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0435・そこはダンジョンの中?




 「………さて、少し時間が掛かったけど、ここが第二の星か。その何処かは分からないけど、とりあえず基本方針を決めないとね。それはともかく寝てる2匹をこっちへ転送するか。いきなりだと怪しまれるし」



 ミクはレティーとセリオ、並びに新しいアイテムバッグとポーチを転送し、身に着けていく。レティーもセリオも起きているので、これからの事を説明するようだ。



 「まずは言語が違うので、この星だと疑問に思われる。今までの星に比べて技術力や情報などが溢れている星だ。言葉が通じる事に何の疑問も抱かなかった、前の星とは勝手が違うの。そこは覚えておいて」


 『じゃあ、どうするの? 言葉が通じないってなると、お話できないよね?』


 「そう。でもレティーとセリオが使っている【念送】はその限りじゃない。それは意思を伝えるものだから、相手の頭の中で理解できる言語に勝手に変換される。つまり、文字を覚えなければいけないのは私だけ」


 『僕達が覚えなくていいなら楽で助かるけど、ミクは大丈夫なの?』


 「私は神どもが言語をブチ込んでいるから既に知ってる。でも、いきなりこの星に飛ばされた事にするから、言語を知っているのはおかしいでしょ? だから多少の時間は掛かっても、覚えているフリをする」


 『主が大変でしょうが、誤魔化す為にはそれが一番でしょうね。それに主も【念送】を使えば意思は交わせます。後は言葉を覚えていっているフリで終わりますね。それはともかくココはどこでしょう?』



 そこは洞窟の中のような場所であったが、周りから淡い光が漏れており、ボンヤリとは分かる場所であった。もちろんミクには全て見えているが、それは横に置いておく。



 「あの四角形の浮いている石を見る限り、ここはダンジョンの中みたいだね。この星ではダンジョンの最奥にはダンジョンコアと呼ばれるものがあるらしい。それがアレだよ」


 『ダンジョンコア……ですか』


 『なんだか綺麗な石がグルグル回りながら浮いてるねー』


 「あれを破壊すればダンジョンは無くなるみたいだね。この星ではダンジョンはボコボコできてるらしく、それを破壊するという事を繰り返しているみたい。まあ、何故そんなダンジョンなのかは、この星の神に聞かないと分からないだろうけど……どうでもいいね」


 『そうですね。……で、アレはどうしましょう?』


 『こわすー?』


 「……いや、止めとこう。壊すのはいつでも出来るし、今する必要は無い。それよりもダンジョンの中のようだから脱出しようか」



 そう言ってミク達は通称<コアルーム>と呼ばれる場所から出る。この星はどうやらダンジョンが根本的に違うらしく、迂闊うかつにコアを破壊してもいいものか判断がつかないミクであった。



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 Side:????



 「ふぅ……」



 スコップでビッグアントの首を飛ばした俺は一息吐く。今日は土曜であり休みの日だが、朝から元気にダンジョン通いだ。まあ、その事に苦痛を感じる事はあんまり無い。もちろん儲かるからだけど。


 それに配信は続けているし、多少の収入になっている。俺がやっているダンジョン配信は華やかなダンジョン攻略動画じゃなくて、地味だけど誰でもお金が稼げるというコンセプトだ。


 俺みたいに片親を亡くした人もそれなりに居るし、ウチみたいに庭にダンジョンが出来たって人も居る。庭って言っても小さい庭だけど、それでもダンジョンが出来たってなると大きな問題だ。


 確率は少ないし一時期と比べても新規ダンジョンは減ったけど、それでも確率はゼロじゃない。でも庭にダンジョンが出来たら、徒歩ゼロ分でお金稼ぎが出来る。マイナスじゃなくプラスで考えてほしい。


 そんな気持ちで動画配信をしてるけど、多少の人が見てくれているぐらいだ。学校でも話題になるなんて事は無い。ま、高校生が地味な動画を見る訳ないわな。それはともかくとして、今日はもうちょっと先まで行って帰ろう。そろそろ昼だし。


 ビッグアントの体を包丁で切り、中の魔石を穿ほじくりながら考える。1年前はこれも嫌だったんだけどなぁ、いつしか人って慣れるもんだ。ウチには美味しい肉の魔物も居そうにないし、蟻から魔石を手に入れるくらいか。


 これもあんまり変わらないんだけど、買い取りが20円高いんだよな。お金は大事だからビッグアントを狩るんだけどさ。……うん? 何かやってくる!?。


 足音みたいなものが聞こえるので、魔石をリュックに入れ、慌てて戦闘態勢をとる俺。一応は探索者用の防具を着けてるし、この階層の魔物なら問題なく倒せる筈だ。



 (しかし、この階層に足音のするような魔物が居たか? 虫の歩く音なら聞くが、この階層にはビッグアントとソルジャーアントしか居ない筈だよな……?)



 俺がヘルメットに付けているヘッドライトで照らした先から現れたのは、超がつく程の美女であり、俺の思考は完全に停止。


 この出会いがとんでもない事の始まりだとは、この時の俺には想像する事すら出来なかった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 『これで15階ぐらい登ってきたかな?』


 『いや17階だよ。1階層は小さいけど、如何せん入り組んでるね。洞窟タイプのダンジョンだったり、草原タイプだったり。一番下の方は山だったし、随分と珍しいタイプのダンジョンだよ』


 『そうですね。1つのダンジョン内でコロコロ変わり過ぎだと思います。とはいえ、もう7階も洞窟タイプですから、4階層毎に変わるという訳でも無さそうです』


 『だねー。一番下がコアルーム、19~16階が山、15~11階が草原、その後は洞窟ばっかりだし。変なトコ』


 『それより、この階層に人間種が居る。1人しか居ないけど初めての人間種だから、上手くコンタクトをとらないといけない。私が言うまで2匹は黙っててね』


 『『了解』』



 ミクはセリオを抱えたまま歩いて行く。この星にもスキル持ちは居り、向こうに既に感知されているかもしれないのだ。だからこそ敵意を持たれないように近付いていく。


 今も本体が地図を描いているが、このダンジョンは複雑なほどには入り組んでいる訳でも無く、紛らわしい支道なども無かった。なのでどちらかというと、魔物との連戦を考えなければいけないダンジョンだ。


 そんな事を考えつつも、初めての知的生命体へのコンタクトとなる。最初から敵対すると危険なので、ある程度は許容するしかないだろう。そんな事を考えていると、前方から光で照らされているのが見えた。


 言葉が分からないフリをする気だが、上手くいくかはミクの演技力次第だろう。そして男の姿が見えてくる。


 まだ若い男らしく、こちらを見たまま口を開けている。それはいいのだが、何も言わないので、こちらからも何も言えない。既に立ち止まっているミクは、向こうから話しかけてくれない事に困惑し、仕方なく前の星の言葉で喋る事にした。



 「〝お前は何者? このダンジョンに居るのは何故?〟」


 「へっ? ………ヤベェ、この女の人の言ってる事がサッパリ分からん。言葉が通じない? マジで?」


 「〝何を言っている? こちらの言葉が通じないのか?〟」


 「え、えーと……アイムジャパ、ってちょっと待て、英語でもないぞ! 何語だアレ!?」



 どうやら目の前の若い男は混乱しているらしい。まあ、別の惑星の言葉を話されたら通じなくて混乱するだろう。ミクは分かっているが知らないフリをしているし、怪物が表情に出す事は無い。


 そしてミクはタイミングを計り【念送】を使う事にした。


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