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0412・未知の金属の特性




 夕食と雑談を終えて部屋へと戻るミク達。部屋の中のテーブルに冷房の魔道具を設置し、魔石を限界まで入れて起動。後は放っておけば涼しくなる。ミクはいつも通りに2人を綺麗にし、それが終わったらベッドへと寝かせる。


 2人は既に狐の毛皮を敷いていたので、そのままさっさと寝始めた。ミクも狐の毛皮を敷いた後、セリオとレティーを寝かせたら、自身も寝転がって瞑想の練習をする。後は夜中を待つだけだ。



 ◆◆◆



 町が寝静まった頃に起きだしたミクは、そのままムカデの姿に変わると、音もさせずに部屋の窓から外に出る。真っ直ぐにダンジョンへと向かったミクは、第8エリアの魔法陣の上に立ち、オークの姿へと変わったらすぐに転送されて第8エリアへ。


 オークの姿のまま移動して行くも、赤黒い猪などは困惑しているようだ。といってもミクが逃がす筈はなく、触手を頭に突き刺して勝利。そのまま血を抜いたら、本体空間へと転送する。後は干し肉にするだけだ。


 それからは動きつつ飛んでくる噴石をゲットし、走り回りながら地図を完成させていく。脱出の魔法陣の近くにある黒い木の森以外は、さして特徴のある物は存在しなかった。後は荒野が広がるだけである。


 階段は北東にあったので2階へ。再び走り回るものの、地形は1階と殆ど同じであった。黒い木の森もあったし奇妙に思いつつ、南東にあった階段から3階へ。噴石が飛んでくる割には変化にとぼしい場所だ。


 そんな事を思いつつも地図を描きながら3階、4階と進んでいき、5階に到達した事で変わる。そこは火山の中なのか、4階までと違い更に高温だった。挙句、洞窟の中なので逃げ場が無い。


 普通の人間種ならば、ジッとしているだけで汗が噴き出すだろう。そう思える程に高温である。おそらくは摂氏45度を超えているのではなかろうか。何かしらの対策をしないとマズいというレベルだ。



 (とはいえ対策なんて簡単には閃かないね。私には必要ないから余計になんだけど、ここは一気に通り抜ける? いやいや、魔物との戦いもあるんだし通り抜けるのは難しいでしょ。そもそも階段の位置も分かってないんだし。洞窟だから戦うしかない)



 ここまでは一人で【身体強化】を使い全速力で調べたが、ここからは簡単に調べる事はできない。1階~4階は荒野であり見通しも良かった。そのうえ肉塊の人外な視覚の分を地図に起こせばよかったので、一気に進める事が出来たのだ。しかしここからは難しい。


 なかなかに大変な作業を進めなければいけないのだが、洞窟は前にもあったので初めてではない。慣れているとまでは言えないものの、そこまで苦労もしないだろう。隠し通路さえなければ。


 そんな事を思いつつ進んで行くと、すぐに未知の金属と同じっぽい物を発見した。どうやら壁自体が鉱脈というか鉱床なのだろう。ミクは作っておいたツルハシを片手に掘り進めていき、多くの未知の金属をゲットした。



 (ここまで来れば沢山手に入るんだろうけど、5階まで来て更に気温に苦しみながら掘り進めるしかないみたいだね。これは普通の探索者には相当に厳しいと思う。熱にやられて倒れるんじゃないかな?)



 高い確率で熱中症になって倒れるだろう。そんな事を思いながらもミクは地図を描きつつ進む。鉱脈のような場所があれば掘り進み、出なくなれば地図を描く。出てくる魔物は赤黒い巨大コウモリと赤黒い巨大ムカデに、赤黒い巨大ミミズだった。


 どれも大きい為か数が少なく、広い部屋に1匹か2匹しかいない。挙句ミミズに関しては大きすぎて地中に潜れないようだ。何ともな魔物達である。



 (大きいから攻撃が当てやすいし、巨人素材の武器で十分倒せる。ハッキリ言って、武器さえちゃんとしてればザコでしかない。だからこそ洞窟の中の熱気の方が問題になってくるね。これをどうにかしないと、アレッサもティアも厳しいだろう。セリオは……どうかな?)



