0580・惑星ガイアからゴールダームへ
「ウダウダと話してても仕方ないから結論を出そう。お前はこれから高額で売れる物を取ってくる、その手段は自分で好きにしな。そしてそれを私がプールしておく。向こうの星に行くかどうかは、これから好きに決めりゃいい。こんなところかね?」
「……はい、そうですね。向こうの星に関しては、千芭家から逃げられるなら行ってみようと思います」
「行ってみようっていうか、次の土日には行く事になるよ? 実際ガイアの人間が向こうに行ける事を証明しなきゃいけないし、それを記録に撮ってこなきゃいけない。まあ、そうすりゃ更に諸外国が五月蝿いだろうけどね」
「それは仕方がないのでは? 流石に別の星ともなれば騒ぐのはどうしようもないと思います。しかしながら、果たしてドレイクが攻略できるのかは疑問ですが」
「私達でさえ無理だったものね。流石にミクさんの協力が無ければ死んでいたわよ。若いドラゴンって言っても、ドラゴンはドラゴンだとしか思えなかったわ。聞いていた話を総合すると、むしろガイアから向こうに行く方が難しくないかしら?」
「私も見たけど、ドレイクっていうのは強すぎるとは思うね。そもそもダンジョンの中へは大半の兵器が持ち込めない。そして持ち込める物だと、そのうち豆鉄砲になっちまう。やはり現代兵器でダンジョン攻略は無理だと結論付けるしかないね」
「仮に超強力な兵器を持っていってドレイクを倒したとしても、莫大な費用が掛かっては意味が無いでしょうしね。そうなったら結局僅かな者しか向こうに行けませんし……」
「向こうから流入する者ばっかり増えて、こちらからは増やせないとなれば、間違いなく大きな問題になるね。戦わずに少人数で一気に走って攻略する、これなら突破できなくもないとは思うんだけど……」
「それよりも時間が時間ですので、そろそろ解散しましょう。流石に高校生の子達は帰らないとマズいです」
「おっと、そうだね。じゃあ、今日ここで決まった事は口外しないように」
「ハルカ。私は明日向こうに戻らせてもらうから、明後日まで私の訓練は休みね。自分もマルチスライムにしろってドンナが五月蝿いから、ドラゴンを乱獲してくるよ」
『だって私は未だにブラッドスライムなのよ? 血を飲まなきゃ乾涸びて死んじゃうんだもの。変われるなら変わりたいに決まってるじゃない。それなのにシャルはドラゴンを倒しに行こうとしないし!!』
「流石に無茶を言うのは止めてほしいねえ。あたし1人でドラゴンが倒せる訳ないだろ。そんな事が出来るのはミクだけさ」
流石にそりゃそうだろうと大半の者が納得しつつ、解散となったので応接室を出る。ミク達は適当に過ごし、そのまま食事の時間になったら食堂へと移動した。ここでは使用人なども纏めて食事にする為、大人数が一気に食事をするので五月蝿い。
とはいえミク達は特に気にしないし、酒場などではもっと五月蝿いのだ。それに比べれば遥かに静かだし、お上品である。<鮮烈の色>とリュウレンはそう言っていたので、酒場というのはそれほど五月蝿いようである。
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次の土曜。朝から葉月家の本邸に集まるいつものメンバー。既に<鮮烈の色>とリュウレンは向こうに帰っており、様々な物をこちらで購入していった。特に香辛料やお菓子など、向こうにも持って帰りやすいものを大量買いしている。あと衣服もだ。
何故か<しま○ら>や<ワ○クマン>で買い物をしていたのが印象的だったが、手触りが良くてもすぐ破れそうなのは却下らしい。そうやって普段使い出来そうな服を少々購入していった。
今こちらに残っているのはミクだけで、他のメンバーは全員向こうに帰っている。こちらで仕事があるのはミクだけなのと、アレッサとティアは向こうで案内の準備をしているからだ。
「やっと土曜日になって、ここに来れた。正直に言ってこの1週間ほど、本当に大変だったんだよ。あの男は向こうの星がどうこうと五月蝿いし、あの女は向こうの星にどんな宝石や金属があるかと聞いてくるし、あのクソ兄貴は調子にのんなとか言ってきやがるし……」
