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0415・近衛と探索者を連れて行く為の話し合い




 ベルからの依頼を聞き終えたミクは、別に今日でも構わないと言っておいた。どうも既にその話は動いているらしく、それ以前から休みの日にダンジョンに潜っている者は居たらしい。不思議に思ってラーディオンに聞くと、昔からある事だと答えが返ってきた。



 「探索者はダンジョンに入って金儲けできるからな、それはズルいって事だ。だからゴールダームの軍や近衛は無条件でダンジョンに入れる。どのみち実力が無ければ先に進めんのだしな。ついでに連れてってくれるとありがたいので明日にしてくれ」


 「ああ。第5エリアへと連れてって欲しいって奴ね。でも近衛は第6エリアでしょ? 場所が違うじゃない。それはどうするのよ?」


 「第6エリアまで連れてってくれて構わんぞ。第6エリアに行きたい者も中には居るかもしれんしな。人数が1人でも多ければ、その分だけ道中は安心感が増す。それは間違いないこったし、だから金を払ってでもというのは必ず居る」


 「特に進めば進むほど死にやすいですからね。本来は第5エリアで止まっていたのです。ミク殿が攻略してしまいましたので最前線ではなくなりましたが、かつてはゴールダームの最前線だった場所。誰も攻略できなかったエリアなのですから、覚えている方は慎重でしょう」


 「ああ。だからこそ、金を払ってでも先に進みたいヤツは居るんだ。ましてや調子に乗ってボスまで進み、帰って来なかった奴等も出てる。死ぬくらいなら今まで通り金を稼いでくれた方がマシなんだがな」


 「それでも前を進んでいる者が居ると、昔の夢でも思い出すんじゃないの? だいたいはゴールダームのダンジョンを攻略してやるって感じで来るんでしょうし」


 「まあな。そして己の実力を知り、稼げる所で落ち着くんだよ。だいたいのヤツはそうやって夢破れるんだが、かといってくすぶりたくてくすぶってる訳でもねえ。先にどんどん進んで行くヤツが居ると、我慢が出来なくなっちまうんだよ」


 「オレ達はこんなものじゃない、本当ならもっと先に進めた筈。って思い込むのよねえ、根拠も無しに。ミクが詳細な地図を渡してるのも原因?」


 「そこは微妙だな。地図と情報さえありゃ攻略できると思い込むのは、本当に一部のマヌケだけだ。そもそも地図と情報があっても、肝心の腕がなけりゃ死ぬしかねえ。そんな単純な事さえ忘れてるんだから、マヌケと言われても文句は言えねえよ」


 「ま、この話は置いといて、ラーディオンが言うように明日からね。ただし何処の階層に連れて行けば良いかは先に考えておいて。いきなりバラバラの奴等を連れて来られても困るからさ」


 「そうだな。第3エリアまで攻略できている者を明日は連れて来よう。複数の経験者が居れば、後は近衛だけでも突破できるだろう。人数を掛ければ可能だろうからな」


 「第5エリアの透明トカゲは簡単じゃないけどね。あいつら体を周囲と同じ色にしてるからか見ても分からないし、気配で居場所が分かっても攻撃のタイミングは分からない。いきなり攻撃されたら死ぬ恐れもある」


 「ミクの戦い方は単純で、盾の前面に麻痺毒をたっぷり塗るだけよ。透明トカゲは舌で攻撃してくるから、それを盾で受ければ勝手に痺れてくれるの。それで姿を現すから、後はすぐに首を切り落とすだけ。ま、見れば分かるわ」


 「第4エリアはツインヘッドフレイム5頭ですが、あれは速攻で一気に攻撃すれば、ブレスを吐かれる前に終わらせられるのでは?」


 「難しいところだね。盾を全面に押し出して、一気に突撃すれば安全かな? 常に盾の者がツインヘッドフレイムの前に陣取っていれば、不意のブレスは防げるよ。それにブレスを吐かれたら、すぐに突っ込めばいい。いわゆるシールドバッシュだね」