 魔物が強くないのは僥倖ぎょうこうではあるものの、代わりに気温が敵と言える場所のようだ。雪山ならば防寒具を使えば済むのだが、暑いという事に関しては有効な策が無いのが現状となる。ひたすら我慢をするしかないのかもしれない。


 他の有効な手立てがあれば良いんだけどと思いつつ、ミクは鉱脈を掘ったら帰る事にした。2階~4階の地図を描いたりしていたので時間は経っており、流石にそろそろ太陽が出てくる恐れがある。


 流石に誰かが起きている時間だと特定される恐れがある為、日の出前には部屋に戻っていたい。ミクは急いで1階へと駆け上がり、脱出の魔法陣から外に出ると、姿を透明ムカデに変えて宿へと戻る。


 窓から部屋に戻ったミクはベッドに寝転がり、瞑想の練習をしつつ本体空間で武器を作成する事にした。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 翌朝。2人が起きるのを待ちながらも、武器の作成は進んでいる。といっても特性が分からないので、溶かして型に入れたら冷まして研いで完成だ。そもそも焼入れや焼き戻しの必要な金属かどうかすら分かっていない。


 余計な事はせずにシンプルな形で大きめのナイフにした。本当はもっと量があるのだが、まさか鉱脈というか鉱床があるとは思わなかったのだ。そして、ミクはこの金属の特性を1つ掴んでいた。それは少量では分からなかった事である。



 (まさか、一定の量がないと分からないとはね。それにしても魔力を”乱す”金属なんて初めてだよ。精錬しないと駄目だったのかな? そこは分からないけど、まさか魔法を切る事が出来るなんてね)



 そう、ミクが調べて分かったのは、この未知の金属は魔力を乱すという事だ。弾くのではなく乱す。魔法として形になっている魔力を乱すので、魔法が霧散してしまうのだ。これは武器に使うよりも盾や鎧に使うべき金属だろう。


 一定量を使えば魔法を霧散できるのだ。どれだけ強力な魔法でも霧散させられる訳ではないようだが、普通の人間種が使う程度の魔法であれば霧散できてしまう。そして硬さがあって粘りもある事が判明。


 金属的にはウィリウム鋼よりも僅かに下というぐらいだろうか? ほぼ同等と言ってもいい性能が出ている。つまり強力であり魔法を霧散させられる金属なのだ。この時点で引く手数多になる可能性が高いのだが、その事を考えると頭が痛くなってくるミク。



 (あんな所にひたすら篭もらされるなんてウンザリだよ。それにいつ復活するかも分からないしね。欲しければ自分で採りに行けとでも言うかな。あくまでも探索者には命令できないんだ、依頼を請けなきゃいい)



 どうやら方針としては固まったらしく、ミクは更に小さな盾用の薄い金蔵板を作成。黒い木でラウンドシールドを作り、金属板を叩いて成形した後で前面に貼り付けた。後は黒い木の部品でしっかりと嵌め込むだけだ。


 完成した直径30センチのラウンドシールドは金属も暗めの色であり、木材部分は真っ黒であった。なかなかに目立つ盾ではあるが、それはそれで良さ気に見えるから不思議である。



 (これをラーディオンに渡せば、後は勝手に色々と試験をするでしょ。私にゴチャゴチャ言って来られても困るし、出来得る限りラーディオンにブン投げよう)



 身も蓋もない扱いをしているが、ギルドマスターの地位にあるので仕方がない事だ。下から上がってくる面倒な報告や、上からいちいち言ってくる鬱陶しい圧力。そういうものを捌くのがギルドマスターの仕事である。


 そこにミクが持ち込むものが重荷となっているのだから大変であろう。とはいえギルドマスターとしては捌くしかないのが現実である。それでも敢えて時間を掛けて、楽をしている部分はあるが。


 そうしなければラーディオンも潰れるので仕方がない。特にあの性格である以上、上からの圧力は特にスルーしているのだ、ラーディオンは。彼もなかなか良い根性をしており、だからこそギルドマスターをやっているとも言える。


 それぐらい出来なければ、荒くれを纏めるのは難しい。


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