表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
449/1113

0444・ようやく1日目の終わり




 コウジ、セン、リオ、の3人は未だに魔法の練習をしている。と言っても、やっているのは魔力の循環と放出だ。センも多少は循環が出来るようになったみたいだが、しかし荒すぎる。無理矢理に魔力を循環させているのでロスが大きいのだ。



 『無理矢理に魔力を循環させようとすると、悪い意味で魔力を放出してしまう。それによって魔力をロスしてしまい、やがて魔力が底を尽くと枯渇状態になる。魔力枯渇は気分が悪くなり、吐き気が止まらなくなるのでかなりキツい。なるべくそうなる前に休むのが良いんだけど……3人じゃまだ難しいと思う』


 「魔力枯渇、それもラノベあるあるねえ。その設定が無い作品もあれば、有る作品もある。でも現実的には魔力枯渇は存在する、と。うんうん、色々固まってきたわ」


 「魔法の練習をするのか、本業の事を考えるのか、どっちかにすればいいのに。器用に両方やってる……」


 「まあ、センは上手くいってないんだろうけど、昔から何かにつけて大雑把だからじゃないか? こういうのは繊細にやらなきゃいけないって相場は決まってるし、もっと集中したらどうだ?」


 「集中してやってるよ。でも上手くいかないの! だいたい魔力の循環って言われ………」


 「どうした、セン?」


 「………気分悪い」


 「それが魔力枯渇なんだろう。それ以上は無理に練習せず休んだ方がいい。明日もあるんだしな」


 『魔力枯渇で気分が悪いなら、無理に練習は続けないこと。続けたところで上手くなる事なんて無いからね。魔力を扱う練習は寝る前にするのが一番いいかな?』


 「まあ、気分が悪くなっても寝るだけで済むからな。確かに寝る前にするのが一番良いか」


 『それと、毎日練習する事で少しずつ魔力量は上がっていく。もちろん限度はあるけど、最初から魔力を大量に持つ者なんて居ないから。努力しないヤツの魔力量は少ないままだよ』


 「つまり魔力量チートは存在しないと……。でも肉体の事を考えたら、その通りよね? いきなりムキムキマッチョなんてありえないんだから、いきなり魔力量が莫大なのもあり得ない訳ね。うん、分かりやすい」


 「本当に母さんは考え事しながら魔力の循環をしてるなぁ。流石に俺は無理だ……って母さんもダウンか。器用にしてたんじゃなくて、適当にやってただけなのかな?」



 センもリオもフラフラしつつも、冷房の魔道具を持って寝室に歩いていった。リオは1階だが、センは2階のようだ。相当気分は悪いだろうが、頑張って寝室まで移動してほしい。



 『すまないな。今日、あんまり言葉の練習が出来なかったろう? 明日、少しは練習に付き合うからさ』


 『それに関しては大丈夫。レティーが既に聞いて意味を理解してるから、レティーと勉強すれば大凡おおよそ分かるようになるよ』


 『??? レティーってブラッドスライムだろ? どうやって言葉を話すんだよ?』


 『ちょっと待ってね……』


 「あー、あー。この音で聞こえますか?」


 「!? ………もしかしてレティーか?」


 「そうですよ。音というのは振動ですからね、こうやって空気を振動させてやれば音ぐらい再現できます。後は貴方がたの言語のように音を出せばいいだけですから、そこまで難しくはありません」


 「何か機械音声みたいだけど、ちゃんと話が出来るな。っていうかスライムが有能過ぎて凄過ぎる。たった一日で会話できるんだからシャレにもならないし、これを知ると人間がバカに思えてくるな」


 「そんな事はありませんよ。私は私の能力を十全に使い熟しているだけです。コウジは使い熟せているようには見えません」


 「それが難しいって事なんだけ、ど? ………マジか、これはキツい。まさか魔力枯渇がこんなに気分が悪いなんてな。……駄目だ、部屋に戻って寝る」



 コウジも冷房の魔道具を持って部屋へと戻って行った。ミクは狐の毛皮を敷き、そこにレティーとセリオを寝かせる。すぐにセリオは寝始め、レティーも意識の大半を停止させた。


