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0492・軍人への魔法指導 その6




 6階。ここはチャージボーアが出てくる階層であり、それなりに探索者が多い。逆に言えばこの階層は通り抜けるのが簡単という事でもある。そのまま階段まで直行し、7階へ。


 7階で出てくる魔物はファングウルフ。なかなかに倒し辛い魔物とされているが、その理由はウルフ種特有の速さと噛みつきだ。どういった病原菌を持っているか分からないので、噛みつきを受けるのは大変危険である。


 色々な方法があるものの、まずはコウジに戦わせる。コウジは盾を前面に出してじりじりと近寄って行き、ファングウルフが噛み付いてきたらカウンターでシールドバッシュ。相手の鼻面に叩き込んだら、怯んでいる内に頭にメイスを振り下ろす。


 その一撃でファングウルフは昏倒。更に一撃でとどめを刺した。



 「コウジのやり方は正統派のやり方の1つ。基本的に盾を持っていると戦いやすい。盾は守る物ではなく、敵の隙を作る物。戦闘での基本は回避であり、盾で防御はあまりやらない方が良い。それでも防御するなら盾だけどね」


 「戦いの基本は回避、盾は敵の隙を作り出す物。でも守るのも盾、ですか……」


 「そう。例えば突進してくる猪系の魔物を相手に、盾で守って意味があるの? 虎系の魔物だったら? 獅子系の魔物では? 押し倒されて噛み千切られて死ぬ。でも敵のちょっとした攻撃なら盾で十分防げる、敵の魔法とかね」


 「成る程、そういう事ですか。確かに対人戦闘では相手の攻撃を防げますが、魔物相手だと何でも防げる訳ではないですね。そもそも人間より力が強いし体重も重い。その体重を活かされたら人間が抗うのは難しい」


 「【身体強化】があるんでしょう? それでどうにかならないんですか?」


 「【身体強化】はあくまでも元の肉体を強化するだけ。体重が増えたり体格が大きくなったりはしない。元々の体重や体格に差がありすぎる。その差を【身体強化】で埋めるのは無理。それに魔物の中には【身体強化】を使ってくるのも居る」


 「「「「「「えっ!?」」」」」」


 「そもそも【身体強化】は人間種のみが使えるものじゃない。少なくとも各キング種は使える。ゴブリンキング、コボルトキング、オークキング。ただしオーガキングには会った事が無いから、オーガキングが使えるかは分からない」


 「ゴブリンキング……やっぱりそういう魔物が居るのかー。ゲームとかラノベじゃ基本だけど、作品によって強さが変わるのよね。後、見た目も」


 「筋骨隆々から単に太って体が大きいだけまで、様々なゴブリンキングが居るけど……現実に居るのはどういうゴブリンキングなのかしら?」


 「ゴールダームのダンジョンに居たのは、筋骨隆々で身長が3メートル近いヤツ。顔は格好良い部類に入ると思う」


 「ゴブリンキングはイケメンかぁ……。キングに相応しい感じだね。ゴブリンだろうが何だろうが、強くなるとイケメンになっていく感じかな? 女性型の魔物……は、あまり聞かないから問題ないわね」


