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0441・魔道具




 ドラゴンの肉を味わっている兄妹を他所に、ミクはある程度のファングボーアを狩ると帰る事を提案する。セリオも帰る事に賛成したが、その時になって自分も【念送】を使った方がいいかと思い直した。



 『そういえば私も【念送】を使えるんだから、わざわざイヤーカフスの【念話】でだけ会話をするっていうのも変だよね? 【念話】や【念送】なんてあんまり使わないから忘れてたよ』


 「そうなんだ……ってよく考えれば、そもそも言葉を使えば済むんだから、その【念話】とか【念送】っていうのを使う意味ってあんまり無いんだね」


 「そうだな。口を開かずに内緒話をする際に使うぐらいか? もしくは大きな音のする場所で使うとか。頭に直接聞こえるから、周りで音がしてても聞こえるしな」


 「確かにね。案外そっちの使い方のほうが良いのかも。口を開けなくても会話できるって凄いし、便利だよ。ついでに言葉を覚えなくても勝手に相手に聞こえるんでしょ? スキルでそういうの無いかな?」


 「でも言葉は覚えないと、相手が何を言ってるか分からないぞ? 全員が使えるなら別だけど、自分だけならそんなに便利じゃないだろ」


 「全く、これだからねー……。夢が無い男とか嫌われるよ?」


 「その夢は叶わない夢なんだから、唯の妄想だろうが」


 『ファングボーアもある程度狩れたし、そろそろ戻ろうか。セリオ、2人を背に乗せられる程度に大きくなって』


 『分かった』



 セリオが大きくなり、恐る恐るといった感じで北条兄妹がセリオの背中に乗る。それを確認したら、必死にしがみつく様に言って走り出す。その速さと来たら、2人が想像するよりも遥かに速かった。



 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!」


 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!」


 『この程度の速度で大きな声を出すな。黙って口を閉じていろ。敵の攻撃を吸い込んだり、口の中に汚れが入ったりするぞ』


 「「むぅぅぅぅぅぅぅ!!!」」



 2人は口を閉じながらも大声を出そうとしている。ミクからすれば何がしたいのかよく分からないが、大きな声を出す事で安心するのだろうか? まあ、気にする事もなく【身体強化】を含めて走り、30分も掛からず脱出した。



 「はぁ、はぁ、はぁ……。まさかあんなに速いなんて思ってなかった。生身であの速度はメッチャ怖いな。あれで壁に激突してたら、絶対に死んでるぞ」


 「………遊園地のコースターを越えてる。特に安全装置とか付いてないし、超絶に怖かった。まさか、ダンジョン内で絶叫系の怖さを感じるなんて……」



 なんだか2人とも疲れているが、ミクは気にした様子もなく2人に声を掛ける。



 『手に入れたファングボーアは何処に売りに行けばいいの? そこまで私が持って行った方が早いし、教えてくれれば行ってくるけど?』


 『それはマズい。もしアイテムバッグが見られたら狙われかねない。俺だけじゃなく妹や母さんまで狙われかねないから、それは駄目だ。せめて軍の後ろ盾があればいいけど、探索者の中には他人の装備を力尽くで奪う奴等とかが居る』


 『別に力尽くで来られても叩き潰せるけどね。とはいえ迷惑が掛かるみたいだから止めておくよ。なら獲物を獲ってきても意味が無い?』


 「それは勿体ないんじゃない? せっかく獲ってきたんだし、売った方が良いよ。お母さんに車を出してもらえば? 車の中にいっぱい乗せていけばいいじゃない」


 「そうは言うがな。買い取り所は確かに車で横付け出来るし手伝って貰えるけど、ミクは結構アイテムバッグの中に入れてたぞ? アレを全部持って行くのか?」


 「そこはお兄ちゃんが頑張るところでしょ。車に乗せるまでは簡単にしてもらえるじゃない。アイテムバッグから出すだけなんだし」


 「まあ、そうか」


 『すまん、ミク。とりあえず家に入ろう。母さんに車を出してもらわなきゃいけない。ああ、車っていうのは人や荷物を運ぶ道具だと思ってくれ』


 『分かった。その車に私が積めば良いんだね。それと家に入るなら綺麗にした方がいいよ。といっても、いつも通り私がすればいいか』



 ミクは【清潔】と【聖潔】を使って全員を綺麗にし、その後に北条家へ入る。ブーツを脱いでアイテムバッグに収納し、家の中に入ってゆっくりする。それにしても暑いのか、コウジもセンも暑そうに手で扇いでいる。



