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0430・第8エリア攻略終了




 「そういえば武器に関してはどうなの? その巨大トカゲの骨とか牙は?」


 「残念ながら大した事はないね。一応魔石だけは置いてるけど、骨とか牙は巨人のより脆い。だから武器の新調はできないよ。逆に言えば、あの巨人はそれほど強いって事なんだけどね」


 「まあ、それはそうでしょうよ。あの巨人は不自然なくらいに強かったもの。普通なら確実にあそこで殺されてる、そう思えるくらい異常な強さをしていたしね。よく勝てたわよ、わたし達は」


 「ミク殿が戦ってくだされば、もっと簡単に終わったのでしょうけど、それは言っても仕方のない事ですしね。そういえば第8エリアを攻略されたのでしたら、第9エリアには行かれたので?」


 「第9エリアは崖の上を進むエリアだったよ。幅はおよそ10メートルで、転落すると死亡確実な場所。挙句、小型ワイバーンみたいなのが【風魔法】を連発してくるような場所」


 「「「「「………」」」」」


 「黙るのは分かる。ちょっと殺意が高すぎる気がしないでもない。しかも崖は曲がりくねってる感じだったしね。体力があるなら走り抜けた方が安全かな?」


 「ああ、そういう攻略法がある訳ね。それなら納得できなくもないかな? そんな高い崖の上で、足を止めて戦ってたら落とされるでしょ。流石に勘弁してほしいわ。言葉は悪いけど、ミクが先に行って攻略してきてよ」


 「それはどうなのかという気持ちと、言いたい事はよく分かるという気持ちの両方があります。正直に言って転落死なんて嫌過ぎますし、そんな所は……」


 「普通に考えたら、誰も行きたくないわねえ。そんな危険な場所。ミクなら幾らでも復帰できるでしょうけど、私達は落ちたらそこで終わりだもの。流石にシャレにならないわ。私とカルティクなら復活するんだけど」


 「それでも嫌よ、転落死なんて。流石に私も遠慮するわ」


 「1人で行く事に特に問題は無いよ。サッと行ってパッと攻略してくれば済むしね。最後のエリアがどうなってるのかは知らないけどさ」


 「流石に誰も行った事は無いんだから、知ってるヤツは誰も居ないでしょうよ」



 それもそうかと思いつつ、食事を終えたミク達は準備を整えて出発。第8エリアの魔法陣に乗り転移すると、暑い空気に歓迎される。



 「うぷっ。……何か圧迫されるような空気だね。物凄く暑い。呼吸をするのも大変だよ」


 「これは厳しいわね。文句を言っている暇があるなら、さっさと進んだ方が良いわ」


 「そうね。一気に走って行きましょう」



 そう言って【身体強化】を使い、一気に走って行く一行。5階に下りる階段の途中で休憩し、その後は洞窟内を一気に駆け抜けていく。魔物は適当にミクが処理していき、全員が駆け抜ける形で突破した。



 「あー、暑かった!! あの洞窟内、暑すぎでしょうよ! いったいどうなってるのよ!」


 「言いたい事は分かるけど、言っても始まらないのよねー。まあ【氷結嵐】を使えば涼しくなるから、ゆっくり進む場合は魔法を使えばいいだけなんだけど、今回は走り抜ける形だったから……」


 「涼しくする暇も無く通り抜けたものねえ。途中の階段部分だけよね、涼しいのは。本来はあそこで休憩しつつ、1階ずつ頑張って進んで行くんでしょうけど、流石に勘弁してほしいわ」


 「全くだ。そんな事をさせられたら、暑さで死んじまうよ。走ってる間も熱風が吹きつけるだけなのにさ、そんなトコで歩くなんて悪夢以外の何物でもないね」



 やはり暑さはこたえたようだが、既にボス部屋前なので暑さは終わっている。だからこそ文句が湧いてくるのかもしれないが、休憩を十分とったらボス戦へと進む。



 「朝にも話したけど、ここのボスは戦闘が始まってすぐに【凍結嵐】を使う。とにかく部屋の中の気温を下げるとこちらに有利になるから、思いっきり下げよう」


 「流石に【凍結嵐】はやりすぎじゃない? 狭い部屋なんだから【氷結嵐】ぐらいにしておかないと、わたし達まで凍っちゃうわよ? ミクは平気でしょうけど」


 「そうね。【氷結嵐】を叩き込みましょうか。流石に自分の魔法で凍死するとか勘弁してほしいわ」



 とりあえず作戦は決まったのでボス部屋へと入る7人と1頭。中に入って魔法陣が輝き、巨大トカゲが出てきた直後に不意打ちで【氷結嵐】を放つ。7人が一斉に使った所為か一気に部屋の気温が下がり、マイナスにまで突入した。



