表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
414/1113

0409・赤黒い鳥




 ウォーアックスを横に構えて、何とか赤黒いウサギの噛みつきを防いでいるアレッサ。それを見ているだけの2人と1頭。1メートル級のウサギである為、体重を浴びせかけられれば倒されてしまう。そうなれば体重で潰されるだけである。


 流石にそれはマズいと分かっているアレッサは、【身体強化】をして押し返す。



 「んー………だぁっ!! ……ふんっl!!!」



 噛み付いてきていた口を防いでいたウォーアックス。それに力を入れて押し返し、更に強く力を入れて相手を押し飛ばした。多少アレッサから離れたウサギに対し、武器を構えていては遅いと判断したアレッサは、まさかのケンカキックをウサギの腹に叩きこむ。


 しかし【身体強化】込みの威力は高く、ウサギはたたらを踏むように後退。その瞬間、アレッサはウォーアックスを振りかぶる。



 「おりゃぁぁぁぁぁ!!!」



 赤黒いウサギを袈裟懸けにしたアレッサは、そのまま両断して勝利となったものの、本人は肩で息をしつつ納得してないようであった。



 「あー、もー。何ていうか完全に失敗じゃないの。っていうか、思ってたよりも速くて一気に接近された所為で、予想以上に追い込まれちゃった。わたしの油断はあったでしょうけど、第8エリアの魔物って厄介過ぎない?」


 「油断していたという自覚はあったのですね。何と言いますか、遠くから見ているともう少し色々出来たのでは? と言いたくなる戦いでした。思っているよりも失敗が目立ったような感じですね」


 「うっ……。それを言われると返す言葉が無いのよね。実際ウサギ系の魔物って強い奴を知らないし、そういう意味では完全に油断してた。第8エリアと考えたら弱い筈が無いのにね」


 「全くです。第8エリアという事は、70階を越えているという事。世界最高難易度と言われる我が国のダンジョン、その70階を越えているのですよ? そんな簡単な訳がありません」


 「そういえば、確かにそうかー。70階を越えてるのよねぇ。思ってる以上に進んできていると言うべきか、それともここから更なる地獄かもしれないと言うべきか」


 「それでも第7エリアのような厄介な感じは致しませんよ? 雪山で真っ暗な中を進む必要がある、あの大変さに比べればマシなような……?」


 「確かにそうだけど、マシの基準がおかしくなってる気もしないでもない。ま、とりあえず次はティアね。わたしの失敗を見てたんだから、失敗しないようにしなさいよ」


 「流石にアレッサ殿の失敗を見させていただきましたので、同じ失敗は致しませんよ」



 そう言って別のウサギを探すものの見つからず、赤黒い猪に見つかって突っ込んできた。ティアは薙刀を構えつつ、ギリギリまで引きつけて回避……しようとしたのだが、まさかの猪に追従されてしまう。


 相手の突撃が直撃するのはまぬがれたが、薙刀を使って無理矢理に横に跳んだ所為で、武器を手放してしまった。仕方なく処刑斧と鉈を取り出し両手に持つティア。赤黒い猪はUターンして再び突っ込んで来る。


 今度は更にギリギリまで引きつけて【身体強化】をしながら横に避けたティア。流石にギリギリまで引き付けたので追従できなかった赤黒い猪。しかしこのままでは攻撃できない。


 困ったティアは再びUターンしてきた猪を迎え撃つ。ギリギリまで引き付ける前に鉈を投げたティア。しかしそんな事はお構い無しに突っ込んでくる赤黒い猪。再びギリギリまで待って、【身体強化】で逃げるティア。


 赤黒い猪が通り過ぎた後、すぐに鉈を拾って構える。再びUターンしてきた相手を見つつ、ティアは追い込まれて閃いた。再び武器を構えてギリギリまで待つフリをして、進路上に【浅穴】を使ったのだ。


 いきなり空いた穴に足が落ち、そのままバランスを崩して転倒する赤黒い猪。左に逃げた後で追いかけ、ここがチャンスと処刑斧を【身体強化】をしながら叩きつけた。それは首筋に深く入り込み、鮮血を噴き出させる。


