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0446・ブルーラビット




 ダンジョンへとやって来た3人は、昨日と違いどんどんと進んで行く。道中の魔物は蹴散らし、いちいち解体もせずに放って進む。そんな事に時間を使っている暇は無い。そんな感じである。


 1時間も掛かる事なく7階へと来た3人は、ここでブルーラビットを狩る事にした。流石にスコップのままはアレなので、コウジにはミクの大型ナイフとククリナイフを貸し出している。センには槍だ。


 そのコウジはナイフを二刀流にして、ジリジリとブルーラビットに近付いていく。ブルーラビットはジッとコウジを見ていたが、突然魔法で攻撃してきたので、慌てて横っ飛びで逃げるコウジ。



 「コウジ、魔法、切る。避けて近付く、どっちか」


 「そう言われても、飛んでくる速度が思っている以上に速いんだよ。こんなの切るとか本当に出来るのか?」


 「ミクが言ってる以上、他の星の人は出来るんだと思うよ? お兄ちゃんは出来ないだろうけどね」


 「俺だってできらぁ!」


 「命が掛かってるトコでボケなくてもいいから、真面目に戦ってくれる?」



 再び魔法が飛んでくるものの、最低魔力の【水弾】でしかない。ミクならば弾く事もなく接近してさっさと倒すが、どうにもコウジは怖がっているようだ。ここは慌てても仕方ないのでゆっくりと待つ事に。


 魔法が飛んでくる速度はそれなりに速いものの、別に中級や上級のように高速という訳でもない。だからこそ十分に回避可能な程度でしかないのだ。にも関わらず、怖がっている所為で回避するのが精一杯となってしまっている。


 それに関しては慣れていないのが最大の原因だろう。魔法を使われるのに慣れれば前に出られる筈だし、飛んでくる前に潰す事も可能なのだ。むしろ勢いがつく前に潰した方が、魔法の威力は低くなる。



 「魔法、発射。すぐは、弱い。勢い、途中から、上がる」


 「ああ、つまり突っ込んで受けた方がマシって事か。そうと分かれば……」



 コウジはブルーラビットと対峙し、タイミングを計る。そして魔法を使い始めた途端、一気に前に走り出して魔法の射線に大型ナイフを構える。そのまま体ごと突っ込み、大型ナイフに魔法を当てる事に成功。


 威力は削がれているので、当たったところで大したダメージなど受けない。そのままの勢いで接近し、右手のククリナイフでブルーラビットを切り裂いて勝利。ただし袈裟懸けに切り裂いたので毛皮が使えない事に。



 「さっすが、お兄ちゃん! 勝ったのに盛大なオチがついたね」


 「オチって言うな! ……勝つ事が先で、毛皮の状態なんて頭から抜け落ちてたっての。そういうのも考えて戦わなきゃいけないんだよなー。とりあえず魔石だけ出すか」



 愛用の包丁で魔石を取り出し、袋に入れるコウジ。血がベットリ付いたのでどうしようかと思っていると、ミクが【清潔】で綺麗に落とす。



 「おおー、ありがとう! やっぱり魔法を早く使える様にならなきゃ駄目だな。今までは虫だったからマシだったけど、血を持つ魔物だとベットリ付くしさ。こうなると幾ら水があっても足りないぞ」


 「そうだね。魔法を早く覚えた方がいいよ。明日から学校だけど、明日で終わりなのは良かったね。本当なら金曜に終業式をしてほしかったけど」


 「だよなー。まあ、決まってる以上はどうにもならないから諦めろ。今年はこういうスケジュールなんだ」


 「夏休みを練習に使えば、流石に魔法の1つぐらいは使えるようになってる筈。部活なんて所属してないし、時間があるのはいいね」


 「部活の奴等も大変だけどな。夏の練習は熱中症の危険があるし。陸上部のヤツなんて、ダンジョン内を走り回ろうか真剣に考えてたぞ? それぐらい炎天下だと危険だからな」



 会話をしつつもブルーラビットを探し、見つけたのでセンが戦う。槍を構えてジッと待つセン。ブルーラビットは先ほどの個体と同じく【水弾】を使い始めたが、センは素早く前へと走る。