 『この星の今の季節は暑い季節?』


 『ああ、今の季節は夏真っ盛りで、一年で一番暑い時季だ。エアコン付ければ良いんだけど、リビングには扇風機しか無いんだよ。センと母さんの寝室にはあるんだけど……』


 『エアコン?』


 『ああ。エアコンっていうのは涼しくなる道具で、ここには風を起こす扇風機っていう道具しかないんだ。だからあんまり涼しくならなくてな。ダンジョンの中で寝ようかと思った事すらあるよ』



 それを聞いて、アイテムバッグから冷房の魔道具を取り出したミクは、リビングの床に設置して魔石を入れて起動する。コウジもセンも首をかしげているので、ミクが説明をする。



 『これは冷房の魔道具。さっき魔石を入れた所に魔石が入っていると、魔力を吸い上げて自動で起動する。停止したかったら魔石を抜けばいいだけ。室内を快適な温度に冷やしてくれる』


 「えっ? 魔石を使った冷房があるの!? それって凄い!!」


 「マジかー。ミクの話を聞いてたら、俺達の星より技術水準が劣ってるとか思ってたけど、舐めちゃ駄目だな。ダンジョンがあって当たり前の星は、俺達の星とは別だと考えた方がいい」


 「冷房の魔道具って事は他に色々とあるんだろうけど、凄い魔道具とかあったりして。例えば銃の魔道具とか」


 「流石にそれは無いだろうし、あっても聞かない方がいい。俺達が持ったって碌な事にならないしな。それよりも、なんだかあの玉から冷たいのが出てないか? 段々冷えてきてるような?」


 「あっ、ホントだ。冷たいのが出てきて冷えてる。このまま放っておけばリビングが涼しくなりそうだね。ゴブリンの魔石でいいなら私も狩ってこようかなー」


 「命の危険があるっつーの。確かに庭のダンジョンならコソッと潜ってもバレないけど、せめて防具ぐらいは着けなきゃ駄目だろ。それに冷房の魔道具だって1つしかないだろうしさ」


 「そっかー。確かに取っちゃ駄目だね」



 実はミクの本体空間には冷房の魔道具が幾つかある。これは複製しての改良を考えていた物で、ワイバーン製の物が数点ある為、それを出してくれば済む。


 なのでミクはトイレに行くフリをして、トイレの中で魔道具を出し、それをアイテムバッグに詰め込んでいく。終わったら出てきてリビングに戻ると、冷えてきたのかダラけた兄妹が居た。



 「あー、涼しー。この魔道具最高。魔石で動くのなら電気代を気にしなくてもいいし、別にゴブリンの魔石じゃなくてもいい筈だしね。売るんじゃないんだから。お兄ちゃん、冷房の魔道具って他にないか聞いて」


 「お前なぁ……」


 『すまん。センが冷房の魔道具を気に入っちまってさ、余ってるなら貸してほしいんだけど駄目かな?』


 『冷房の魔道具は色々な改良を試みた事があるから、ワイバーン製の物なら幾つかあるけど?』


 『ワイバーン製の物ならって……。ならこれは何製なんだ?』


 『それは完成形の物でドラゴン製。魔力効率と魔力消費量と耐久力が最も良い物だよ。とはいえワイバーン製でも十分だけどね。一晩でゴブリンの魔石1個半ぐらいかな? 消費量は』


 「ゴブリンの魔石は1個400円。という事は一晩だけで600円も掛かるの? 明らかに電気代より高いじゃん。でも、自分で取ってくるならタダなんだよねー」


 「だな。自分で取りに行ったらタダな以上、俺達には魔石を使う方がありがたい」


 『その冷房の魔道具、できれば貸してほしいんだけど……。いくつある?』


 『これは適当に作ったのだから、4つあるね。とりあえず出すよ』



 同じ形の魔道具がポンポン出てくる様に、呆れてくる北条兄妹。改良という言葉の意味が分かっていないらしい。


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