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0427・第5エリアの引率終了




 十分に休憩がとれたので、ミク達はボス部屋へと入って行く。いちいちボスを暴走させる必要もない為、ミクが盾に麻痺毒を塗って前へと出る。ちなみに麻痺毒は瓶に入れてきているので、肉で塗ったりはしていない。


 後は気配に対して盾を構えて近付いていくだけだ。「ドン!」という音と共に、麻痺した透明トカゲが木から落ちる。それを探索者と近衛に確認させ、それからシャルが首を刈った。



 「という訳で、ここのボスはこの透明トカゲになる。ハッキリ言って思っているより厄介だから注意した方がいい。コイツはここに妙な器官を持っていて、ここの中にある液体が外に漏れると他の透明トカゲが暴走する」


 「簡単に言うと、ここの液体の臭いが危険を仲間に知らせる臭いな訳だ。それを出させちまうと一斉にボスに襲われるっつー訳でな、かつての探索者が攻略できなかった理由がコレだろうと思われる」


 「1匹なんとか倒しても、その所為で他の9匹に一斉攻撃を受ける。しかも舌で攻撃してくるけど、その威力は結構シャレにならない。周囲を囲まれて一斉に攻撃されたら、生き残るのは難しいでしょうね。だから余計な事はしないように」



 流石にここまで説明されれば分かるのか、自分達で戦おうとする者は居なかった。それを考えている者は居なかった訳ではないが、説明されればヤバいのが分かる。流石に探索者として余計な事などしたりはしない。


 近衛に関しては「駄目だ」と言われればやらないのは当たり前である。彼らはつまるところ軍人であり、上の命令は聞いて当たり前なのだ。そのうえ勝手をするとマズいと教えられた以上、いちいち下らない事などしない。特に王女が2人も居るのだから当然だ。


 ミクが他の透明トカゲの方へと歩いて行き、盾で防いでシャルがとどめを刺す。それを繰り返して残り2匹。



 「【気配察知】か【魔力感知】を持っているなら分かるだろうけど、そこに透明トカゲが2匹並んでいる。流石に2匹同時は危険だし、片方が動いた段階でもう片方も動く。なので魔法で一気に終わらせる」



 ミクはそう言って他の全員を離れさせ、【凍結嵐】を使用する。一気に凍りついた木々と地面と透明トカゲ。その後はウォーハンマーで粉砕し、脱出の魔法陣に繋がる扉が開いた。


 一斉に歩いて行き、やっと終わった事を喜びながら脱出していく探索者達。近衛騎士は後に残っているが、それはティアもベルも残っているからだ。


 その後は近衛の半数が先に脱出し、ベルが護衛と出た後、残りの半数も脱出する。



 「こんな所でも護衛態勢を続けるとは御苦労なこった。まるでワシらの事が信用ならんと言っとるみたいだが、アレはやらなきゃいかん事だろうしな。ま、もう関わらんでいいので、ワシからしたら気楽なもんだが……」


 「私達の場合はベルが絡んでくる可能性があるのよねえ。最近は王太子も絡んできてるみたいだけど」


 「それでも無茶は言ってこないだろ。こっちの中心はミクだし、ミクには権力も権威も通じない。怪物に命じる事が出来るのは神々だけさ」


 「ま、そこは分かってない訳じゃないから安心ね。流石にティアの事で向こうも分かってるだろうし、そこまで愚かじゃないでしょ」


 「とはいえ、どこまでなら大丈夫なのか見極めようとしている節はあるけどね。鬱陶うっとうしいなら断るから、私も何でも請ける訳じゃないんだけど」



 会話をしつつも残っている者も脱出していく。ミクが最後に脱出し、これで本当に全て終了。後はギルドに戻って報酬を受け取るだけである。


 皆と一緒にギルドへと行き、受付に報告したら小銀貨2枚を貰う。これで探索者と近衛を連れて行く仕事も終わったので、やれやれと思いつつ宿へと戻る。既に夕方だし、今日のお昼は干し肉などで済ませた為、2人と1頭はお腹が空いている。