 ミクは何とか違和感無く潜り込めたと思いつつ、しかし大手を振ってこの星の探索者になるにはどうするかを考えるのであった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 明けて翌日。ミクがゆっくりとしていると、誰かがリビングにやってきた。目を開けると、どうやらリオだったようだ。ミクが起きたのを確認したリオは、タオルや新しい歯ブラシなどを渡そうとする。



 「これが新しい歯ブラシね? えーっと、これでこうやって歯を磨くんだけど……どうすれば伝わるのかしら?」


 「これ、歯、綺麗にする?」


 「そうそう。そういう道具なのよ。向こうに洗面所があるから……」



 そうリオは説明するが、ミクはシンクに行って【清潔】の魔法を口の中に使った後、コップに水を入れて含み吐き出す。そしてリオに説明する。



 「魔法、【清潔】。汚れ、全部落ちる。水、含む、吐き出す。綺麗」


 「あー、魔法で綺麗に出来るから、歯ブラシは特に必要ないって事なのね?」


 「そう。【清潔】の魔法、汚れ、落ちる。綺麗になる。物、体、何でも使える」


 「魔法が万能すぎる件。いや、ラノベやアニメでもそうだけど、現実に存在するとここまで凄いだなんて……って、それもそうだけど、ミクは言葉が分かるようになったのね。それも信じられない速さ。本当に別の星の人って凄いわ」


 「言葉、分かる。喋る、難しい。レティー、上手い」


 「えっ? レティーは上手いの? ……いや、レティーってスライムでしょ?」


 「スライムですけど、喋ることぐらいは出来ますよ?」


 「……もしかして、この声がレティー?」


 「そう」



 あまりの事にリオが驚いていると、コウジが起きてきた。どうやらぐっすり眠れたらしく、朝から元気だ。



 「顔を洗いに下りて来たんだけど、大きな声でどうしたんだ?」


 「ちょっと聞いて、レティーが喋ったの! 現実のスライムは喋るのよ!!」


 「いや、昨日の夜に聞いたし、機械音声みたいな声だったけど、既に聞いてるから驚きはないよ。それより、歯を磨いて顔を洗ってくる」



 そう言ってリビングを出たコウジ。驚かないコウジを無視して、レティーと会話をしているリオ。いったい何の構図だと言いたくなるが、多少不自然であろうとも言葉が話せる事に違和感は持たれなかったようだ。


 普通は1日では無理みたいなので反省しつつ、とはいえ別の星の者だと言えば通るだろうと思っている。もしくはミクが高能力者だとすれば済む。実際には高能力どころではないのだが。


 そうしていると、歯磨きなどを終えたコウジが戻ってきた。センは起きていないようだが、起こすにはまだ早いのだろう。何かをしている。



 「単に食パンを焼こうとしてるだけだよ。母さんはレティーとの会話に夢中だし、する気は無いみたいだからさ。それよりも別の星にパンってあるのか?」


 『パンっていうのは小麦で作られた食べ物? それならある。でも私は健康の為に大麦の粥を食べていた。小麦のパンはそこまで体に良い食べ物ではない』


 「あー、小麦のパンを食べて脚気を起こすパターンかー。そういうのも読んだ事があるし、歴史の授業でも習った事があるわ。昔の人って白米ばっか食って脚気になってたって」


 「沢山食べる、しない。大丈夫、筈」


 「ああうん。日本は色々売ってるし、別に毎日パンな訳じゃないから大丈夫だよ。そもそも健康に五月蝿いのも多いし、健康食品も売ってるしな。大丈夫、大丈夫」



 何が大丈夫か分からないが、とりあえずは任せる事にしたミク。リオが五月蝿い筈だが、セリオは関係なく寝ているようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