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0038・オークvs盗賊団




 洞窟前の歩哨が慌ててオークの姿のミクに槍を突きつけてくるが、ミクは一気に接近すると、思いっきり相手の顔面をブン殴る。綺麗に入ったフックは歩哨の顔面を破壊し、一撃で骨を砕く。


 もう一人の歩哨も慌てて槍を突いてくるが、ミクはその槍の穂先を左手で掴むと引っ張った。当然、歩哨の体は前に流れ、ミクに首を噛み千切られて死亡。これで歩哨2人は終わった。


 ミクはその場に死体を放置し、両手に槍を持つと洞窟内に進入していく。すぐにミクに反応した盗賊は剣を持って切りかかってくるが、ミクの突きはそれより早く、あっと言う間に腹を貫かれた。


 ミクが右手の槍を引き戻している間に左から切りかかってきたが、それより早く左手の槍が首を刺し貫く。両方の槍を引き戻したミクは、目の前の盗賊に笑いかける。



 「グッグッグッグッグッ……」


 「くそ! こんな狭い所でオークと戦う羽目になるなんて! だいたい何でオークがこんな所に来るんだ。近くの森にオークが居た事なんて今まであったか!?」


 「んな事を言っている場合か!? このオークをどうにかしないと、逃げ道なんて無いんだぞ! さっさと戦ぐぇ!!」


 「くそぉ、またやられた!! このオーク異様に強いぞ! もしかしたら群れの中での上位者か、それともハグレの可能性がある。注意しどぉ!?」


 「注意しろって言ってる本人がやられてんじゃねえよ!! それにしても閉所でオークとの戦闘とか厳しすぎるだろうが!! 誰か盾で押し出せ!!」


 「んな事できたらとっくにやってる!! ここには盾なんて碌にねえのは知ってるだろうが! それよりも一斉にかかれ、回避させるな!!」


 「ここは洞窟の中で閉所なんだよ! お前も混乱してんのか!? 出来ない事を言うんじゃねえ!!」



 これが閉所でオークと戦う難しさである。ゴブリンやコボルトならマシなのだが、オークは筋肉が強いうえに脂肪が分厚く、簡単には致命傷が与えられない。そのうえ武器が無くても、人間種を超えるパワーがある。


 当たり前だが魔物というのは人間種よりも強いのだ。人間種がそれでも勝てるのは、十分な準備をして人数を掛けるか、それとも魔法かスキルを使うからである。


 しかし閉所では人数に制限を受けてしまい、魔法を使うのは味方の事を考えると危険だ。残るはスキルだが、そもそもスキルを持つ者は多くない。それなりには珍しい力なのだ。



 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽



 この星ではかつての古い時代、スキルを持つ者は選ばれた者であるという、スキル優性論のようなものまであった。それ程までにスキルを持つかどうかで違ってくる。


 もちろんスキルの内容によっても変わり、【剣術】や【槍術】というのもあれば、【算術】や【演奏】というスキルもある。このスキルは突然得られ、そこに貧富の差は無い。


 貴族の子弟は持たないのに、スラムの住民が持っている事もある。スキル優性論の時代はすぐに終わったが、それでも考え方が消えた訳ではない。


 スキルを持つ者の方が、持たない者に比べて圧倒的に有利な事は間違い無いのだ。大半の者が一生スキルを持たずに生きる事を考えれば、貴重なものだと思い込むのは分からなくもない。


 努力で覆るものではあるものの、だからといって簡単な事では無いのだ。それがスキルというものである。



 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽



 「ぐぁぁぁぁ!!!」


 「くそっ! それにしてもこのオーク強すぎねえか!? 幾らなんでもおかしいぞ! なんでオレ達の攻撃が当たらねえんだ!!」


 「グボォ!!」


 「武器は壊れたが、殴られただけでも厳しいぞ! しかもまた武器を拾いやがった! オレ達の武器が奪われ続ける所為で、ずっと不利じゃねえか!!」


 「口を動かす暇があるなら手を動かせ! 少しでも傷を与えろ! 傷さえ与えれば動きは鈍るんだぶぇ!!」


 「お前ら後ろに下がれ!! 聞こえねえか! 後ろに下がるんだよ!!」



 残りは多くなかったのだが、リーダーの部屋に居た軽そうな男が前に出てきた。もう一人、歳をとった方は後方に居て、何やら他の盗賊に声を掛けている。どうやら混乱は治まったらしい。



