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0410・第8エリアの魔物のパターン




 とりあえず赤黒い鳥が嫌がらせ魔物だと分かった一行は、出てきたら即倒すと決めて進んで行く。すると再び黒い木の場所に来たので、中へと入って敵を探す。中にはウサギや猪などが居るものの、1度戦えば大凡おおよその対処法は分かる。


 後は複数回戦ってパターンを確立するだけである。魔物は人間種に比べて素直なので、何が出来るか出来ないかは分かりやすい。故に出来る事を把握さえすれば、どう攻めれば良いかも分かるのだ。


 例えば猪などは真後ろには殆ど攻撃できないうえ、後ろを振り返るのにも時間が掛かる。ここの赤黒い猪は走り去ってUターンしてくるが、中にはその場で立ち止まり、トコトコ回転して後ろを向く猪の魔物も居る。


 もちろん走り去る方が隙が少ないのだが、そんな事を頭で考えられる訳もなく立ち止まるのだ。だからこそ何度も戦ってパターンを確立しておく事は、探索者にとって大事な事である。



 「流石に3匹ずつも倒せば慣れるわね。ウサギは速いけど猪ほど追従したり小回りが効かない。猪は穴さえ掘れば簡単に転倒する。後はそこを攻撃すれば終わるから、そこまで強くないわ」


 「ええ。真正面から小細工無しに戦うなら相当に手強い相手ですけどね。しかし逆に言えば、小細工さえすればそこまで強くないとも言えます。ウサギは早めに避けても問題ありませんし、途中で止まりますから楽です」


 「うん、本当にね。避ける事さえ出来れば割と隙があるのよ。最初の一撃を受け止めたばっかりに、あんな事になっちゃったけどさー。本当、初見の敵は警戒しなきゃ駄目ね」


 「それはそうだろと思うけどね。私ならまだしも、2人はそこまで強くないよ。後、セリオは余裕だったけど、それはそれで問題がある」


 「いきなり苦戦する敵に出会ったら、どうしていいか分からなくなる可能性があるから、気をつけた方がいいって事ね。とはいえここでも苦戦しないっていうのは十二分に凄い事なんだけど、それがあだになりそうとは……」


 『どっちもぶつかったら飛んでっちゃうし、僕は別に怪我をする訳でもないし……』


 「本当にそうなんですよね。正面からぶつかって撥ね飛ばされる魔物に、傷を受けないセリオ。驚きなのはウサギに噛みつかれても、全く傷を負っていない事です。何と言いますか、歯が滑っていましたよね?」


 「そうそう。セリオの皮膚の表面で滑ってる感じ。第7エリアの狼と一緒で、セリオにジャレついているようにしか見えなかった」


 『どっちも僕に傷をつける事なんて出来ないから、僕にとっては楽なエリアかな? 鳥だけは面倒臭いけど、皆と同じように魔法を使えば勝てるし。それに置いておけばいいしね』


 「あれは驚いたっていうか、そういう方法があったかって感じよね。むしろ死体を囮に使えばいいって考えなかった自分が情けない」



 セリオがやったのは簡単な事であり、ウサギの魔物を放置してみたのだが何も起きなかった。この時点で、赤黒い鳥は猪にしか喰い付かないと判明。そして赤黒い猪を放置していたら降りてきたので、そこに【旋風弾】を使っただけだ。


 そもそも上空に居る時には狙いにくいし当てにくい。ならば降りて来た時に当てればいいじゃない、という事である。結果的にはこれが一番楽だし、普通の探索者でも出来る方法である。もちろん弓矢でも可能だろう。



 「さて、ある程度は倒したし、そろそろ戻りましょうか。このままダラダラしてても仕方ないし、石がいつ自分の頭に落ちてくるか気が気じゃないのよね」


 「ええ。居るだけで危険ですから、さっさと帰りましょう」



 そう言って脱出の魔法陣から第8エリアを出て行く3人と1頭と1匹。外に戻ったら探索者ギルドへと直行し、解体所に渡したら木札を貰う。そして受付嬢から売却金を受け取ったら<妖精の洞>へ。


