0047・第4エリア攻略開始
ミクは残された護衛の亡骸と迷賊の死体を喰らい、その場を離脱する。特に見られもしていないので大丈夫だろう。そのまま7階へと下りていく。しかし7階には人間種らしき反応も無く、8階以降も無かった。
ボス前まで来たミクは、倒した方が早く脱出できる為、ボスを倒す事に決める。蜘蛛の姿から美女の姿に戻り、下着を着けて服を着たら防具を着け、最後にアイテムバッグとレティーを転送し、背負ってその上に乗せた。
ウエストポーチ型も身に着けたら準備は完了。ボス戦へと突入する。再びのトレント戦だが、ミクは解体した小屋の廃材を右手を肉塊にして発射し、トレントにダメージを与えていく。
トレントもこんな攻撃は予想外なのであろう、まるでサンドバッグのように受け続けるしかなかった。そんな相手の事など頓着せず、ミクは砲台のようにしてブッ放し続け、トレントが倒れても発射し続ける。
やがて廃材が全て無くなりスッキリすると、奥の魔法陣から脱出するのだった。ゴミ捨てとストレス解消を兼ねたのかもしれないが、トレントが不憫でならない。
外に出たミクは宿へと戻り食堂に行くと、大銅貨1枚を支払い大麦粥を食べる。そんな食事中にカルティクがやってきて、色々注文し始めた。大銅貨4枚分の注文をした後、カルティクは隣の席のミクに話し掛けてくる。
「今日は午後から見なかったけど、何処かに行ってたの?」
「いや、第3エリアに居たし、カルティクは途中で見かけたよ」
「だったら声を掛けてくれればいいの………いや、声が掛けられない状況だった可能性もあるわね。流石にその状態じゃ無理だろうし、仕方ないか」
「それよりカルティク、明日暇? もし暇なら付き合ってほしいんだけど」
「暇というか、大抵は第3エリアか第2エリアで怪しい者達を調べてるだけよ。何かの依頼をしたいって事? それとも何かに付き合えって事?」
「そう。明日第4エリアを攻略するからついてきて。私だけで攻略したら怪しまれるからさ、カルティクと一緒に攻略した事にしたいの。疲れたら私が抱えていくから」
「まあ、それなら良いかな? ミクと一緒なら絶対に安全だし、確実に1日で終わるでしょ。少なくとも第4エリアの階段の位置は貼り出してあるしね」
「私が全部覚えてるから、いちいち調べる必要は無いよ。とにかく言い訳の為についてきてほしいだけだから」
「容赦なくハッキリ言うわね。まあ、事実だけれど。確かボスはツインヘッドフレイム5頭だったかな? 私1人なら無理だけど、ミク1人なら余裕か。なら何の問題も無いわね。たまには攻略も悪くないし」
「それじゃあ、明日お願いね。私は食事も終わったし、これで」
そう言ってミクは食堂を後にし、宿の部屋へと戻る。いつものように下着姿となると、レティーをベッドに乗せて自分も寝転がり、目を閉じるのだった。後は本体で朝まで暇潰しである。
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本体は死体などから出た糞や尿を骨の箱に入れて置いている。すると神が来て再び知識をブチ込んできた。こんなのばっかりかと思うも、どうやら【浄化魔法】の知識を教えてくれたようだ。
【清潔】は【生活魔法】にあるものの、【浄化】や【聖浄】に【聖潔】や【殺菌】や【滅菌】。更には【聖炎】や【浄罰】まで。多くの【浄化魔法】を教えてくれたが、何故今ごろなのか?。
もっと早くに教えてほしかったと思いつつ、ミクは骨の箱の中にある汚物に【滅菌】を使った後、【聖炎】で焼く。それにより汚い物はほぼ無くなり、カスも小さくなったのだった。ちなみに臭いは【聖潔】で消している。
