表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
434/1113

0429・防具製作




 巨大トカゲにウィリウム鋼が要ると言っても、ミクの場合は自分の出せるパワーの上限を上げる為である。切れ味であればドリュー鉄でも構わないのだが、出せるパワーの限界となればウィリウム鋼ぐらいは要るのだ。


 逆に普通の探索者は、エクスダート鋼の切れ味があれば切れるだろう。パワーではなく切れ味で戦うという形になる。パワーで強引にどうにかできる怪物と、普通の探索者では武器に求める部分が違うのだ。


 そんな事を考えつつ第8エリアのボス戦を始め、即座に【凍結嵐】を使う。一気に部屋の中の気温を下げると、途端に動きが鈍る巨大トカゲ。妙に熱を持っていても、やはり爬虫類である事に変わりは無いらしい。


 もう一度【凍結嵐】を使うと殆ど動かなくなったが、どうやら元々の体温が高い分、そこまで低い温度でなくとも動けなくなるようだ。巨大トカゲ自体が熱を発するからか、ボス部屋の気温も戦闘開始時に比べて上がっていっていた。


 もちろん1戦目の事であり、この2戦目は最初から低下させているので上がってはいない。つまりこのボスは先手必勝で部屋の温度を低下させれば勝てるボスだという事であり、そこまで強くはないボスだと言える。


 それが分かっただけで十分なので、さっさと首を刎ねて倒したら本体空間に回収する。そのまま脱出の魔法陣で出たら、第9エリアへ行く。実はあの小型ワイバーンを食べるのを忘れていたと思い出したのだ。


 第9エリアに行った際に誰かが落ちたとなれば、救助しなくてはいけない。その際に飛んで救助できるかといえば、今のところその姿が無いのだ。ワイバーンはあるが、あれは救助で使いにくい。なので小型のワイバーンを今の内に食べておこうと考えた。


 再び第9エリアに来たミクは姿を晒し、小型のワイバーンを近くに寄せる。すると、見た事もない【風魔法】で攻撃してきたので、ミクはワイバーンの姿になって一気に食い荒らしていく。その姿を見た小型ワイバーンは逃げるが、ミクはそれを許さない。


 追いついては貪り、糞尿を捨てながら飛ぶ。そうやって小型ワイバーンの群れを全滅させたのだが、ワイバーンに比べれば足が長い姿をしている。それとこいつらも魔力を使って飛んでいるのが分かった。


 正しくは【風魔法】で飛び、そのまま滑空していると言うべきか。ただし魔力の消費もそれなりにあると思われるので、効率はそこまで良い訳ではないみたいだ。もしかしたら魔力が切れれば、地面に下りて休むのかもしれない。


 まあ、小型ワイバーンの生態はどうでもいい。誰か落ちた際に救助できる形態が手に入ればそれでいいのだ。そしてそれを手に入れたので、さっさと第8エリアへと戻る。


 何度も巨大トカゲのボス戦を周回しつつ、必要な防具を作成していく。久しぶりに盾を新調し、巨大トカゲの皮に変わった。試しに1階でウサギの攻撃を受けたが、全く削れる事は無く余裕で防ぎ切る。


 皆の体格は知っているので、それに合わせて鎧などを作り、その片手間で巨大トカゲの干し肉も作成する。淡白な味ながら旨味が滲み出てくるという、意味のよく分からない干し肉が出来たが、出汁の為には良い物だと思ったようだ。


 防具を作りながら戦う事18戦、今日はこれで限界だった。何といっても後半が洞窟である為、移動にどうしても時間が掛かるのだ。それでも巨大トカゲである為、1匹から取れる皮の量は多い。



 (この数で全員分の防具は作れるから、後は並行作業で一気に作るだけだ。本体が忙しそうにしてるから、私は宿に戻ってジッとしてようっと)



 あまり分体にリソースを割けないぐらいに本体は忙しいので、分体は透明オークのまま歩いて戻るのであった。宿の建物まで戻ってきたらムカデになって窓から部屋の中へ、そしていつもの女性体に戻り服を着る。


