なお節介とかはしないようにして」


 「目の前で人が死に掛けててもか?」


 「当然でしょう、それとこれとは違うのですよ。先ほども言いましたが報酬を諦めると他の探索者の方々が困るのです。その責任をとれますか? 貴方が善意で助けると、他の方々が困ると言っているのです。そしてその責任を貴方がとれるのですか? タダ働きさせられた全員に貴方のお金を配れますか? その覚悟が無いならお止めなさい」


 「すみません」



 素直に謝ったタケル。当たり前だが、タケルはそもそも善人とは言いがたい人間である。それでも自分が転生者だと明かした辺りから、まるで憑き物が落ちたように年齢相応の普通の高校生になっていた。


 もしかしたら転生者であった事も言えず、鬱屈が溜まっていたのかもしれない。それでもヤエやサクラは拒否感が非常に強いが、他の年上組3人はそこまで拒否感は無かった。


 女性を物のように見ていた理由が、ゲームのメインヒロインのように見ていたという事と性欲であり、別に本当にヒヒ爺のように見ていた訳ではないからだ。それでも若い2人は拒否1択であるが……。


 それはともかくとして探索者証が出来たので受付に戻り、それぞれの名前が書かれた木札を手に入れた。それを持って探索者ギルドを出ると、ゴールダームの魔法陣に入って第1エリアへと進む。



 「攻略というよりは、見てもらった方が早いと思ってさ。それでここに連れて来たってわけなんだよ。ほら、子供達が麦を刈ってるでしょ」



 コウジ達がミクに言われて見た先では、小さな子供がせっせと麦を刈っている。それを見て居た堪れない顔をするコウジ達。しかしそれに対してはティアがハッキリと釘を刺す。



 「もしあの子達に同情などするのであれば筋違いです。あの子達は自分達の仕事をして立派に生きているのですから。我が国ではこのように麦を刈って手に入れる仕事がありますが、他国ではそんな事もできず孤児院の中は酷い国もあるのです」


 「はあ……」


 「貴方達の国のように恵まれた国などこちらには無いのですよ。それでも我が国では第1エリアから沢山の食べ物が実っています。これが多くの人の食料となり、孤児達の食料にもなるのです。言葉は悪いのですが、飢え死にするより遥かにマシと思って下さい」


 「他国の孤児院では飢え死にとか普通にあるわよ。更に言えば、お金があっても食料が無ければ飢えるしかないの。自分達が恵まれてるからって、他国や他の星まで恵まれてるって思わないようにね」


 「「「「「「「………」」」」」」」



 ガイア組の中でジロウエモン以外は何とも言えない顔をしている。そもそもガイアは豊かだが、それでも豊かになったのは近世であり、それまでは貧しいどころか飢える事もそれなりにあったのだ。まして古い時代になると飢えは身近なものですらある。


 飽食の時代に生きているからといって、その感覚が他の星で通用するかと言ったらそんな事は無い。だからこそ余計な事は言わない方が良いし、やらない方が良いのだ。



 「ですが絶対にやってはいけない訳ではありません。貴方がたの国が全てを支配し、万人から飢えを取り除くというのであればやっても良いと思います。ほんの僅か、たった一部分の事だけならお止めなさい。それは自己満足というものです」


 「ほんの僅かな者達に希望を与える事は、それ以外の者に絶望を与えるということ。救われない子供達は貴方達を怨み憎むわよ? 救うなら万人全てを救いなさい。それが出来ないなら余計な口は挟まないようにね。現実はそんなに甘いものじゃないから」



 子供達が麦を刈り取る光景を見ながら一行は歩いていく。それを映しながら苦言を呈しているのは、コウジ達というよりガイアの馬鹿な連中に対してだ。頭がお花畑な連中に掻き回されては困るのである。


 だから牽制したのだ、ミク達は。


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