 「サキュバスとかそっち系? でも元々あれって悪魔だし、魔物としては登場しないんじゃない? あとはラミアとかアラクネとかだけど、これも出てくるかは微妙なところ?」


 「今のところは聞いた事が無いし、出てこないか、それとも出てきても深層なんじゃない? 男性型の魔物も出てきそうではあるけど、人型ってそこまで多くないしね」


 「下らない事を話してないで、見本を見せてもらったんだから我々もやるぞ」



 そう山崎中尉は言い、他の軍人達も意識を変える。渡されたのは槍だが、これを持って戦えという事らしい。



 「見本は盾とメイスだったのですが、我々は槍で戦えと……。いえ、それはともかくそのポーチから出てきたという事は、それは間違いなくアイテムバッグですね?」


 「そう。私のは特別な物で、時間停止機能が付いている。それと所有者登録がされているから、私以外が手を突っ込むと、突っ込んだ部分が無くなる。だから気をつけるように」


 「えっ? ……突っ込んだ部分が無くなるって事は、手や腕が無くなるって事ですか!?」


 「そう。だから私以外は出し入れ出来ない。これはそういうアイテムバッグ。それはともかく、さっさと戦う」



 そう言われ山崎中尉は槍を構えてファングウルフを迎え撃つ。ウロウロと山崎中尉の近くを回るものの、山崎中尉は正対し続けて隙を見せない。仕方なく正面からファングウルフは突っ込むが、山崎中尉は真っ直ぐ突いた。


 それは正確にファングウルフの口に刺さり、その一撃は喉まで貫いて引き戻される。致命傷ではないものの、最早まともに噛みつきも出来ないファングウルフ。後は山崎中尉が蹴り、隙を見せたファングウルフの腹を突き刺して勝利した。



 「途中までは悪くなかったのに、最後に腹を刺すという大失敗をやらかした。あれは大きな減点。何故ならあんな事をされたら肉が大きく痛むうえ、腸が傷付いていたら肉が糞で汚れる。この時点でまともな肉は取れないから捨てていくしかない」


 「い、いや……それはそうかもしれませんが、しかし勝つ事が先では?」


 「それはそうだけど、でもギリギリじゃなかった。喉を突いたまでは問題なかったのに、そこから急に腹を突くという行動に出た。そこまで問題なかったのに、何故急に腹を突くの?」


 「いや、あそこしか突く場所は無いのでは? 最初はたまたま上手く口の中に入りましたが、あんなのは運が良かっただけで、同じ事が何度も出来る訳ではありませんし……」


 「それが駄目なんだけど、それはともかくさっさと頭を刺してとどめを刺せば良かっただけ。何故わざわざ腹を狙うのか分からない」


 「頭と言われても、頭蓋骨は硬く槍の刃が欠ける恐れがあるのに、そんな危険な真似ができる訳が無いでしょう」


 「ああ、そうか忘れてた。ゴメン。それはドラゴン素材の槍だから、そもそも欠けるなんて事は無い」


 「「「「「「ドラゴン!?」」」」」」


 「そうですよ。ミクの持っている武具はことごとくドラゴン製です。ジャケットもズボンもブーツもそうだと説明しましたが、今は着けていませんけど鎧とかもそうでした。それに他の武器も盾もドラゴン製ですね」


 「自分で倒した魔物の素材を鍛冶師の所に持って行って武具にしてもらう。それが元の星では当たり前だった事。この星ではそうじゃないみたいだけど、その内にそうなっていくんじゃないかな?」


 「ミク殿は魔物の皮で出来た防具の方が優秀だと言っていたでしょう? 少なくとも探索者はそれが前提です。言い換えれば銃弾でさえ弾ける防具が前提になるので、それを前提にして治安の事を考えるしかありませんね」


 「「「「「「………」」」」」」


 「武器に関してもそうだね。証明書か何かを持たせるとかしないと危険かも。データベースに登録しておいて、それを使って問題を起こしたら問答無用で逮捕とか」


 「それ以前に監視カメラは多いですから、犯人はすぐに特定されると思いますよ? 田舎では分かりませんが」


 「そうだけど、最近では田舎に住む人って減ってるんじゃなかった? 田舎の大半は田畑に変わってた筈。この前そんなドキュメンタリーっぽい動画見たけど……」


 「ええ。昨今はそうやって田畑が増えてますね。何でもダンジョンで肉類が獲れる事が多いので、野菜の需要が増えたそうです。後は観光客が相変わらず多いからと言われてますね」


 「我が国は治安が良いですからな。何かあったらすぐに大きな事件として取り上げられたりしますが、それが海外ではよくある事だったりしますからなぁ」



 どうやらこの国はそれなりに治安の良い国らしい。


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