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明けて翌日。ミクは起き上がり、準備を整えて食堂へと移動。大銅貨1枚を支払って大麦粥を頼み、椅子に座って待っているとカルティクが来た。
「おはよう、ミク。今日は第4エリアだけど、出来る限り足を引っ張らないようにするわ」
「おはよう、カルティク。別についてきてくれるだけで良いから、気楽にしてくれていいよ。どのみち魔物はそこまで強くも無いし、スキルあるでしょ? なら狙われるのは私ぐらいだろうしね」
「【気配隠蔽】もそこまで万能じゃないの。臭いは隠せないから、鼻が良い魔物には見つかるのよ。あくまでも気配を隠すだけだし」
「成る程。気配を隠して感じ取りにくくするのと、同じ【気配察知】持ちから隠れる為のものって事?」
「だいたいそんな感じ。気配という曖昧なものは誤魔化せても、視覚や聴覚に嗅覚までは騙せないのよ。そこを理解していないと上手く使えないし、本人だけがバレてないと思い込む、滑稽な事になりかねないの」
「まあ、スキルでも何でも、重要なのは使い熟す事。ただ使えるだけじゃ、素人と然して変わらない」
会話をしながらの朝食も終わり、2人はダンジョンへと出発する。
カルティクも第4エリアまでは到達しているらしいが、それ以上先には進んでいないそうだ。それほどまでにツインヘッドフレイムは危険なボスなのだという。
「それはね。四つ足の獣は基本的に足が速いのよ。そのうえブレスまで吐いてくるとなれば、高い確率で殺されるしかない。そもそも危険すぎるボスとして有名なの」
「そうなんだ。私からすれば極めてどうでもいいね。所詮は火を吐く程度しか出来ないんだし。その程度なんて神どもでもするよ。狼の神なんかは、冷気だろうと炎だろうと雷だろうと吐いてくるし」
「………いや、神様と比べちゃ駄目でしょ」
「いや、あいつらと比べてショボイって言いたいだけ」
「だーかーらー、神様と比べたら何でもショボイでしょうに」
どうやらミクとカルティクの感覚は大幅にズレているようである。それはともかくダンジョンに着いた2人は、第4エリアのショートカット魔法陣に乗って平原へと移動。すぐに出発していく。
ミクがアイテムバッグを持っている為、それなり以上に物を持って帰れるので、魔物を狩ろうかと思っているカルティク。しかしミクはそれを許可しない。
「お金なら後であげるから、さっさと先に進むよ。魔物と戦ったって無駄に体力使うだけでしょ。私は無限にあるけど、カルティクは疲れるんだから、余計な事はしない」
「まあ、そうなんだけど……何もせず、ついていくだけの私がお金を貰うのもどうなのかしら?」
「東西南北の大きな盗賊団からは根こそぎ奪ってきたから、お金は結構あるよ。それを横流しするだけだし、私としては渡したところで……って感じかな」
「大きな盗賊団を叩き潰したの……」
「東の盗賊団と南の盗賊団を潰したのは私じゃないけどね。東を潰したのは<雪原の餓狼>で、南を潰したのはエルフだったよ」
「いやいや、<雪原の餓狼>って言えば、フィグレイオの女将軍じゃない。スヴェストラ・オルネイ・カロンヴォルフ。カロンヴォルフ伯爵家の女当主よ。一代限りの筈だけど」
「名前はともかく、一代限りだとかはイリュも言ってたね。私は貴族関係とか興味ないからどうでもいい。……そういえば昨日、第3エリアの6階で貴族が襲われてた。何処の誰だか知らないけど3人組だったよ」
「3人組? ……おそらくだけど、オルハウル家の次男じゃないかしら。迷賊を狩ってる事で有名な人物だけど、襲われてたの?」
「うん」
どうやら昨日の若者は、リリエと同じオルハウル侯爵家の者らしい。おそらくとはいえ、それが分かったのは良いのだが、何故貴族の次男が迷賊狩りをやっているのだろうか?。
そこがよく分からないミクであった。




