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0575・千代田ダンジョン その5




 「それにしても、最強武器は皇居ダンジョンなぁ。そもそも皇居にダンジョンなんてあったか? しかも魔物がメッチャ強いとか、危険すぎるやろ。何かあってみいな、大問題や済まへんで。シャレならんわ」


 「そうよねえ。皇居にダンジョンが出来るとなると、冗談じゃ済まなくなるわ。軍が常駐して間引くんでしょうけど、本当に大丈夫なのかしら?」



 ケイコがタケルに目を向けると、タケルは思い出すように宙に目を向けながら少しずつ語りだす。



 「確か……2年目の秋ぐらいに突然皇居にダンジョンが出来る筈。で、慌てて主人公達が攻略に乗り出し、そこで最強武器を手に入れるんだけど……確か天皇陛下と皇族方は危険って事で、一旦京都に行かれる、んだったと思う。ゲーム本編にチラっと出てきただけだから、そこまで詳しくは覚えてない」


 「まあ、東京が危険となれば京都に戻られるのは普通ですね。しかし……突然皇居にダンジョンが出来るんですか?」


 「そう。皇居ダンジョンにある<武神の剣>を手に入れてボスを倒したあとコアを破壊。で、皇居ダンジョンと同時に出来る、港区ダンジョンを攻略してエンディング。以降はダンジョンが出来る速度は低下していくから、必要な物だけ残して終わり」


 「どういうゲームなんですか? 物語の主旨がさっぱり分かりません。何を目的にしているのでしょう?」


 「<ダンジョン暮らし>のタイトルの通り、ダンジョンのある生活という意味のゲームなんだ。明確に何かをやったとか、何かを倒したから終わりって感じじゃないよ。その後も主人公達の生活は続いていくし」


 「ダンジョンに入って魔物を倒したり、コアを潰して宝箱を得たりか。まあ、今の生活と然程変わらない気がするけど、それよりダンジョンの出来る速度が遅くなるなら、今の内に私有地ダンジョンを潰しまくっておいた方が良いんじゃ……」


 「せやな。今の速度より遅なるいうんやったら、今の内に潰しまくっとく方が得やで。他の国と同じようになるいうんやったら、稼げるだけ稼いどかな損やしな。千芭、情報よこさんかい!」


 「いや、オレは知らないっての。ゲームに公的ダンジョンは出てきたけど、私有地ダンジョンなんて出てこなかったんだよ。そこまで入れたらとんでもない容量になるからだろうけどさ。だから公的ダンジョンと葉月家の私有地ダンジョンしか知らねーよ」


 「ゲームで我が家のダンジョンが出てくるのですか? ………ああ、一応<ダンジョン暮らし>という会社の話でもありますからね、だから我が家のダンジョンも出てくるのですか。それ以外は皇居ダンジョンだけ?」


 「いや、2年目の夏に行く鎌倉ダンジョンとかかな? ダンジョン終了後に湘南の海で遊ぶスチルがあったよ。全員水着のヤツ」


 「お約束っちゃあ、お約束やな。今や少年誌にもお約束シーンはいっぱいあるし、少女コミックにすらあるで。ほっそい体しとって脱いだら細マッチョいうヤツ。子供の頃に読みながら、無いわーって思てたけど」


 「少女コミックだとお約束はそっちになるんですね。まあ、どっちでもいいんですけど、私あのキラキラ系で顔が整ってるの好きじゃないんです。北恋様の本は読みますけど、たまにアレ系の絵でガッカリする事がありまして……」



 そんな暢気のんきな話の最中も、それぞれはちゃんと戦っているのでミクが咎める事は無い。むしろ良い感じにリラックス出来ているからか、上手く戦えているようだ。現在16階の真っ赤な蜘蛛だが、誰も嫌がっても緊張してもいない。


 もはや蜘蛛如き慣れたのだろう。しっかりと魔法などを使いながら倒している。特にコウジは上手く【水弾】を使っているようだ。



 「それはともかく、階段を見つけたから半分ぐらいまで下りたら休憩ね。そこなら魔物が来ないみたいだし、もうお昼を少し回ってるからさ」



 そういって階段に滑り込み、中ほどまで行ったら昼食を始める。ミクは適当に出して行き7人と2匹に渡すと、16階に上がりトイレを作っておく。その後に戻ると鍋に水を入れてお湯を沸かす。


