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0405・第8エリア探索




 血抜き作業が終わったので、赤黒い猪をアイテムバッグに収納して少し歩いてみる。ミクだけなら何の問題も無いが、おそらくアレッサやティアならば暑いと言うだろう。それでもまだ暑いで済んでいるだけマシかもしれない。


 敵の位置は既に分かっているので倒すかどうかに悩みつつ、どのみち1度は解体所に持っていく必要がある事を思い出す。新しいエリアである以上は、解体所に持って行かないと値段を付けられない。ならば1度で済ませるべきだろう。


 そう考えたミクは、赤黒い鳥と赤黒いウサギも狩る事にする。鳥に関しては、こちらを狙っているのか上を旋回中だ。アレを放っておいてウサギと戦っていると邪魔をされる恐れがある為、先に鳥を倒す事にするミク。



 (さて、あの上空でウロウロしながらこっちを狙ってるヤツはどうするべきかな? 魔法で叩き落すべきか、それとも石でも投げようか……。いや、エルフどもの使ってた魔法でいいね)



 やる事が決まれば後は行動をするだけである。ミクは上空を旋回している赤黒い鳥に対し【旋風弾】を放つ。それは狙いを過たずに直撃し、鳥は一度上空に飛ばされ、そして落下してくる。


 しかしその途中で復帰したのか羽ばたくと、今度はミクに対して【火球】の魔法を飛ばしてきた。鳥が魔法を使うとは思わなかったものの、そんなものが当たる筈もなく、楽々と回避しては再び【旋風弾】を放つ。


 それは再び直撃し、上空に飛ばされるものの今度は地面に落下して激突する。ミクは素早く近付き大型ナイフで首を刎ね、その一撃で赤黒い鳥は死亡した。生命力も感じないので間違いない。



 「やれやれ。空を跳んでる奴は面倒臭いね。一応は人間種でも倒せる方法じゃないと不自然だから魔法で落としたけど、もっと簡単に倒せる方法を考えておいた方がいいかな。この方法は迂遠な感じがする」



 水系の魔法なら環境的に良く効くのだろうか? そんな事を考えつつ、ミクは鳥の血抜きをレティーに任せるものの、どうやら鳥の血は栄養価はそこまで高くないらしい。猪が良かっただけにガッカリしているようだ。


 何処かの青い星ではハゲタカと言われる鳥に似ているが、ミクは知らないので名前も付けていない。血抜きの終わった赤黒い鳥をアイテムバッグに入れ、今度こそ生命反応の方へと歩き出す。


 ここの地形は荒地のような地面に、噴火しているような火山。そして見た事の無い黒い幹の木などが生えている。ちなみに黒い木は何故か葉っぱが一枚も生えていない。なのでスカスカな印象を受ける。


 あの木も伐っておいた方が良いかと思いつつ、ミクはそちらの方に歩いて行く。生命反応もそちらにあるし、赤黒いウサギが居るのも見えている。黒い木があるので分かり辛いが、それでもミクの目は誤魔化せない。


 ミクがウサギに近付くと、ウサギは文字通り脱兎の如く逃げ出した。



 「あれ? まさか向かって来ずに逃げ出すとは思わなかった。それなりの距離で逃走されたね。挙句なんか速かった気がする。もちろん私よりは遥かに遅いんだけど………もしかしてアレを狩るのって、普通の探索者じゃ大変なんじゃないの?」


 『確かに難しそう。僕なら追いかけてぶつかればいいけど、普通の人達じゃ追いつけないんじゃないかな? 弓矢でなら狩れる? でも大きいし、なかなか難しいかも』



 そう。赤黒いウサギは耳の部分を含めずに体高1メートルぐらいはあるのだ。足を伸ばせばそれ以上だろうというウサギだが、異常なまでの速さで走り去って行ってしまった。アレを常人が追いかけるのは難しいだろう。


 相手の方が圧倒的に速い以上は、近付く事は困難だ。ならば遠距離攻撃で仕留めるしかないのだが、それもまた当たったところで大した事が無い可能性がある。そうなれば倒すこと自体が出来ないかもしれない。


