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0449・オークと脱出




 魔石の取り出しが終わったら進んでいき、ミクは相変わらず一撃で倒して終わる。何の参考にもならないが、頭を潰して終えているので毛皮に傷は無い。レティーに血抜きをさせ、冷やした後にアイテムバッグへ。


 それが終わったら進んでいき、ある程度のウィンドウルフを倒す事で慣れたのだろう、2人も危なげなく倒すようになった。



 「ダメージ覚悟で突っ込んだ方が、むしろダメージを受けずに済むっていうね。怖気おじけづくと駄目な魔物って、やっぱり居るんだなー」


 「そうだね。それでも倒し方は分かったから、簡単に倒せるかな? 相変わらずお金になりそうにない魔物ばっかりだけど。10階まで行ったら今日はもう帰ろうよ。帰って魔法の練習がしたい」


 「そうだな。ミク、10階の魔物って何?」


 「猪顔、この星のオーク」


 「おっと、10階でオークかー。センがモテモテの階層だな。モテても嫌だろうが」


 「そりゃね。それに私よりミクに群がると思うけど? 圧倒的に勝てないだろう事は間違い無いのに、私よりも群がりそう」


 「ま、言いたい事は分かる。って、ここの階も階段が近いな。それにしてもよく覚えてるもんだ。俺なら階段の位置なんてすぐに忘れるけど」


 「だからいつまで経っても3階より下に下りられなかったんじゃない?」


 「そんな事はないけど、下りられても4階がファングバットだからな。あのコウモリ集団にたかられたら詰むから、結局先には進めなかったと思う。今でもあのコウモリ軍団をどうしたらいいか分からないし」


 「網でも投げたら?」


 「漁師かよ。と思うけど、それも1つの方法か? でも網から抜けられたら、それだけで革を切り裂く牙が襲ってくるんだよなー」


 「相手は飛んでるしねー、って来た。……うわぁ、早速鼻息が荒いんだけど?」


 「本当だな」


 「ブルルルルルル………!!」



 オークはセンとミクを交互に見て、ミクの方へと突進してきた。ミクは武器を持っていなかったからだろうが、無手のオークはミクに対して抱きつきに来る。しかしミクは避ける事もせず、少し下に正拳突きを繰り出す。


 それはオークの鳩尾みぞおちに炸裂し、即座に後ろに跳ぶミク。そして地面に膝を突いて吐き出すオーク。一撃で耐え難い苦しみを受けたようだ。



 「うわぁ……武器を使う必要すらないよ。しかも正拳突きって初めて見たけど、他の星にもあるんだね?」


 「そりゃ真っ直ぐに相手を突くだけなんだし、シンプルなのが強いのは同じじゃないか? 相手を殴る基本だろうしな。そもそもミクが放ったのは正拳突きだとは思うけど、本当に正拳突きかは知らないぞ?」


 「まあ、他の星の技なら微妙に違う可能性もあるしね。それはともかく、オークが首を折られて死んだんだけど。血の泡を吹いてるし」


 「ある意味酷いけど、ある意味でよくやったって言いたくなるな。俺達には無理だが、オークの死体としては綺麗だな。ちなみにだけど、ミク。オークの死体丸々なら1万7000円で売れるよ」


 「コイツ、車、大丈夫?」


 「前と同じく7体ぐらいは乗るんじゃないか? オークの肉ならウチでも食いたいけど、倒してすぐの肉は、確か硬くて食べられないんだよなー」


 「そうなの?」


 「死後硬直ってヤツだよ。だいたい1日ぐらいは置いた方が良いんだってさ。俺も詳しい事は知らないけど、そう書いてあるって事はそうなんじゃないか?」


 「んー……オーク肉って食べてみたかったけど、仕方ないかー」


 「熟成機、ある」


 「「熟成機?」」



 2人が言葉をハモらせて聞いてくるので、ミクは【念送】で伝える。



 『狩った肉を早く食べられるようにする魔道具。縦に2メートル横に1メートルくらいの大きさで、中に肉を吊るして起動すると、肉が食べ頃になるまで自動で熟成してくれる。そういう魔道具だよ』