 「寒い! 寒い! 寒い! 寒いー!!!」


 「確かに凄く寒いですが、既にボスは動けないみたいです……は、早く倒しましょう……」


 「皆で一気に倒せばいいよ。動けば体も温まるしね」



 そのミクの一言に、武器を持って一斉に巨大トカゲを攻撃し始める6人。相当に寒かったのだろうが、レティーとセリオは普通というか問題は無いようだ。おそらくはミクの血肉の影響だろう。ドンナも平気そうである。


 もはやボスを倒す為というより体を温める為に攻撃し、寒さで動けないボスをボコッてボス戦は終了した。脱出の魔法陣のある部屋への扉が開くと、我先にと駆け込む。それほどに寒かったらしい。


 脇目もふらずに魔法陣に乗り、さっさと外へと出た6人。ミク達は残り、ボスの死体を切り分けて収納する。首を切り落とし、尻尾を切り落とし、両手足を切り落としたら個別にアイテムバッグへ。


 レティーに血抜きをしてもらっているので時間が掛かったものの、終わったので脱出。すると、皆は魔法陣の近くで待っていた。



 「ミク。なんで出てくるのが遅かったのよ?」


 「巨大トカゲを解体して収納してたからだよ。持って帰らないと駄目でしょ」


 「「「「「「あっ」」」」」」



 言われてようやく気付いたみたいだが、ミクは呆れつつも皆を連れて探索者ギルドへと行く。解体所の親方に巨大トカゲを出すと、フレアリザードという名前だと教えられた。



 「おそらくは、というところだがな。それにしてもデカイわ。ワシが聞いた事のあるフレアリザードでも全長6メートルほどだぞ。コイツは全長10メートルを超えとるのだから、シャレにならんわな。よく倒せたもんだ、普通は軍が死闘を繰り広げるそうだぞ?」


 「軍が戦う相手、しかもこれだけ大きいのを7人で倒したんですか……。幾らなんでもメチャクチャっすね」


 「そんな事は無いわよ。ミクが、コイツは寒さに弱いって教えてくれたからね。だから寒くする魔法を放てば勝てるのよ。皆で一斉に使った所為で、震えるほど寒くなったけどね」


 「こういうトカゲみたいな爬虫類は、基本的に寒さに弱いからね。寒くしてやれば途端に動きが鈍るんだよ。他には蛇なんかも該当する」


 「成る程なぁ……そういう弱点があるのか。世の中には色々と考えなきゃいかんのが多いんじゃのう」



 木札を貰って受付に行き、報酬を貰ったら皆に渡す。ミクは特に何もしていなかったので貰う必要は無い。お金自体がそもそも余っているので、貰っても仕方ないのだ。


 ギルドマスターの部屋に行き、第8エリアの地図を渡したらギルドを出て宿に戻る一行。まだ夕方には早いが、昼は過ぎている。そんな微妙な時間の中、宿に戻った7人はさっさと部屋に戻って冷房を使う。


 夏の真っ盛りに暑い所に居たくはないのだろう。唯でさえダンジョンの中で暑かったのだから。



 ◆◆◆



 夕方になったのでミク達は冷房の魔道具を停止し、食堂へと移動する。注文をして大銅貨12枚を支払い、席に座って適当に雑談をしながら待つ。


 ミク達が食堂に来たのが分かったのか、3人も食堂に来て注文と支払いを終え、食事が来るまで雑談をする。


 食事が終わったらさっさと部屋へと戻り、綺麗にしたら2人をベッドに寝かせたミク。後は夜になるまで待つだけだ。


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