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0445・今日の予定




 その後はセンも起きてきて歯を磨いて顔を洗い、リビングへとやってきた。ミクとコウジはマーガリンとジャムを塗ったパンを食べており、リオは未だにレティーと喋っていた。よほどスライムと喋れるのが嬉しいらしい。



 「お母さん何してるの?」


 「レティーと喋ってるだけだ。あれだろ? インスピレーションが湧いたんだろ、きっと。スライムが喋れたら便利だろうけど、あそこまで興奮する事か?」


 「あー、レティーって喋れたんだ? 何で昨日は喋ってなかったの?」


 「リスニングっつーか、俺達が喋っている言葉とか単語の意味が大凡おおよそ分かったからだってよ。ちなみに声を出してるんじゃなくて、振動を伝えて声っぽくしてるそうだ。だから機械音声みたいに聞こえるんだろうな」


 「へー……」



 興味が無いのか、パンが焼けたらリビングのテーブルに来て塗り始めたセン。流石にそろそろ会話を止めて顔を洗ってくるように言うと、すっかり忘れていたのか慌ててリビングを出て行くリオ。



 「やっと解放されました。会話をするのは構いませんが、一方的に喋りかけられるのは会話というのでしょうか?」


 「お母さんよりレティーの方が冷静じゃん。っていうか、本人だから興奮も何もないだけかな? それにしてもレティーもセリオも会話できるって凄いよねー。昨日から常識が壊れまくりだよ」


 「まあ、それは諦めるしかないな。別の星の人が居た段階で、今までの常識なんてブッ壊れるのは当たり前だろう。そもそも宇宙人って言えなくもない訳だし。っていうか、どこの惑星に住んでたんだろうな?」


 「さあ? 何処でもいいんじゃない? そんなとこまで興味無いしさ。専門家ぐらいでしょ、そんな事を気にするの。それより配信はどうする? いつもヘルメットに付けてるけど、私が付けようか?」


 「そういえば今日は日曜日か。1週間ほど預かってくれって言われた以上、わざわざ映して投稿するのもなぁ……。せめて魔法が使える様になってからが良いし、今日はどうしようか……」


 「ライブでやってる訳でもないんだし、ミクが映ってるところは切る? それとも今日は動画を撮るの止めておく?」


 「そうだな………止めとくか。あんまり多くの人も見てないし、1週程度休んだところで誰も気に留めないだろ。今日もダンジョンに潜ってお金稼ぎだな。できれば軽くて高く売れる物が良いんだが……ちょっと調べるか」



 コウジはハコを使って軽くて高く売れる物を検索し始める。色々な物を調べているが、これといって無いらしく渋い顔をし始めた。



 「やっぱり軽くて高く売れる物って多くないな。ファングボーアより先に行って稼ぎたいけど、あの後って何なんだ? ミク、ファングボーアの下の階層の魔物って何?」


 「ファングボーアの次、青い……う、さぎ? ピョン、ピョン」


 「うん、それはウサギで合ってる。けど……お兄ちゃん、青いウサギって何?」


 「名前はブルーラビット。まんまだと思うけど、こいつ水魔法を使ってくるらしい。魔法を使ってくる魔物は遠距離攻撃が出来るタイプだから、盾を持ち込んで防ぐのが良いんだってさ。そのうち撃てなくなってダウンするから、そこを攻撃して倒せって」


 「名前はまんまだけど、魔法かぁ……。知らなかったら危険だと思うけど、知ってるからそこまでかな?」


 「とはいえ安全に進むのが一番だ。無理したってしょうがないしさ。それと、ブルーラビットの毛皮は人気らしい。肉はそうでもないから皮だけ剥いでいくのが良いのかな? それと魔石か」


 「げー……ウサギの皮を剥ぐの? それはちょっと勘弁してほしいなぁ……」


 「まあ、俺とミクで何とかするしかないな」


 「そういえばお兄ちゃん、何でミクの事は呼び捨てなの? どんな女の子も、さん付けで呼ぶよね?」


 「そうなんだけど……何でだろ? 何となく最初にそう呼んでしまって、それからかな? しかし、何で最初に呼び捨てにしたんだろう?」


 「私が分かるわけないけど、変わってるよね。まあ美人さんだから、俺のものって感じで独占欲が出たんじゃない?」


 「んな訳あるか」



 リビングにリオも来てパンを焼き始めたので、ミクはセリオを起こして挨拶。セリオはボーッとしているが【清潔】と【聖潔】で綺麗にし、深皿に水を入れて冷やして飲ませる。


 水を飲んで目が覚めたのか、その後は干し肉を食べていくセリオ。相変わらず一心不乱である。そしてそれに興味を持ったリオが求めたので渡し、リオも一心不乱に食べ始めた。それを生温かい視線で見守るコウジとセン。