 『それってエルフィンの時に手に入れたヤツー?』


 『そう。エルフィンの王太子をブッ殺して手に入れたヤツ』


 「はぁ? 王太子ぃ!?」



 その後はオークを狩りつつミクから詳しい話を聞く2人。センもコウジもオークを簡単に倒すが、これはオークが女性に過剰反応して突っ込んで来るからである。今までで一番簡単な狩りかもしれない。



 「それにしても酷いな、そのエルフィンって国。日本の隣にも似たような国があるけどさ、そういう選民的な連中って何処にでも生まれるのな。自分達の種族以外を奴隷みたいに扱うなんて、信じらんねーよ」


 「そのエルフィンっていう国のエルフだけなんだろうけど、エルフに対するイメージ変わっちゃうね。もちろん、まともなエルフが多いんだろうけどさ。他種族を見下して差別するエルフ……ラノベあるあるかな?」


 「俺も同じ事を思った。そういえば、そういうイメージの作品もあるなーって。実際にはエルフにもバカが居る、で終わる話なんだろうなー。それでも王族皆殺しは容赦ないと思うけどさ」


 「でも、【死霊術】とかいうヤバい魔法を研究してた国なんだから仕方ないんじゃない? あまりにもエルフのイメージと乖離かいりしてるけど、現実ってきっとそんなものなんだろうね」


 「まあな。とはいえ<狂乱王>とかいう危ない王様の所為みたいだし、ついでに王様には逆らえなかったんだろうな。それが禁忌でも役に立つならって事じゃね? アメリカみたいに危険だって分かってても核を落とす国だってあるんだし。それと変わらないだろ」


 「そう考えれば納得かな? 禁忌ってところじゃ何も変わらないしね。【死霊術】と核爆弾が同じかは知らないけど」


 「ある意味で【死霊術】より悪いと思うけどなー。だって【死霊術】でも核爆弾ほど人を虐殺したりしないだろ?」


 「それは、そうだろうね」



 会話をしながらもオークを倒し、順調に血抜きをして収納していくミク。センとコウジが倒したオークは解体し、既に腹の肉と太ももの肉を<熟成機>の中に吊り下げてある。


 7体を倒し終わったミク達は走って帰る事にし、ダンジョンの中を戻って行く。体力をつける為なのだが、センは痩せる為らしい。ミクからすればそれ以上に痩せたら皮と骨になるんじゃないかと思うが、本人的には納得いかないようだ。



 「健康を損なうから止めろって言ってるんだけどなぁ。だいたいミクくらいでも十分に綺麗なんだから、それ以上に痩せる必要はないだろ。むしろ多少は太れ」


 「……うーん。確かにミクを見てると、肉があっても綺麗なんだよねー。痩せすぎると鶏ガラみたいって言われるし、胸が痩せるのも事実ではあるし……。ちょっとだけなら太っても大丈夫かな?」


 「魔物、戦う。太らない」


 「確かに魔物と戦うって大変だからな、こうやって戦ってたら痩せるんじゃね?」


 「確かにそうかも。……っていうか、走りながら喋るの、疲れる」


 「体力が無さ過ぎるんだよ。これに懲りたら、少しは体力つけろ」



 そんな会話をしつつも走って行き、脱出した時には疲れきっており、庭に倒れるように寝転がるセン。多少は息を整える程度で済んでいるコウジは、妹を呆れた顔で見ていた。



 「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ………」


 「体力つけて損は無いんだし、これからは走って行って、走って出てくるのが良いな。実際、俺も他人の事は言えないし、もうちょっとしっかりと体力つけないと。筋力は……武器を使ってたらつくか」



 全員に【清潔】と【聖潔】を使って綺麗にしたら、北条家の中に入る。冷房の魔道具は置いたままだったが、どうやら未だに効いているらしく、リビングは非常に涼しかった。


 センは即座に家に入り、リビングの涼しさに喜んでいる。



 「疲れきってる筈なのに、涼しい部屋に突撃する速度は速いんだなー」



 そんなツッコミをしつつも、家に入って窓を閉めるコウジ。呆れた顔は継続中のようだ。


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