「それは大変だったな、っていうか早速なのか? 向こうの星に行けるようになった途端、手の平返しをしてきたようにしか聞こえないけどな」
「手の平返しであり、いつものクソどもだと言えるか? マジでああいう連中なんだよなー。改めてアイテムある場所とか知られるのはマズいって思ったわ。まあ、色々とあってオレの取り分が減るのは確定したけど」
「??? ……何かあったのか?」
「アタシやアタシ。言い訳と運ぶの手伝ったるさかいに、多少は儲け寄越せえ言うたんよ。そしたら悩んだ挙句で頷きよったから契約完了やで。アタシも将来に向けて多少はお金持っときたいでな」
「気持ちは分かるけれど、大丈夫? 流石に関わる事はしないけど2人だけでしょ? 危ないなら撤退しなさい。そもそもお金があっても命は買えないわよ」
「大丈夫、大丈夫。金に目え眩んで死ぬなんて、唯のアホの子やん? 流石にそんな事せえへんし、そこまでアホやないから大丈夫やで」
「本当に大丈夫なら良いんだけどね。それより千代田ダンジョンの動画が大騒ぎの元になってるけど、あれって大丈夫かしら? ブルーオーガどころの騒ぎじゃないもの。あれを見れば現状突破できない事がよく分かるわ」
「向こうの星に行くどころの話じゃなくなりましたものね。まずはドレイクを突破する術を持つしかないのですが、あんなのレイド組まなきゃ無理ですよ。しかもドラゴン素材の武器が要るでしょうし……」
「そうなのよね。あのトカゲか小さいワイバーン。あれを素材にして武器を作れば何とか突破可能かも、とは言われてるわね。実際、私もそれしかないとは思うけど」
「でもワイバーンだって簡単な相手じゃないんですよ? 見ているだけの者の中には簡単そうに言う人が居ますけど、そんな簡単に勝てるなら誰も苦労はしませんよ」
「それはね。あんな跳んでる恐竜、そうそう勝てるような相手じゃないわよ。今までの魔物とは桁違いの強さだし、色々なダンジョンで様々な素材を手に入れて、それで武器を作ってもらわないと無理ね」
「それ以前に魔物の素材で武器を作れる企業が未だに出てこないんですよ。あれはどうなっているのでしょう? お祖母様はミク殿から話を聞きましたよね?」
「聞きはしたよ。だけどそれがこちらの者で出来るとは決まっていないのさ。実際に陶芸の若手に協力してもらって何度か試したんだけど、魔法の火が強力にならないんだよね。そのうえ数時間から半日は最低でも燃やさなきゃいけない。つまり簡単に出来る事じゃないんだよ」
「焼く為の火に関しては、最悪普通の火で炉の中に大量の魔石を入れても良いと思う。魔石は高温だと溶けるけど、その際に周囲に魔力を放出する。炉の中に大量の魔力があれば似たような効果を生み出すかもね」
「……高温で魔石が溶けるなら、材料に混ぜた魔石も溶けてスカスカになるのでは?」
「練る際に正しく丁寧に魔力を篭めてるなら、その時点で溶けてるよ。正しくは魔力を放出して素材に吸収されてる。それによって素材の強靭さや魔力伝達の良さとか、色んな物を引き上げてる訳だからさ」
「つまり砕いた魔石は素材に吸収されて、武器の形にした段階で実は無くなってるって訳か。そしてその後に焼く訳だから、特に問題も無いと」
「そういう事。だから武器にした段階で良く締まってる訳だ。ただそれらを纏める接着剤は様々に試してみるしかないね。私が作る武器は本体の粘液を接着剤に使ってる。その方が効果が大きいから」
「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」
そんな物が使われてたのかと、顔が引き攣る一同。ミクは気にしてなどいない、強ければ別に良いじゃないという感じだ。そもそも貸したドラゴン素材の武器にも当然使われている。それに最強の怪物の粘液である、そんじょそこらの物質とは全く違うのだ。
この場に居る者の殆どが、そこまでは理解していないらしい。




