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0399・流民




 そのまま馬車に乗って探索者ギルドまで行き、探索者ギルドの前で止まった馬車からファニス以外が降りる。ファニスは馬車を返してこなければ行けない為、そのまま乗って移動だ。


 他の馬車も止まったので、それぞれの馬車にルッテとウェルドーザ、それとセティアンが乗り込み返しに行く。ミク達はそれを見送った後、最後に探索者ギルドに入った。


 中は特に変わった様子はなく、ミク達は不思議に思ったものの受付へ。いつも通りに居る受付嬢に話し、帰ってきた事を報告したら、依頼達成という事で小銀貨1枚を貰った。



 「皆さんの働きに応じた報酬は、この後フィグレイオから届きますのでそれまでお待ち下さい。といっても、向こうにも面子がありますので最速で送ってきますよ」


 「まあ、探索者を働かせておいて渋ったとなれば恥だもんね。国家の威信に傷を付ける訳にもいかないし、あそこの国はケチだなんて情報が回ったら最悪だもの。担当してる奴は物理的に首が飛ぶわね」


 「ですね。流石に国家がケチだと思われるのは駄目です。何処の国でも容赦はしないでしょう。そうなるなら探索者を雇わない方がまだマシです」


 「そりゃね。揉める元は極力無くすのが当たり前だし、探索者にすらまともに払えないって国家の財政がヤバいって思われる。それって国にとってマズ過ぎるわ」


 「何処の国もそういう事には敏感ですからね。お金の払いが悪いとなれば、商人の取り引きは減りますし足下を見られます。ケチな事は害しかありません」


 「無駄な出費は抑える必要があるけど、それとケチは違うものね。ケチは明らかにマイナスしかない。そもそも一般人だってケチなのは顔をしかめられるっていうのにさ、それが国だよ?」


 「ええ。ですからアレッサ殿が言った通りに首が飛ぶんですよ。逆に言えば、だからこそ最速で不足なく送ってくれるでしょう。それでも厳しく精査はされるでしょうけど」


 「それはね。そこに関しては探索者の腕だったり戦場での話だからねえ。腕が悪けりゃ儲けは無いし、働かない奴は碌に儲からないわ。そんな事はダンジョン攻略でも変わらないしね」


 「ゴールダームに戻ってきた際に、門で物凄く調べられたんだけど……あれって何か分かる?」



 ミクが受付嬢にそう話しかけると、受付嬢は疲れ切った表情をしつつ口を開く。どうやら疲れる何かがあるらしい、探索者ギルドの受付嬢が疲れる事とはいったい何だろうか?。



 「違います、違います。探索者ギルドは関係ありません。どうもエルフィンからの流民が入ってきているらしいのですが、その……どうもエルフが揉め事を起こしているようでして」


 「あの気位が高いエルフィンのエルフどもだものね。問題しか起こさないでしょうよ。それで?」


 「ゴールダームでは一定期間、エルフの入国を禁止する事になったのです。具体的には<エルフィンの混乱が落ち着くまでは、エルフの入国を禁ずる>と、実際に国家として公布されています」


 「エルフィンのエルフが起こした事の所為で、エルフ全体がとばっちりを喰らってるわねえ。本当にあの差別主義者どもは碌な事をしない」


 「元々ゴールダームに居るエルフの人達は、国から配布されているバッジを着ける事になっています。それが元々ゴールダームに居たエルフの証でして、それを持っていると門を通れます」


 「もしかして私達が厳しく調べられたのは、ウェルドーザ殿が居たからでしょうか? ちょうどエルフィンの戦争に参加している時にこんな事になるとは、タイミングが悪いと言いますか、何と言いますか……」


