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0442・獲物の売却




 「ねえ、お兄ちゃん」


 「うん? どうした?」


 「魔道具を改良してたって事は、ミクって魔道具が作れるんじゃないの?」


 「あっ……」



 どうやら今ごろ気づいたらしい。存外に頭の回転が悪いなと思いつつ、しかし口には出さないミク。それはともかく、ついでに魔石袋も出して2人に渡す。中にはゴブリンの魔石が100個ほど入っているが、それを見てビックリする兄妹。



 「いやいやいやいや、流石にこれは受け取れないよ。ちゃんと自分達で稼いでくるって」


 『センも言ってるが、俺達だって自分で魔石ぐらい稼げるから自分達で取ってくるよ。それは仕舞ってくれ』


 『大丈夫。ゴブリン程度の魔石なら、まだ後2000個以上余ってる。この100個を渡しても何の問題も無い』


 「「2000!?」」


 『ゴールダームのダンジョンの第3エリアは、森でゴブリンが大量に居る。そいつらを500体倒すとゴブリンキングが現れ、それを倒すとアイテムバッグが1つ落ちてくるんだよ。何故かは分からないけど手に入るから、私はそうやってアイテムバッグを集めていた事があるの。だからゴブリンの魔石は余ってるってわけ』


 「はー………アイテムバッグが絶対に手に入るって事? それって凄い事だよね? ウチの庭のダンジョンにもそういう所ないかなー」


 「おい、セン。ゴブリンキングなんていうヤバそうな魔物を倒さないと手に入らないうえに、ゴブリンを500体も倒さないと出てこないんだぞ? ゴブリンキングと戦う前に体力が無くなるわ」


 「休憩しながら戦えば良くない? っていうか、部屋がかなり冷えてきたんだけど、冷房の魔道具ってこんなに冷えるの?」


 「本当だな。部屋の中が随分と冷えてきた。とはいえ球体みたいなのの近くから冷えてるみたいだから、あれを離せば大丈夫じゃないか?」


 『随分と冷えるけど、この魔道具はこれが当たり前なのか?』


 『そうだけど……部屋の大きさや置く場所によっても変わるよ。後、これは最高効率にしてあるから、ゴブリンの魔石半個ぐらいで夜中は持つ。さっき1個半って言ったのはオリジナルの冷房の魔道具の場合だよ。渡したワイバーン製なら1個で余裕』


 『あー、そういう事か。素材とかでも効率が変わるって事ね。成る程、考えてみりゃ当然の事か』


 「成る程、素材が良ければ性能が上がるのは当たり前だよね。何たってこれドラゴン素材の物らしいし。逆に言えば蟻の魔石でも十分使えそうだね。2~3個入れておけば夜は余裕で持ちそうだし」


 「そう考えるとエアコンよりいいな。ソルジャーアントもビッグアントも動きは遅いし、大して強くもない。スコップだったからどうにもならなかっただけで、ミクに武器を借りたら楽勝で集められるな。むしろ魔石を取り出すのが面倒臭い」


 「仕方ないんじゃない? 放っておいたら死体ごと消えちゃうし。そうなる前に魔石を抜くしかないんでしょ? だったら頑張れ」


 「お前もやるんだよ。自分の分の魔石は自分で補充しろ」


 「だったら、ミクと一緒にファングボーアの階までい行く。そうすればレティーが魔石を取り出してくれるだろうし」


 『それならば構いませんよ。ゴブリンの血は特に不味いですからね、それに比べればあの猪の方がまだマシです』


 「うぉっ!? もしかして日本語が分かるのか?」


 『私達スライムは全身が細胞であり脳ですから、貴方達の話から類推して単語やら文法は大凡おおよそ判別できます』


 「スライムが頭良すぎる件」


 「何かそんなタイトルのラノベが出そうだね。いや、マジで」


 「ラノベのタイトルにするなら、<別の星からやって来たスライムの頭が良すぎる件>だろうなー。でもスライムだからそこまで強くないし、無双はしなさそう」


 「セリオと一緒に書いたら動物が活躍する系にならない? いや、どっちも魔物なんだけどさ。でもセリオの種族は元々温厚らしいし、必ずしも魔物が人間を襲うとは限ってないんじゃない?」