 ブルーラビットの【水弾】が発射された直後、センは横へとズレてあっさり回避。そのままの勢いで頭に槍を叩き落した結果、口元まで槍が入り絶命。それで勝利となった。三角錐の穂先だからこそ、その程度で止まったのだろう。


 ミクは解体ナイフを渡し、センに自分で魔石を出すように言う。



 「魔石、心臓付近。自分で出す」


 「えー………自分でやるの? マジで?」



 文句を言っているものの、ミクは無視して解体ナイフを渡す。流石に諦めたのか、仕方なく自分で切っていくセン。しかし解体も知らないのだろう、あっと言う間にズタズタになる毛皮。


 魔石を取り出せた頃には、もはや使えない皮しかなかった。



 「これじゃ毛皮はとても使えないな。俺は倒し方が悪かったけど、センは切り刻んだ結果売れなくなったか」


 「こんな事やった事がないんだから、しょうがないじゃない。っていうか生温かくて気持ち悪いし、このナイフの切れ味が怖いしで、やりたくない」


 「ああ、そこまでスパスパ切れるのは確かに怖いだろうな。ちょっと間違えば自分が切れるから扱いは相当難しいし。素人に使わせるナイフじゃないわな」



 ミクはセンに【清潔】を使って綺麗にしてやり、センは綺麗になった手の匂いを嗅いでいる。



 「凄い、まったく臭くないよ。魔法って本当にとんでもないね。それが自分にも使えるかもしれないってなったら、俄然がぜんやる気が出てくるよ!」


 「良かったな。とりあえずは金稼ぎが先だから、魔法の練習は終わってからだ。それじゃ進もう」


 「次、私。手本、見せる」



 そう言ってミクは無手のまま歩いて行く。するとブルーラビットを発見。ミクは一気に走っていき、相手の【水弾】を手で弾いて突っ込む。コウジとセンは驚くも、ミクはマジックキラーの投げナイフで首を切り殺害。それで終了となった。


 レティーに血抜きをさせていると、慌てたコウジやセンがやってきて大丈夫かを聞いてくる。



 「魔法を手で弾くとかメチャクチャな事をするな。魔法が当たった手は大丈夫なのか? 俺が武器で切っても多少は痛かったんだぞ」


 「そうそう。魔法を手で弾くのは流石に駄目でしょ。怪我をするような戦い方は良くないよ」


 「手に魔力、篭める。魔法、弾く。痛み、無い」


 「えっ? 魔力を込めて魔法を殴れば痛くないのか?」


 「アレじゃない。魔法から身を守るのも魔力なんじゃないの? 自分の魔力で相手の魔法を押し返す的な?」


 「セン、正しい。相手の魔力、それ以上の魔力、弾ける。弾く、無理、でも弱い」


 「えーっと、どういう事?」


 『魔力を篭めていれば相手の魔力に抵抗できる。魔法という現象を起こしているのも魔力。そして相手の魔力と自分の魔力は同じじゃない。自分の体の一部に魔力を集中させれば、相手の魔法を弾けるし、弾けなくても威力は弱められる』


 「成る程、そういう事ね。だから魔法を切ったけど、魔法を防御してないお兄ちゃんはダメージを受けて、魔力を篭めて防いだミクは痛みも何も無いって訳かー」


 「最初に教えておいてほしかったが、よくよく考えれば知ったところで俺じゃまだ無理か。魔力を使うって大変なんだな。本当にスキルが【魔力操作】で良かったよ」


 「むぅ……」


 「気に入らないって顔してるけど、今まで散々バカにされてきたんだからな? それ込みでの今なんだから、別に良いだろうに。それに、俺はさっきのセンみたいに綺麗にかわせないしな」


 「そうでしょう! そうでしょう! 華麗に避けられるんだよ、【見切り】のスキルはさ!」



 調子いいなと思いつつも、妹の機嫌が悪くならなかった事に安堵するコウジ。どうやらセンはヘソを曲げると面倒臭いタイプのようだ。


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