 「でも自分からエルフィンでの戦争に参加している訳だし、結果としてこうなるのは仕方ないんじゃないの?」


 「まあダラダラ話すのは止めにして、さっさと<妖精の洞>に戻ろうかい。流石にここに居て喋ってても邪魔になるからね」


 「おっと、そうでした。雑談は戻ってからにしましょう」



 とりあえずエルフに対する警戒だという事が分かったので良しとし、ミク達はゆっくりと歩きながら宿へと戻る。途中で<鮮烈の色>に会ったので受付で聞いた事を話すと、ウェルドーザは呆れかえっていた。



 「本当にあそこの連中は碌な事をしないわね。その所為で少しの間、オシャレでもないバッジを着ける羽目になったじゃないの。本気で滅べと言いたくなるわ」



 どうやらエルフに対する風当たりが強くなってる事に怒っているらしい。当たり前の事ではあると思うが、しかし同時にとばっちりでもある。全ては愚かな連中の所為なのだが、愚か故に理解しないだろう。そもそも腐った連中はエルフィンに居るのだし。


 宿へと歩いて行き、久しぶりに<妖精の洞>へと戻ると真っ直ぐ食堂へと行く。今は昼過ぎだが、ミク達は食事をせずに帰ってきたので昼食を頼む。なければ適当に作るかと思っていたが、どうやらあるらしい。


 大銅貨15枚を支払って注文し、ミクも席に座って休む。ようやく帰ってきたと思えるが、イリュとカルティクは居ないようだ。生命反応を感じない。ダンジョンにでも行っているのだろうと思い、雑談を聞きつつセリオの相手をするミク。



 「実際にエルフィンの崩壊はこれからだと思うけど、エルフ以外の種族はともかく、エルフどもはどうなるのかしら? できれば、あそこから出してほしくないんだけど……」


 「どうなんだろうねえ。それもまた難しいとは思うよ。森のエルフは出てこないとは思う。何だかんだと言って、森にはそれなり以上に恵みがある。唯でさえ森自体は大きいんだ。小国家群や神聖キルス法国の連中が多少獲ったところで、簡単に無くなったりしないさ」


 「という事は一番面倒な連中は来ないって事ね。それはいいけど、面倒臭さは然程変わらないかもしれないような? 結局のところ差別主義者である事に変わりはないし。むしろ森の奴等に見下されてる分、面倒臭い?」


 「さて? 可能性としては無い訳ではありませんが、ウェルドーザ殿のようなエルフも居ますしね。とはいえ我が国としては、エルフの入国禁止に踏み切った訳ですが……」


 「それは仕方ないさ。むしろ大量に押しかけてくる前に決断したんだから褒めるべきだろう。そういう決断が出来ない奴等がどれほど居るか。周りの顔色を窺ってる間にも時は進むって事を知らないとね」


 「迷ってる暇は無いってヤツね。ま、どこまで考える時間があるかは、それぞれによって変わるでしょうけども。ギリギリまで大丈夫という者もいれば、それより前に決断するべきってのも居るだろうし」


 「ギリギリまで見極めるのも良し悪しなんだけどねえ、確かにそういう奴も居るさ。とはいえ私からすりゃ、そこまで結論が出ない時点で駄目だね。そういう奴は基本、決断を先延ばしにしてるだけだ」


 「まあ、それもあるか……」



 昼食が運ばれてきたので食べる。久しぶりに女性店員を見たが、記憶を思い出さなくても分かるほど艶々した良い笑顔をしていた。何か良い事があったのだろうか?。



 「単にアレは充実してるってだけさ。アルトムに喰われたのか、アルトムが喰われたのかは知らないけどね」


 「そういう事ですか……なんだか活き活きしてらっしゃいますから、悪い事ではないと思いますけど……露骨過ぎませんか?」


 「別にいいんじゃない? 辛気臭かったり陰気臭いよりは明るい方がいいし、誰も文句は言わないと思うけどね。これで惚気のろけるなら流石に鬱陶うっとうしいけど、そうじゃないみたいだし」



 何となく納得いかない顔をしているティア。客を相手にするならしっかりしろと言いたいのだろうか?。


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