 少し早いものの食堂へ行くと、何故か店員がおらず注文が出来なかった。仕方なく水にハチミツを溶かして飲みつつ待つ事に。適当に雑談をしていると、目が潤みフラフラした女性店員がやってきた。


 服が乱れており、心ここにあらずといった感じだが、ミク達はスルーして注文をしたら大銅貨12枚を払う。おそらく注文は通っているだろうと放っておき、そのまま雑談をしているとアルトムがやってきた。



 「うん? 帰って来ていたのはオーナーではなくて貴女達だったのか。すまないがオーナーが何処にいるか知っていたら教えてほしい」


 「オーナーってイリュの事でしょ? 私は今日は会ってないよ。とはいえ、そろそろ夕方だし戻ってくるんじゃない? どのみち死んでも復活するんだし、必ず帰ってくると思うよ」


 「そんな事より、アレとヤったのあんたでしょ? それは何も言わないけど、日中からアレってどうなのよ?」


 「………言いたい事はよく分かるのだが、子供が出来ない事を伝えたら殺到したんだ。むしろ逆だと思うんだが、発散するにはちょうどいいとしてな。色々言いたい事があるのも分かる、しかしもう諦めた」


 「ああ、そう。押し切られた訳ね。まあ、女性からすれば都合の良い発散相手か。あんたが良いならそれでいいけど、不満を抱えているなら断りなさいよ。爆発されても困るし」


 「爆発はせんし、嫌なら断る。私にも出来る事と出来ない事があるからな。どのような物事にも限度というものがある」


 「そこは詳しく聞きたくはないので聞きませんが、日中ですよ? 押し切られるにしても……」


 「すまないが、女性達が予定を勝手に決めているのと、私には拒否権が殆ど無い。一応は一番の下っ端なのでな。それと男性陣からも頼まれているのだ」


 「あんたってやっぱりそっちのヤツだったのね。もちろん悪いとは言わ「違う」ないけれど……」


 「男性陣から言われたのは、私が相手をしていると機嫌が良いから頼むと言われたのだ。女性向けの娼館もあるが、ここの女性陣が使えるような金額ではないからな。基本的には女性向けの方が値段が高い」


 「えっ!? そうなのですか?」


 「ああ。私も知らなかったのだが、顔の良いのを取り揃えておりサービスも過剰と言えるぐらいしてくれるそうだ。つまり男性向けの娼館と違い、女性向けは高級店しかないらしい。私も知らなくて驚いたがな」


 「まあ、男性の場合は発散できればそれでいいっていうの多そうだもんね。女性は顔とか色々拘るから」


 「うむ。だからこそ安い店が無いと。そして子供が出来ない都合の良い私がここに居る訳だ。アレッサも知っているだろうが、男も女もそんなものでしかない」


 「それは知ってるわよ。良いも悪いも別にして、ヴァンパイアの時に散々見てきたからね。それに世の中にはヴァンパイアよりクズが居るのよ。いい加減イヤになるようなのとかね」


 「男性のアレを切り刻むのを悦びとする女もいたし、男性の体を解体し腸に噛みつきながら絶頂するような女もいた。ヴァンパイアよりも異常な連中がな」


 「………」


 「とはいえ男にも異常なのは居るわよ。女が死ぬまで殴り続けるようなヤツも居たし、血を抜いた後で特殊な溶液を入れて人形みたいにコレクションしてたヤツとかも居たもの」


 「あの、もういいですから止めて下さい。そんなの聞きたくもありません」


 「ごめん、ごめん。どっちみちアンデッド以上に狂ってるヤツは居るって事よ」


 「アンデッドになった段階で狂わされているのだから、天然で狂っているヤツはアンデッド以下だがな」



 ティアは気分が悪そうにしているが、異常者など世に幾らでもいるものである。そんな者は居ないと言う者も居るが、それは居ないのではなく見えていないだけでしかない。


 見えていない事と、本当に居ないかは別の話である。


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