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0046・迷宮の中の戦い




 昼食後、ミクは再びダンジョンの第3エリアへのショートカット魔法陣に乗る。再びの1階だが、今度は適当に誰も居ない場所に行くと、レティーや荷物を全て転送し小さな蜘蛛の姿になった。


 その後は森の中を素早く飛びまわり、怪しい奴等は軒並み肉の中に引きずり込んで転送していく。ゴミどもの処理を続けつつ3階を越えて4階へと進む。午前に掃除しているからか、上階にはあまり多くない。



 (それでも午後になったら居るんだから、どれだけ犯罪者どもが多いのやら。流石は腐った夢の国である、ゴールダームだよ。他国からも腐った連中が流入するから仕方ないんだろうけどねえ)



 心の中で犯罪者の多さに呆れつつも、自分が喰える肉が豊富だという喜びもある。そんな微妙な思いを持ちつつ喰らっていると、突然近付いてくる気配があった。その気配は近寄ってくると辺りを調べるが、何も無いので去っていく。



 (危ない、危ない。さっきの奴も【気配察知】を持ってたのかな? 喰った奴等の気配が無くなって怪しんだんだろうけど、いちいち確認に来なくていいよ。それよりダンジョンを攻略すればいい。ここは4階なんだし)



 このエリアはお金を儲ける事には向いていない。お金儲けなら荒地である第2エリアの方が出来る為、ここには純粋に攻略に来ている者が多いのだ。中にはゴブリンの魔石で稼いでいる者も居るらしいが、それは少数だろう。


 森の中で奇襲を受けるかもしれないので、よほど実力に自信があるか、それとも【気配察知】のようなスキルを持っていないと危険である。先ほどの男はその可能性があるが、それでも儲け的には多くない筈だ。


 ミクは4階を総浚いして喰らうと、次は5階へと進む。この辺りになってくると、当然ながら犯罪者の数は少ない。それだけ危険だし、戻るのにも時間が掛かる。ハッキリ言えば、ここまで来るのは攻略者ぐらいだ。


 それでも犯罪者は居る。その理由は野営をするからだ。本当に攻略する場合には、5階か6階辺りの階段で野営をするので、そこで夜を明かす者を狙う犯罪者が居る。ミクは攻略した時には会わなかったが、決して居ない訳じゃない。



 「ここに来る奴は、今日は居るのかねえ」


 「さあな。オレ達の仕事は居たら<隷属の首輪>を着けるだけだ」


 「最近は首輪じゃなくて、足輪だけどな。首輪だとバレちまうんで隠す為にも足輪じゃなきゃ駄目だ」


 「それもバレ始めてるけどなぁ。このままだと商売が立ち行かなくなっちまうが、どうする?」


 「どうも何も、デゴムトの野郎がどうにかするんじゃねえか? オレ達からすりゃ、デゴムトの所に連れてきゃ勝ちだ。後は奴と裏にいる貴族がどうにかするだろ」


 「まあ、そうだろうな。とにかく良さ気な女に足輪を嵌めりゃあ、オレた」



 もう聞く必要も無いので、さっさと6人の犯罪者を肉で覆い転送したミク。奴等は足輪とか言ってたし、それが複製できれば利用できるんじゃないかと考えてみる。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 <奴隷の首輪>や<奴隷の足輪>を着けた奴を兵舎に放り出し、後は首輪や足輪の効果で口を割らせる。完璧だと思うがどうだろう?。


 そんな話し合いをレティーとしていると、一柱の神が本体空間に来て、本体に知識をブチ込んでいった。


 いきなりの事で驚くと同時に、無理矢理に詰め込まれた知識に痛みを感じていると、それが隷属具に関してだと分かる。しかしミクが作っても良いのは、極めて特殊な隷属具だけらしい。


 それは本体の血と肉を使用した物であり、絶対の奴隷へと落とし込む物であった。首輪でもなく腕輪でもなく、ましてや足輪でもない。知識にあったのは<隷属の紋章>だったのだ。