 素早く離れたティアは残心をするものの、赤黒い猪が起き上がる事は無かった。勝利を確信し、ようやく構えを解くティア。それをニヤニヤして見ているアレッサ。



 「おつかれー。ティアはわたしみたいに油断しないんじゃなかったのかなー?」


 「油断はしませんが、相手が違います! 流石に同じウサギなら簡単に勝てていた筈ですよ。それはともかく、この猪は厄介に過ぎませんか? 避けても追従してきましたよ?」


 「確かにそれはそうね。ミクからはそういう情報を聞かなかったけど、そこはどうなってるの?」


 「最初の1戦目はセリオが撥ね飛ばして終わったね。次の戦いからは私だったけど、私の場合は盾で受け止めてウォーハンマーの一撃で終わり。次はギリギリまで引きつけて避けつつ、槍を投擲して突き刺した」


 「槍を投擲ってそれはまた……。ミクしか出来ないでしょ。普通の探索者なら当たらないだろうし、アレを貫く威力は出ないんじゃない? 追従してくる厄介さはあるけど、【浅穴】を使うのが一番良さ気ね」


 「それは私もそう思うよ。追従してくるのは知らなかったけど、【浅穴】を使って転倒させてしまえばいい。あの大きさだから、1度転倒すると簡単には起き上がれないだろうし」



 そんな話の最中も、赤黒い猪の血を飲んで御満悦なレティー。気になったセリオが舐めてみるも血の味しかしなかった為、顔をしかめながら離れている。ブラッドスライムならともかく、それ以外が美味しいとは思わないだろう。


 血抜きの終わったであろう赤黒い猪に近付くと、上空から鳥が降ってきたが、ミクはレティーを素早く回収して離れた。すると赤黒い鳥は、傷口から肉をむさぼり始める。これにはティアが激怒。回収していた薙刀を持って走るも、赤黒い鳥は上空へと逃げた。


 しかもそれだけには飽き足らず、ティアの頭の上に糞を落としてきたのだ。



 「GAA! GAA!! GAGAGAAA!!」


 「あの鳥……! 完全に私をバカにしてますわね!! もう許しませんよ! 受けなさい!!!」



 怒りのティアは魔力を過剰に篭め、【旋風弾】の魔法陣を展開する。しかしそれを感じ取ったのであろう赤黒い鳥は、慌ててティアから離れようとし、飛んできた噴石の直撃を受けた。


 物の見事に頭に当たった噴石の一撃は、気絶させたか死亡させたのだろう。赤黒い鳥は落下し地面に叩きつけられた後ピクリともしておらず、どちらで死んだかは不明だが死亡したようだ。



 「…………。私の手で殺そうと思っていたのですが、あんなマヌケな死に方をしたのでは力が抜けてきます」


 「うん、でしょうね。まさかダンジョン内の魔物が、あんな事になるとは思ってもみなかった。ダンジョン内の攻撃っていうか、ダンジョンからの攻撃で死ぬなんてね。しかも結構いい大きさの物が直撃したし」


 「……【浄滅】。私も初めて見たけど、あんな事もあるんだね。それよりも、やっぱりあの鳥は放置しちゃ駄目だったみたい。勝手に死体を漁りに来るし、かと思えば糞を落としてくる」


 「ありがとうございます。御蔭で綺麗になりましたけど、本当に碌でもない鳥でした。アレは真っ先に殺すべきです、慈悲など必要ありません」


 「糞を落としてくるんじゃねえ、慈悲なんて持てないでしょうよ。そもそも向こうが嫌がらせをしてくる以上、容赦をしてやる必要も無いしね。あれに関しては見敵必殺でいいと思う」


 「ある程度時間が経つと、またやってくるけどね。それ自体は仕方ないかなと諦めるしかない。珍しいから小銀貨2枚だったけど、珍しくなくなったら多分売れないと思う」



 そのミクの言葉を聞いてウンザリとした顔を隠さないアレッサとティア。唯の嫌がらせ魔物が無限におかわりされるとなったら、表情が悪化しても仕方がないだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