 その後は適当に買っていたカップ麺を作り蓋を閉じて待つ。その間にファニスが食べたがったカ○ーメシを作ってやる事に。他のメンバーに聞いたが特に欲しい者はおらず、皆お弁当やおにぎりに菓子パンを食べている。



 「匂いは美味しそうだけど、その匂いが付きそうなんだよねー。【清潔】で綺麗に取れるとは思うんだけど、そうじゃなきゃ狙われやすくなるかもしれないし危険でしょ」


 「そんな事を言ってたら美味しい物を逃すかもしれないじゃん。こういうのはこういうので美味しいって聞くし、食べてみないと分からないだろ」


 「ファニスの言う事も間違ってはいないと思うけどね。それにしても、途中のゴタゴタでちょっと遅れてる? いや、元々この子達が遅いからか」


 「そうね。もうちょっと【身体強化】がちゃんと使えると速いんだろうけど、今はこの程度の速度で進むしかないんじゃない? それでも今日中に終わりそうだから良かったよ。ダンジョンの1階層が狭いからかな?」


 「ゴールダームは1階層が20キロ四方だもんねー。こっちとは圧倒的なまでに違うわよ。その分こっちの方が魔物の密度は濃いけどさ」


 「ですね。特にブルーオーガの階は密度が濃かったです。おまけに咆哮を聞きつけると寄ってきますし、なかなかに面倒な階でしたね。あれなら都合の良い場所に誘き寄せて殲滅する方が楽でしょう」


 「そうだね。とはいえ、あのブルーオーガが必要かって言ったら要らないけどさ。もっとマシな使える素材ならいいけど、あれ生きてる間しか使えない素材だったし」


 「たまに居るんだよねー、生きている間だけ強いっていう皮を持ってるヤツ。死んだら大して強くもない皮でさ、そういうヤツの皮は使えないのよ。ブルーオーガはまんまそれに当て嵌まるタイプだったし」


 「角と牙と魔石ぐらいじゃない? 使えるのって。それなら無理に倒す必要が無いのよね。いずれ簡単に倒す方法でも編み出されるんじゃない? あれ系ってそういうタイプの魔物だしさ」


 「巨人に比べたら遥かに弱いから、真正面から普通に倒せば良くない? あの角や牙と魔石で武器を作っても良いとは思うけど、そこまで良い物が作れる気はしないけどね」



 会話をしつつ食事も終わり、トイレに行く者は上に行った。ミクは片付けを行い、残った物は全てレティーが消化していく。ゴミは袋に入れてからアイテムバッグに仕舞い、ドローンのバッテリーを入れ替えたり新しいMSDカードを差し込んでおく。


 ビデオカメラも同じようにし、完全に準備が整ったらトイレ用の天幕などを回収して出発。17階へと進む。


 相変わらず火山のような景色と暑さが続くが、それでも階段は涼しかったので多少の息抜きにはなったようだ。そんな火山の中を進んでいくと、真っ赤なトカゲが現れた。


 素早くコウジが前に出ると、いきなりブレスを吐いてくる。慌てて盾で防いだものの、かなり危険な魔物である事は間違いない。ヤエとサクラは慌ててコウジの左右から離れ、コウジが弾いたり流せるように距離を空ける。


 コウジはすぐにトカゲに近づいて行き、その間に他のメンバーにはトカゲの側面や後ろに回る様に声を掛けた。ヤエやサクラは頷き離れつつ側面に回っていく。コウジはトカゲの前で気を引きつつ、敵の視線を自分に固定。


 そして左側面に居たセンの攻撃を合図に、各々が一斉に攻撃を開始。ヤエは左後ろ足を、サクラは右後ろ足を。センは右前足を攻撃し、タケルは左前足を攻撃。これで4本の足が動かせなくなったので、とどめとしてコウジが頭に一撃を加える。


 しかし倒せていなかったのか口を開いたトカゲはブレスを吐く。しかしその時には既にコウジは目の前にはらず、顔の側面からもう一度頭にメイスを叩きつけ、トカゲを完全に倒した。


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