 体の一部に書き記すと、それを持つ者はミクの命令が絶対になる。後は兵舎に自力で行かせるのと、全てを偽りなく話させればいい。その命令だけで、様々な証言が得られるだろう。


 この国の者にとっても、ミクが秘密裏に喰らうだけよりは都合が良い。その為にわざわざ神が来てミクに教えていったのだ。つまり、やれという命令である。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 (まあ、そこまで紋章も難しくないからいいけど、これ私の血肉を使わないと駄目だから、私以外が使えないようになってるんだね。道具なら国に奪われたら終わりだし、この形になるのも納得だ)



 そう思いつつ6階へと下りて行くと、戦闘音が聞こえてきた。何があったのかと確認すると、男性3人が男性8人と戦っている。ただし8人組の方は人相が悪い。



 「いちいち抵抗しねえで、さっさとやられちまえや!!」


 「ふざけるな! 貴様ら如き迷賊に負けるほど弱くはない!!」


 「若! こやつらも切り捨てますか? それとも捕縛ですか?」


 「ここは6階だ、捕縛は諦めた方が良い! 後で父上には私が報告する。なので、ここは全て切り伏せてしまえ!」


 「高々3人でオレ達に勝てると思ってんのか! 貴族のお坊っちゃんに現実ってものを教えてやるぜ!!」


 「現実を知るのは貴様らだ、無礼者めが!!」


 「ハッ! 所詮は見下さなきゃ自分も保てねえ奴等が! 調子に乗ってんじゃねえ!!!」



 どうやら3人組の方は貴族の関係者らしいが、ミクはどちらが勝とうが興味が無い。なのでゆっくりと観戦している。どうやらこの階には他に人間種もいないようなので、観戦していても問題無い。


 なので観戦しているのだが、貴族関係の3人は少しずつ自分達の形勢を有利にしている様だった。何といっても2人の護衛と思わしき者達の盾の使い方が上手い。あれは修練しないと身につかないものだ。


 つまりどう考えても兵士か騎士としての訓練を受けている者となる。流石に碌な訓練もした事が無い迷賊に勝てる相手ではない。上手く戦況を運ばれ、今や3対3にまでなっている。



 「クソが!! こうなったら道連れだ! 死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 「若!?」



 ドーン!! という音がして、突っ込んだ迷賊と共に倒れる護衛。どうやら間一髪、護衛が貴族の前に出て助かったらしい。しかし護衛は盾を前に出していたにも関わらず倒れている。結構な威力があったのだろう。



 「ぐぅ………」



 吹き飛ばされた貴族が呻くも、その間にもう一人の護衛が残りの2人を切り殺し、素早く貴族の下に向かう。呻いている貴族の口元に薬の入った瓶を近づけ飲ませていく。すると落ち着いたようだ。


 どうやら魔法薬であるポーションだったらしい。貴族ともなれば高価な魔法薬を持っているようだが、もう1人の護衛に飲ませなくていいのだろうか?。


 ミクがそう思っていると、立ち上がった貴族が慌てて倒れている護衛の方に向かう。しかし既に遅く、あの護衛は死んでいたようだ。貴族ともう1人の護衛が泣いて悲しんでいる。


 どうでもいいのでスルーしているミクは、それよりも迷賊が使った爆発物が気になっていた。火薬のような臭いがしないので、おそらくあれは魔道具だったのだろう。


 しかし自爆用の魔道具とは……ミクも首を捻るしかない。


 そもそも攻撃用の魔道具が一般的だが、かと言って自爆用の魔道具など作るのであろうか? 奴隷に持たせて自爆突撃………これも無いだろう、コストが無駄にかかり過ぎる。それなら武器を持たせて攻めさせた方が安上がりだ。


 自爆したのは迷賊の意思で、元々は自爆用の魔道具ではない? ならば何故起動してすぐに爆発した? ミクは考えられる事柄を一つ一つ考えていくも答えは出ない。


 そんな事をしていたら、貴族と護衛の1人は亡骸を置いて上の階へと上がっていく。どうやら脱出するようだ。


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