0484・鑑定の石板
手に入れた石板は<鑑定の石板>という物で間違いはなかった。それを見たセンが試しに手を置いて魔力を流す。すると、センの結果が表示される。これにはセン自身が一番驚いた。
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<北条仙理>
種族:人間
年齢:16
性別:女
スキル:見切り
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「こ、これ人間まで鑑定できるんだけど!?」
「うぉ! マジだ!! センが鑑定されてる!?」
「これはまた……。今までスキルはダンジョンが<ガイア>に出現した時か、10歳の時に頭に浮かんでくる以外には確認のしようが無かったのですが、鑑定の石板を使えば確認できたのですね。私も鑑定させて下さい」
そこからはワイワイと話しつつ、全員が自身を鑑定していく。別に面白い物でもないだろうに、コウジ達は面白がって遊んでいた。その情報は以下の通り。
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<北条光時>
種族:人間
年齢:17
性別:男
スキル:魔力操作
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<葉月八重>
種族:人間
年齢:17
性別:女
スキル:魔力操作
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<葉室夕月>
種族:人間
年齢:21
性別:女
スキル:気配察知
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<坂村二郎衛門>
種族:人間
年齢:70
性別:男
スキル:俊敏
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「ユヅキさんって【気配察知】だったんだねー。結構レアなスキル? 気配を察知できるって優秀だけど、聞いた事なかったね?」
「私が気配を察知するより遥かに早く、ミク殿は気付いているのです……。正直に言ってあまり出番がないのが現状でして」
「あー……それは御愁傷様という他ないな。二郎衛門さんは逆に【俊敏】っていう使いやすそうなスキルですね?」
「うむ。これは使った後の10秒ほどだけ早く動けるスキルでな。使い勝手としてはそれなりに優秀なのだ。まあ、最近は【身体強化】があるので使わなくなったのだが……」
「それは仕方がないよ、だって【身体強化】の方が使い勝手が良いし。ここまでは終わったけど、ミクは?」
「私? 使ってもいいけど、ここで見た事は内緒にしてくれる?」
「別にいいけど……何か見られちゃマズいものでもあるの?」
「いや、そもそも私、別の星の者だからね?」
「??? ……まあ、それは知ってるけど」
ミクはセンの言葉に取り合わず、自身の手の平を置いて魔力を流す。先に伝えておいたのは鑑定の石板を使った際に、おそらく情報が表示されるだろうと思ったからだ。そしてそれは正しかった。
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<ミク>
種族:???
年齢:???
性別:???
スキル:無し
権能:善の神の一部・悪の神の一部
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「「「「「………」」」」」
「種族も年齢も性別も出ないのに、何故か私が星に連なる神の権能の一部を持つ事は出るのか。何だか不思議な鑑定結果だね? この星の神の権能でもないのに表示されてるし、となると星に連なる神の権能には大した違いが無い?」
鑑定結果から色々と考えられる事はあるのだが、コウジ達は権能の所をどう考えていいか分からなかった。唯でさえ信仰心が薄いと言われる日本人であっても、神の権能と表示されれば話は別である。
それをどう考えていいか悩んでいるとセリオも石板を使いたがったので、ミクが石板の上にセリオを乗せる。セリオはすぐに魔力を流して鑑定した。
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<セリオ>
種族:ドラゴンライノ
年齢:9
性別:男
スキル:竜鱗
特殊:伸縮自在
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「竜鱗っていうスキルがあるね? これはどう考えてもドラゴンライノに変わったから手に入ったスキルだと思うけど、セリオ自身が認識してなかったから使えなかったのかな? ま、今は……って使えたの?」
『ううん、やってみたら出来た。思ってるよりも簡単、かな? 10……何頭だったかのお肉を食べたからじゃない? 竜の鱗みたいなのを纏えるようになったのは』
「……ああ、成る程ね。これ竜の鱗じゃなくて、そう見える魔力的な防御だね。しかし相当の防御力だと思うけど、セリオの成長方向はそっちだったみたい。せっかくだからブレスでも吐けるようになればいいのに」
『流石にそれは無茶じゃないかなー。僕の体にはそういうの無いし』
「まあ、新しい装甲が出来ただけ十分か。ドラゴンにぶつかっても負けなさそうだし」
『そうだね』
そう話していると、今度はレティーが鑑定の石板に乗り魔力を流す。どうもセリオの種族が変わっていた為、自分も調べたくなったようだ。果たしてその鑑定結果は?。
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<レティー>
種族:マルチスライム
年齢:3
性別:???
スキル:解体
特殊:知識吸収・記憶吸収
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「レティーに関しては【解体】スキルがあるくらいかな? 今までと出来る事は変わらないし」
「そうですね。元々人間種の脳を捕食すれば知識と記憶は吸収できましたので、それ以外には【解体】が使えるぐらいでしょうか。とはいえスキルを使い熟せば綺麗に手早く解体できそうです」
そう言ってミクとレティーが話していると、ようやくコウジ達は復帰したらしい。訳の分からない事は横に置き、ようやく再起動を果たしたものの、セリオとレティーをどう考えていいのか分からず再び困惑するのだった。
そうやって困惑している間にもミク達は適当な会話をしており、それを聞きながら諦めるコウジ。これはもう考えても無駄だと悟ったらしい。考えるからこそ困惑するのだ、そういうものだと思えばいい、と。
「だからな、考えても分からない事は考えてもしょうがないんだ。そもそも他の星の人だっていうのを忘れちゃ駄目だろ。他の星の人が当たり前に神の権能? というものを持つのかは知らないけど、考えても無駄な事は考えるな」
「……うん、まあそうだね。他の星の事だし考えたって分かりっこないんだから、諦めた方がいい。ちょっと権能とかいうのが衝撃だったけど、こればっかりはね。でも、ミク達は全員スキルの下があるんだね?」
「……そうですね。人の鑑定はスキルまでではなく、ある人には下があるのでしょう。それをどうやって取得するのかは知りませんが」
「色々と言いたい事はありますが、聞いても仕方ない事ではありますか……。今のままで悪い訳ではありませんし、藪を突付いて蛇を出すのは以ての外です」
「そうじゃの。世の中というのはそう出来ておる。余計な事はするべきではない。それより全員の鑑定は終わったのだから、次は物品の鑑定かの?」
「そうですね、そちらの方が無難でしょう。おかしな方に行く前に提案致しましょうか」
ユヅキは持っている物の鑑定などをする事を提案し、それに釣られてコウジ達は物品鑑定へと移る。実はこの時ミクに聞いておけば、ミクは素直に自分と言う者の事を喋ったであろう。聞かれても問題無いからだ。
とはいえ<君子危うきに近寄らず>。聞いても良いか分からなかったユヅキ達は、あえて火中の栗を拾いに行くのは止めた。その所為で情報を得るのが遅れるのだが、それは致し方ない事であろう。
ちなみにコウジ達だから喋るのであって、どうでもいい者達に教える気は無いミク。なので今のところ、この5人しか聞く権利は持ち合わせていない。