 「それでいいのか?」


 「狼や犬は鼻に攻撃を受けると止まるんだよ、アレらの鼻は敏感だから。つまり鼻っ柱への攻撃は有効なんだけど、それはブレスを止める時だけにした方がいい。そうじゃないと鼻への攻撃を警戒される」


 「それと盾以外の方は側面か後方からの攻撃ですね。それも足への攻撃です。足さえ潰せば動きは極端に悪くなり、振り向く事さえ上手くできないのですから、まずは足を潰すのが常道でしょう。それも含めて見れば分かりますよ」


 「うむ。まあ、全ては明日だな。明日は私も同行するので、妙な事を口走る者もおるまい。ところで、そちらは何をしにラーディオン殿の所へ来たのだ?」



 ベルの話は終わったようだが、ミク達が何故居るのか疑問に思ったのだろう。ストレートに聞いてきた。ミク達の方も別に隠す相手でもないのでサラッと口にする。



 「今日、朝からラーディオンの所に来たのは、昨日言ってた未知の金属を夜中に得てきたからだよ。精錬して大型ナイフとラウンドシールドにしてみてね。………はい、コレ」


 「昨日の今日でもう作ったのか。それはそれとして、コレはどんな感じなんだ?」


 「それよりも、この金属はいったい何なのだ? 私はこのような金属を知らないが……お前達は知っているか?」


 「いえ、私も見た事はありませぬ」


 「私もありませんな」


 「私も見た事はありません。暗い色の鉄でしょうか? それも不思議ですが、盾の素材である黒い物も分かりません」


 「それは第8エリアで手に入れた木材だよ。普通にトレント材より上でね、しかも第8エリアには普通に生えてるんだ。割とあるから伐り放題?」


 「トレント以上の木材ですか!? それは凄い……」



 ベルの護衛をしている騎士達も色々と触って確かめている。特に黒い木の硬さを調べており、手で叩いたりなどもしているようだ。そんな中、ミクから更なる説明がもたらされる。



 「第8エリアは火山地帯のような場所で、噴石といって石が飛んでくるんだよ。で、その石の中に含まれていた微量の金属がそれ。他の金属も含まれてたけど、少なくとも石が溶融する温度でも溶けなかったのが、その金属になる」


 「石が溶融する温度でも溶けないって結構凄いわよね。もちろん石にも色々あるんだけどさ。それでも他の金属が溶けるのに、その金属は溶けないんだものね。それだけでも精錬には大変でしょうよ」


 「確かにそれはそうだが……この金属は優秀なのだろうか?」


 「それ以前に、飛んでくる石にしか含まれてないのに、よくこれだけ集めたな? どれだけ頑張ったのかは知らんが、まともに集めるのは無理だろう」


 「昨夜の間に5階まで下りたよ。そしたら洞窟に変わってて、そこにこの金属の鉱床があった。ただしダンジョンだから、どれだけの期間で鉱床が復活するかは分からないけどね」


 「成る程、掘ったら出てくるトコがあったのか。どうりでナイフや盾の分が手に入ってる筈だ。話を切って申し訳無い。で、この金属は優秀だったのか? それとも駄目だったのか?」


 「硬度や粘り的にウィリウム鋼より僅かに下って感じ。この先、合金などにしたら変わるかもしれないけど、これその物はウィリウム鋼にギリギリ届かないってトコ」


 「つまりエクスダート鋼には及ばんという事か。まあ、ホッとしたような惜しいというような気分だな。第8エリアで得られる物だから凄い物かと期待したが、そこまで優しくはないらしい」


 「我が国としては苦心の上に生み出されたエクスダート鋼を、そう易々と超えられても困るので、むしろホッとしたというのが正しいところだ。掘ってきて精錬すれば使えるというのではな、研究者達の苦労が報われん」


 「まあ、そうでしょうね。数多くの金属や素材と混ぜ合わせ、作って調べてをひたすら繰り返すんだし。その結果やっと出来たものが、天然で掘ってきただけの物に負けたら凹むでしょうよ」



 アレッサの言いたい事も分かるが、研究者なのだから、案外と新しい素材に目を輝かせるかもしれない。そんな風にも思うミクであった。


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