 「…………あら? 何してたんだっけ? ……あっ、そうだ。パンを食べようと思ってたんだったわ。すっかり忘れてたみたい。やーねー、歳を取るとすぐに忘れちゃう」


 「いや、お母さん、違うから。さっきまで干し肉を食べてたでしょう、忘れちゃったの? 仕方ないんだけど、破壊力が高すぎるんだよね」


 「だよなー。アレの破壊力はシャレにならない程に高いんだよ。意識をしっかり持って味わう事をしないと、意識が持ってかれるからなぁ。流石はドラゴンと言うしかないんだけどさ」


 「あっ! 確かにそうよ、干し肉を食べ、ドラゴン!? さっきの干し肉はドラゴンのお肉なの!?」


 「そうなんだって。他にもミクの装備はドラゴンの物だらけらしいよ? 私が借りた槍だってドラゴン素材の槍らしいし、ゴブリンをあっさり貫通したしね。慌てて引っこ抜いたぐらいだもん」


 「それは凄いわねぇ……ドラゴン装備の女冒険者が、最初の町に現れて無双? ……一考の余地はあるかな?」


 「何を考えてるのかは分かるけど、とりあえず食べたら?」



 そう言われ、慌ててパンを食べるリオ。ミクは幾つかセリオに干し肉を食べさせたら、食材を買いに行きたい事を伝える。どのみちアイテムバッグに入れていれば、いつでも食べられるのだし。



 「そういえば時間停止のアイテムバッグって、そういうチートアイテムだったのを忘れてた。いつでも食えるって最強過ぎるだろ」


 「そうだよねえ。それはともかく、そろそろ準備して行こうよ。今日はガンガン下りて青いウサギより先へ行きたいし」


 「そうだな。早めに行くか。……あっ、忘れてた。ミク、このイヤーカフス返しておくよ」


 「分かった。私も、言葉、多少出来る。これから、喋る段階」


 「そう簡単じゃないんだけど早いよねえ。まあ文字は書けないからアレだけど、話してる言葉は分かるんだもん、凄いよ。細かい事の時は【念送】を使えばいいし」


 「そろそろ準備しろー。俺も2階に行って装備を取ってくるから、ちゃんとトイレに行っておけよ? ダンジョンの中じゃ無理だからな」


 「サイテーって言いたいところなんだけど、女性探索者って大変だそうだしね。ミクはどうしてるんだろ?」


 「気配、魔力、精神、察知。敵、近い、分かる」


 「スゲー、気配察知みたいなのを使えるのか。マジでとんでもないな」


 「それを使って魔物を倒しておいて、後でゆっくり? でも、どうやって拭くの?」


 「拭く?」


 「いや、ほら、綺麗にしなきゃいけないじゃん!」


 「魔法、【清潔】、綺麗」


 「あー、魔法かぁ……。本当に魔法って便利だねー。私も早く使えるようになりたい。いつでもどこでも綺麗に出来るって凄いよ」


 「確かになぁ。ウチの温水洗浄便座なんて目じゃないし、魔法で即座に綺麗に出来るんだろ? 俺も早く使えるようになりたい」


 「ミクは今日の朝、歯ブラシを渡そうとしたら魔法で綺麗にしてたわね。アレを見た時に本当に羨ましくなったわ。魔法使って2~3度うがいしたら終わり。それでスッキリ綺麗みたいよ?」


 「歯磨き粉に色々と含まれてるから、完璧かどうかは分からないけど、すぐに綺麗に出来るなら十分か。何か食べてもすぐに綺麗に出来るんだし」



 それを考えるとやはり羨ましいのだろう、また魔力の循環を始めた3人。ミクは呆れ、コウジとセンにダンジョンへ行く事を言い止めさせる。


 憧れは分かるが、今日やるべき事を優先してほしいものだ。そう思い、嘆息するミクであった。


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