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0478・初めての依頼




 翌日。葉月家のカメラが入ったので仕方なく、北条家の庭で動画撮影をする事に。ミクが魔法の使い方を指導し、2人が順番に使えるのを披露する。特に危険ではない魔法を使い、こういう魔法もあるのだと動画に記録していく。


 使っているのはドローンカメラで、AIを使って制御をしているらしく追いかけてくるという便利な物だ。今は3人を浮きながら映しているが。ダンジョンだと後ろをついて来てくれる。


 ただしダンジョンの中ではコウジも今までのカメラを着けており、コウジ視点の映像も動画として出していた。碌に映像加工とかは出来ないので殆ど記録したままの垂れ流しだが、逆に臨場感があって妙な人気を獲得したらしい。


 現在撮っている<魔法の使い方講座>もそれと変わらず隠す事などしていないので、そのままを出すつもりだ。日本軍はかなり嫌がるだろうが、映像を加工するだけの技量が無いとか適当に言い訳をすれば済むと思っている。


 そもそもコウジがどんな動画を流すかはコウジの勝手なので、動画を流す配信サイトの規約さえ守っていれば違法ではない。更に言えばその配信サイトはアメリカの物なので、絶対にコウジの邪魔はしないだろう。むしろしようとしているのは日本軍なのだから。


 コウジとセンも魔法を使う為の復習になっており、そういう意味では<魔法の使い方講座>は決して損にはなっていない。2人も使っていくうちに奥が深い事を理解してきており、なにより手軽に練習できるという事が大きい。


 それこそベッドに寝ていても練習出来るのだ。その手軽さと、魔法を使うという奥深さ。それを2人は楽しんでいるので、案外魔法そのものへの才能はあるのだと思われる。どうにもセンがズレていたのは感覚的な事で、現在はそれも治まっているようだ。


 マイナスの意味での才能は無かったようで何よりである。その日の昼過ぎまで色々と撮影し、その後は映像を確認して配信サイトへとアップして終了。後は適当に過ごした。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 それから5日。無事にハルカも20歳まで若返り、元気に色々とやっているらしい。老いた体と違い、元気に動き回れる体を手に入れた事で精力的に活動しているとヤエから聞いた。


 この5日でミクと北条家は葉月家の新会社に籍を置く事となり、その契約も済んだ。これで葉月家が守る事も口を出す事も出来る様になった。現実的に葉月家としては口を出す気は無いが、利用される恐れが高いので守る態勢は絶対に必要なのだ。


 そしてこの日、軍ではなく新会社に依頼が来た。内容は車庫の中に出来たダンジョンを何とかしてほしいとの事。この新会社では依頼するのは無料。ただしダンジョン内で得た者は全て探索者の物という契約になる。


 今まで<日本ダンジョン探索者支援協会>がやってきたものとはあまりにも違う料金体系に、嘘じゃないかと言われたが、探索者としては占有できる可能性が高いのだ。その事の旨味を理解した探索者は納得していると聞く。


 実際、狩場の占有が可能というのは大きな意味を持つのである。分からない者には分からないのだろうが、私有地ダンジョンは個人の責任である以上、そこから出た物には税金が掛けにくい。絶対に掛かるのは協会に属するダンジョンだけだ。


 つまり私有地ダンジョンの獲物を直接会社などに卸した場合、税金は取られ辛いのである。そもそも私有地から出た物をすべて把握する事など出来ないのでこうなっているのだが、流石に会社では計上する必要がある。


 ただし、査定は市場基準とはならない。もちろん市場である程度値段が決まっている物に関しては税を払うものの、ダンジョン産の物には時価が多いのだ。


 若返り薬とて最低10億円というだけで、人によっては100億円を出す者も居る。そしてそれは公営のオークションでもない限り分からないのだ。個人間で取り引きされた場合、不明となってしまうのは仕方ない。