 考えているだけでは解決しないので、まずは攻撃をしてみよう。そう思って次のターゲットに【旋風弾】を放つ。相変わらず狙いが外れるなんて事は無く直撃し、怒ったウサギはミクに対し接近してきた。


 ミクはすぐにカイトシールドを出してウサギの攻撃を防ぐ。それは歯での攻撃だったが、ワイバーン製の盾の表面の皮が、多少とはいえ削れる威力であった。魔力を篭めて強化していないとはいえ、まさか表面を削る事が出来るとは思わず、驚くミク。


 すぐに大型ナイフを抜き、首を一閃して勝利したが、予想以上の攻撃力の高さに顔を顰める。この赤黒いウサギの歯には、今の防具では耐えられない可能性が高い。ミクなら何の問題も無いが、アレッサやティアだと安全とは言えないのだ。


 もちろんそういった敵との戦闘も慣れさせなければいけないのだが、だからといって安全が全く担保できないというのも良くはない。困ったなと思っているものの、今のところは良い防具の材料も見つかってはいない。


 この状況では新しい防具を作るのは無理だ。ワイバーン製の防具以上となれば、第7エリアのボス熊ぐらいしかない。しかしあれもワイバーン製よりも僅かに上というぐらいだ。ウサギの歯がワイバーンの皮を削っている事を考えると、明らかに足りない。


 色々と考えてみたものの納得できる答えは出ず、結局はそういった危険への対処を練習させる魔物として使う事に決めた。一撃で手足が持っていかれる可能性がある以上、それに対する練習だとしてやらせるしかない。


 危険ではあるものの、それを言っても始まらないのだ。ならば練習としてやらせるのが一番良い。ウサギの血抜きも終わったが、レティー的には普通の血だったようだ。赤黒いウサギを回収したミクは、今度は黒い木を伐ってみる。


 アレッサのように斧を持っている訳ではないので長巻で幹を切り裂いたものの、目の前の黒い木が思っている以上に硬くて驚くミク。みっちりと繊維が締まっていて硬いという印象であり、トレント材以上の木材である事は感触ですぐに分かった。


 セリオも頭をぶつけているが、その硬さに驚いているようだ。



 『この木、今までに頭をぶつけた中で一番硬いよ。もちろんぶつかれば僕が勝つけど、折るには結構な力がいるかも。それぐらいには硬いよ。真っ黒だし、不思議な木だねー』



 その不思議な木を伐り倒しては収納し、幾つかは本体空間に転送する。調査してトレント材以上だとハッキリすれば、久方ぶりに武具の木材を更新できる。ただしこちらの方が重いので、そこには注意しなければいけない。


 それでも優秀な木材があるのは良い事である。そんな事を考えつつもきこりの如く葉っぱの無い黒い木を伐っていくミク。その間にもウサギや猪を倒して血抜きをさせ、上空を飛ぶ赤黒い鳥は魔法で撃ち落とす。


 魔力を余分に篭めれば【旋風弾】で十分に倒せる為、そこまで赤黒い鳥に苦労をする事は無かった。どのみち地面に落ちてくれば結構なダメージを受けるのだし、その間に接近して切り裂いてしまえばいい。


 魔法を使える者が居なければ難しいが、言い換えれば魔法さえ使えれば勝てるという話でしかない。無理に倒す必要も無いし、場合によっては無視しても良いだろう。その程度の相手である。



 『どーん!!』


 「ピギッ!!?!?」



 またもや猪が派手に吹っ飛んでいった。相変わらず突撃が好きだが、どうやらセリオの頭蓋には特に異常は無いらしい。それは良かったが、結構危険な攻撃でもあるので、セリオにも何かしらの武器を持たせた方が良いだろうか?。


 ワイズライノに持たせられる武器があるのかは知らないが、生身のままぶつかるのを繰り返していると、いつかは当たり負けする可能性が高い。その時に困った事になる可能性がある。


 今からでも考えておいた方が良いだろう。とはいえ答えが出るかは分からない事にも、頭を悩ませるミクであった。


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