 レティーは途中の魔物で血を飲んでいるので問題なく、それはドンナも同じである。途中でミクが飲ませたりしていたので、2匹は十二分に栄養補給が出来ていた。


 <妖精の洞>に戻った一行は食堂に移動して注文し、ミクは大銅貨12枚を支払って席に座る。既にカルティクは戻ってきていた為、イリュの分の注文は既にされていたらしい。



 「それはそうと、今日はカルティクの方が早かったのね?」


 「それはね。どうも昨日と同じで反撃は普通にされているみたいなのよ。もちろん簡単にやられるって事も無いでしょうけど、今までのような罠は少なくなってて、昨日も言ったけど、無理矢理っていう荒い手口が増えてるのよ」


 「罠は受けたら結構なダメージだし、その間に色々とされる恐れもあるものねえ。それに比べて襲ってくるだけなら明確な敵なんだから、対処はするでしょう。罠みたいに引っ掛かる可能性は低いんだし、明確な敵の方が分かりやすいものねえ」


 「だからこそ対処できてて、昨日と同じく私の出る幕が無いのよねえ。私も普通に探索しようかしら?」


 「良いんじゃないかい? また被害者が増え始めたら戻ればいいだけだし、無理に続ける必要もないだろう。もしかしたら助けてる奴等がいるから、いつまで経っても危機意識が芽生えない可能性もあるよ」



 料理が運ばれてきたので早速食べ始めるものの、そういえばという感じでカルティクが話し始めた。



 「昨日ミクから貰った投げナイフ。今日投げて使ってみたんだけど、盗賊にあっさり刺さって魔法が使えなくなってたわ。だから魔力を乱すには刺されば大丈夫みたい。痛みと魔法が使えない事で混乱している間に、ケペシュで首を切り落としてやったわ」


 「あの鎌剣、ちゃんと使ってるんだね? 結構使いにくそうだけど、なかなか器用に使うもんだ」


 「あの剣は確かにトリッキーな部分はあるんだけど、思っているよりは扱いやすいわよ? 鎌部分だってしっかり剣として使えるし、多少慣れたら問題なく使える程度だし、そこまでおかしな物じゃないわ」


 「まあ、ミクがわざわざ作ったくらいだから変な形ではあっても、変な剣じゃないだろうさ。農民が鎌で戦うのは普通の事だし、それと剣を組み合わせたっていうなら分からなくもないか……な?」


 「普通は鎌を持ってきたりはしないけど、でも相手の盾を剥がす事にも使えるって言われるとねえ……。案外使えるかもって思うわ」


 「それだけじゃなく、盾を越えて相手の手を切れるのよ。そうすれば盾を持てなくなるし、思っているよりも使える剣なの。意外と言っては何だけど、優秀で使い勝手がいいのよね」


 「ふーん。何か面白いみたいだけど、魔物を狩るなら使えないわね。流石に魔物用の武器を持たないと危険だし」


 「それはそうよ。あくまでも人間種相手だから使える剣なのであって、魔物を断ち切るには足りないし、切り裂けても浅くでしょうね。深くまで行く剣じゃないから」


 「明日からカルティクもダンジョンに行くとして、どこが良いのかねえ?」


 「既に第8エリアは9階まで地図が出来てるけど? 明日全員で行ってボスを倒す?」


 「あー、それが良いわね。暑い場所なんていちいち面倒臭いし、さっさと終わらせるに限るわ。明日は第8エリアの攻略。はい決定!」


 「強引に決めなくても、ちゃんと行くわよ」




 明日の予定が決まったので、さっさと食事を終わらせてしまうミク。皆も食事を終えたので各々の部屋に戻り、ミク達も3人部屋へと戻る。


 2人を綺麗にしてベッドに寝かせると、狐の毛皮を敷いてレティーとセリオを寝かせた。後は瞑想の練習をし、夜まで待つだけである。


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