 ちなみに若返り薬の税である5億円は既に国に納めてあるらしく、そのうえでの10億円分の便宜だったそうで、リオが目を剥いていたのが印象的だった。



 「着きましたので、降りましょう」



 ヤエの言葉で、まずはミクとユヅキが降りる。今日は全員が乗れるようにとの事でハイエースだ。該当の家の近くの駐車場を借り、徒歩で依頼主の家へと行く。そこまで遠い場所ではなく、東京23区内である。


 家の人と話をし、契約書にサインと捺印なついんをしてもらい契約完了。早速車庫に案内してもらう。そこは車の入っていない車庫で、その中央に黒い渦が在った。間違いなくダンジョンの入り口だ。



 「ダンジョンに入った事はありますか? もしくはご家族のどなたかが入った事は?」


 「息子が興味本位で入った事があるようで……中は荒地だったと聞きました。物騒な牛が居たとかなんとか言っていた筈です」


 「分かりました。早速入ります」



 まずはミクが入り様子を窺う。事前情報の通りだったので一度出ると全員に説明、そして全員でダンジョンへ。記録用のドローンを出し、コウジのカメラも出して着けさせる。



 「さて、準備は整ったから進もうか。どうも荒地みたいだけど、そこまで面倒な感じじゃないね。牛系の魔物と聞いたけど、1階じゃ大したヤツじゃないだろうから進むよ」



 ミクの一言で一行は移動を開始。周りの景色を確認しつつ、【身体強化】で走って行く。ミクも説明したが、これが一番早い迷宮の攻略法なのだ。速く移動して早く進む。


 階段が見つからなくても、早く進めばこそ範囲も狭まる。それだけ階段を見つける確率も上がるのだ。それにそこまで強力な【身体強化】は使わせていない。



 「【身体強化】で移動するのも、何とか出来る様になったなー。これだけ早く移動できたら、ベテラン探索者チームより速いんじゃないか?」


 「それはそうですけど、妙な嫉妬とかを受けかねないので注意した方が良いですよ。人間が一番怖ろしいのは間違い無いですから」


 「それもそうだね。狙われるのはお兄ちゃんだから、どうでもいいけど」


 「おい! 少しは気にしろ!」


 「えー……めんどい」



 そんな軽口を叩きつつも、どんどんと進んでいき5階。何故か石造りのダンジョン風な景色に変わる。ここからは魔物が変わるのか、早速出てきたのはスケルトンだった。



 「ちょうどいい。スケルトンの倒し方は頭蓋骨を叩き潰すか、それとも浄化するか。今回は1人ずつ魔法で浄化して倒そうか。アンデッドはそれが1番手っ取り早いし」


 「教えてもらった【清浄】の魔法だよな? とりあえず俺からいくよ」


 「では次は私が」



 まずはコウジからスケルトンを浄化する事になったが、そもそもスケルトンの動きは遅いので簡単に浄化は終わる。次のヤエも簡単に終わらせ、残りの3人もあっさり終わらせた。



 「普通の探索者の場合、武器が打撃系でないと欠けたり壊れたりする。魔物としては弱いものの、武器の消耗を考えると魔法で倒した方が簡単な相手だと覚えておくといい」


 「確かに武器の耐久力とか考えないとマズいか。でも大量に出てこられると魔力が幾らあっても足りないし、やっぱり1人ぐらいは打撃系の武器を持っておくべきだな」


 「打撃系の武器は使い勝手が良い。剣や槍が効かなくても、打撃武器なら昏倒が狙える。剣や槍が弱いとは言わないけど、耐久力の事も考えたら打撃系の武器は必須と言える」


 「原始的な暴力も、ちゃんと利点があるんだなぁ……。メイス使ってる俺が言う事じゃないけど」


 「実際に剣や槍が駄目な人は、メイスを持った方が良いよね。ミクは頭空っぽでブン殴れば済むって言ってたし」



 事実なのだが他に言い方は無かったのだろうか。そんな事を考えつつも、口には出さないジロウエモンであった。


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