 「まったく、混乱している隙に殺されやがって。お前等が混乱してる所為で勝てねえんだろうが、しっかりしろ。お前達は後ろで見てな、オレがさっさと終わらせてやる!!」



 男は途中で曲がった大型のナイフ。いわゆるククリナイフと呼ばれる物を両手に持っており、それで切りつけてきた。ミクは当然かわすものの、息吐く暇もない連続攻撃で攻めてきた。


 この男はミクに回避をさせ続け、後ろに下げて洞窟から出そうという魂胆だろう。何となくそう思ったミクは、素直に洞窟を出てやる。それなりには押し込んでいたものの、未だに半分にも辿り着いてなかったのだ。


 軽い男の連続攻撃で後退させられたように見せ、ミクは洞窟の外まで出る。ある程度まで出ると、洞窟前に盗賊が整列し出した。それは明らかに盗賊の動きではなく、兵士の動きである。



 「やっとこの妙なオークを外に出せたぜ。妙に回避の上手いオークだが、洞窟のような閉所じゃなきゃ好き勝手にやらせねえよ。てめぇの命はここで終わりだ」


 「グッグッグッグッグッグッ♪」


 「あん? 何で笑ってるのか知らねえが、畜生の考えなんぞどうでもいい。さっさと殺すぞ、お前ら。構えろ!!」


 「「「「「ハッ!!」」」」」



 整列した盗賊達が剣を構えてミクを半包囲し、一斉に切りかかってきた。当然ミクはバックステップを行うが、兵士達は一歩前に詰めて再び切りかかってくる。成る程、こういう戦い方か。


 そう思ったミクは一気に後退し、足元に落ちていた石をブン投げる。それは見事に真ん中の兵士に直撃し、首の骨を圧し折った。



 「グッグッグッグッグッグッ♪」


 「クソが!! このオーク、冗談でも何でもなくおかしいぞ! ここまで強いオークは見た事ねえ。ハグレの中でも戦闘狂か何かか? それともオークキングになろうとしてる個体か?」


 「小隊長、もしオークキングに成りかけている個体だとしたら……!!」


 「かなりマズいの。ワシも戦おう。コイツを野放しにしていて本国に行かれたら目も当てられん。ここからゴールダームに行くより、村などを襲いつつ本国に行く可能性の方が高い」


 「しゃあねえ。この人数でオークキングになりかけを狩ったら勲章が貰える、な!!」



 軽い男は飛び出すと、ミクに対して向かってきた。またも素早いククリナイフの連続攻撃だが、今回は少々違っていた。ミクも怪しまれないように適度に反撃するが、その間に歳をとった方が、ミクの背後に回ってくる。


 その男は両手持ちの長柄斧、いわゆるバルディッシュを振りかぶり、ミクに全力で振り下ろしてきた。しかし、ミクはギリギリの距離で回避する。もちろんワザとだ。



 「クソッ、上手くいかなかったか!! おっさん、もう一回だ!」


 「分かっとるが、おっさんと言うな!! きっちりと隙を作れよ。今度は薙ぎ払う!!」


 「それで切れるのかよ! オークの皮膚は硬いし脂肪は厚いんだぞ!!」


 「確実に傷を与えて有利にするのが先だ。こいつは舐めていい相手ではない!!」


 「チッ! 分かったぜ。かわりに確実に傷をつけてくれよ!!」


 「分かっとるから、さっさとやれい!!」


 「よっしゃ、いくぞ!!!」



 軽い男が加速するように攻撃してくる。ミクはそれを回避しつつ、”冷静に”追い詰められていく。そして後ろの歳をとった男が始動したタイミングで、コケたフリをした。


 当然後ろに倒れたミクの上を、バルディッシュの刃は空しく通過していく。まるで運良くかわせたように見えるだろう。


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