 「確かにそれなら書けそうだな」



 何の話をしているのかよく分からないミクはスルーし、セリオやレティーと一緒に冷房の近くで涼む。そうしていると、リオがやってきて涼しいリビングに驚く。



 「リビングのエアコンは3年前に壊れて捨てた筈よね? 何でこんなに涼しいの?」


 「あ、お母さん。これね、ミクが持ってる冷房の魔道具の御蔭だよ。魔石を入れれば冷房が動くっていう超絶便利な道具あるんだって。凄いでしょ」


 「へー。別の星には魔道具なんて物があるのね。テンプレとはいえ、本当に実在すると創作意欲が湧くわね。他には無いの?」


 「母さん、それは後にして。それより車を出してくれない? ミクがファングボーアを狩ってくれたんだけど、売りに行くには車じゃないと運べないんだ。流石に猪だから重いし」


 「それは良いけれど、そんな重いの車に乗るかしら? それに乗せられるの?」


 「向こうでは職員の人が手伝ってくれるから大丈夫。後、乗せるのはミクにやってもらうから問題無し。アイテムバッグから出すだけだから、簡単ですぐに終わるよ」


 「アイテムバッグ!? どこ? どこにあるの!?」


 「お母さん。ラノベ作家として触れたい気持ちは分かるけど駄目。ミクのアイテムバッグは所有者以外が手を突っ込むと、突っ込んだ部分が無くなるんだって。だから腕が無くなっちゃうよ」


 「へー! そうなの! それはあんまりない設定ね!!」


 「いや、設定じゃなくて現実だから……」



 何か色々と話が散らかったものの、車というものに案内され、その中にファングボーアを載せていくミク。大きな箱のような物が動く様はちょっと驚きだったが、あれが車かと納得もしたのだった。


 ミクはセンに連れられるまま北条家に戻り、リビングで涼みながら水甕を出してコップに入れる。それを見たセンが飲み物も出していない事を忘れていたが、もう遅いとして諦めた。


 ミクは気にせず深皿に水を入れると、自分のコップの水も含めて【冷却】を使って冷やしてから飲む。それを見たセンは驚き、ミクに聞いてきた。



 「さっきの魔法なに? あの、水に対して、こう……使ってたヤツ!」


 『うーん……もしかして魔法の事? さっきのは【冷却】の魔法で、魔力を強く篭めれば凍らせる事も出来る魔法だね。単に温い水を飲みたくなかったから冷やしただけだよ』


 「あ! 魔法! 魔法の使い方を教えてよ!!」


 『もしかして魔法の使い方? コウジが居ないけどいいのかな?』


 「いい、いい! お兄ちゃんが居る必要なんて無いから、教えて!」


 『まあ、いいか。魔力を扱う為には、まず魔力を感知する。つまり知覚する必要がある。魔力が分からなければ何をしたって意味は無いからね。とりあえず手を出して』



 ミクはセンの手を取り魔力を流す。すると「ビクッ」として手を引っ込めるセン。



 「な、なに!? 今の!? 何か変な物が入ってきたんだけど!」


 『驚いたかもしれないけど、さっき入ってくる感覚がしたと思う。それが魔力。他人の魔力はすぐに弾き出されるけど、感覚としては分かるでしょ? 何度も感じていれば、そのうち自分の魔力を動かせるようになるよ』



 そう言いつつミクはセンの手を握り、魔力を流しては弾き出させる。それを繰り返していく内に、何となく魔力の流れというものを知覚したようだ。



 「凄い! 凄い! コレが魔力なんだ! 今なら当たり前に分かるけど、何でこれが分からなかったんだろう? そう思うぐらいハッキリと分かる!!」



 どうやら魔力の知覚は成功したらしいが、それはまだ第一段階である。その後に循環と放出が待っているのだが、それは人によって出来るまでの時間が変わる。


 とりあえずは暇なので、コウジやリオが帰ってくるまではいいかと思い、教えていくミクであった。


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