 それが終わったらベッドに寝転がり、後は本体の物作りの為に活動をほぼ停止するのだった。ちなみに本体空間では数十の触手が乱舞しているので、どれほど大変かが分かるであろう。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 朝。2人が起きてくるギリギリまで物作りに精を出していたが、まだ全てが終わってはいなかった。最初にマズいと思い、自分の分を後回しにしたのが功を奏したのだろう。イリュの分の幾つかと自分の分が足りていないだけで、他は完成していた。



 「ん~~~……ふぅ。おはよう。今日の目覚めも、いつもと変わらないかな? 狐の毛皮を敷くようになってから、えらく寝起きが良いのよねえ。寝つきが良いからかな?」


 「おはようございます。おそらくそうではありませんか? 寝つきが良いから長く眠れて、長く眠れたから寝起きが良いのでしょう。おそらくですが」


 「おはよう2人とも。という事で、コレに交換してね」


 「何が、という事、なのか分からないんだけど? って、鎧?」


 「そう。第8エリアのボスを先行して倒してきたんだけど、巨大トカゲだった。そしてこいつの皮がワイバーンより優秀だったんだよね。だから防具を先に作っておいたから、コレと交換ね」


 「ああ、そういう事ですか。分かりました。良い物のようですし、こちらこそお願いします」


 「巨大トカゲねぇ……。倒すの大変そう」



 巨大トカゲとはどういうボスだろうか? そんな話をしながらも2人は防具を交換していき、新しいブーツや剣帯を着けていく。鎧は食事をするのに邪魔だから今は着けないが、触って感触を確かめているようだ。


 一通り確かめたら皆の防具を回収し、本体空間に送っておく。全て終わったら準備を整え、セリオはアレッサが抱いて食堂へ。いつも通りの注文を行い、大銅貨12枚を支払って席に座る。


 少し待っていると3人が来たので、まずは席についたイリュに防具を渡して交換させる。ギリギリ間に合ったので出来立ての防具を渡し、古いワイバーン製は本体空間へ。そうやって装備を変えさせていると、シャルとカルティクもやってきた。



 「イリュは何やってんだい? なんかゴソゴソしてるみたいだけど………」


 「昨夜、第8エリアのボスを倒してきたんだけど、それが巨大トカゲでね。ワイバーンよりも皮が強靭だったんだよ。だからワイバーン製の防具と交換してもらわなきゃいけなくてね。2人のも交換するから。はい、これ」


 「ああ、うん。成る程ね。まあ、今までよりも良い物をくれるって言うなら、拒む理由は無いねえ」


 「ワイバーンよりも上かぁ……どうやって倒せばいいのかしら?」


 「昨夜18回も倒したから、倒し方は分かってるよ。ブレスを吐いてくるけど、マジックキラーの投げナイフを刺せばブレスは吐けなくなる。それと出てきすぐ【凍結嵐】を使えば動きは極端に鈍るから、後は滅多打ちにすれば倒せるよ」


 「初見なら全滅もあるんでしょうけど、既にミクによって丸裸にされてるのねえ……。巨大トカゲよ、安らかに」


 「まあ、18回も殺されてるから、安らかにって言うのも分かるけどね。それはともかく、盾も更新かー」


 「昨夜調べたけど、ワイバーンの皮を削ってくるウサギでさえ削られなかったから、確実にワイバーンよりも上だよ。一切削られなかったからね」


 「それなら上なのは間違い無いわね。ここに来て更に上の防具に更新というのはありがたいわ。ワイバーンの時点で優秀だったのにそれ以上でしょ? どこまでなのか判断し辛いけども」


 「想像は難しいわよね。どこまでこの防具で守れるのかを考えたら」



 良すぎて想像し辛く、どこまで大丈夫かの判断が曖昧になってしまう。不意の一撃で貫通されかねないというのは分からなくもないが、だからといって早々貫通などされない皮でもある。


 そして分からないのはミクも変わらない。何故ならそこまでの実験などいちいちしないからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