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0392・挟撃




 雑談をしていると輜重が出発したので、ミク達も馬車に乗り出発する。ゴロゴロと車輪が回る音を聞きつつ、適当に馬車内で過ごす7人と1頭と2匹。ミクは目を瞑っており、今は本来空間で最後の調整を行っている。


 調整しているのは<射出機>だ。既に複製そのものは終わっているのだが、今は複製したオリジナルと同じ物とは別に、自分なりに使いやすくアレンジしている。ミクが考えたのは<バズーカ>だ。


 正しくは肩に担いで使用する射出機となる。空気で弾を飛ばすバズーカと考えれば分かりやすいだろうか。ちなみに弾は喰った人間種の骨を予定している。


 ……罰当たり? 肉塊に罰など当たる筈がない。そもそも神公認で食っているのだ。むしろ裁く側である。


 ただミクとしては大きな砲弾というよりは、小さな弾を大量に飛ばす散弾を考えている。そうする事により接近時も使える武器となるからだ。あまり大々的に使うと国家に目をつけられるが、ミクから奪える者など誰も居ないので問題無い。


 <バズーカ>タイプと<ショットガン>タイプを作り、試射を経て御満悦の本体。神が文句を言ってこない以上は、少なくとも製造と使用には問題ない訳だ。おそらく広めると問題なのだろうが、自分達で使う分には何の問題も無いという事である。


 ミクは早速とばかりに弾の大量製造を始める。どうせ必要の無いゴミなのだ、それを武器として使えて減らせるなら十分だ。今まで溜めこんでいた人間種の骨を大量に使い、弾を形成していく本体。


 いつブッ放そうかと考えていると、後ろからつけてくる一団を発見した。その数は300ほど。どうやら町の者まで動員したらしい。



 「バカな事をする。大人しくしておけば死ななかったというのに……。余程にエルフィンの者どもは殺されたいらしい」


 「……ああ、後ろ。結構な数がつけて来てるわね? どれぐらいの数が居るの?」


 「ざっと300ぐらいだから、間違いなく町の一般人を動員してる。一般人に武具を持たせて戦わせても、そこまで役に立つ訳じゃ無いんだけどね。<多勢に無勢>とは言うけど、こっちは2000だよ? 300でどうする気なんだか」


 「前からの連中と挟撃して、後ろで混乱を起こすのが目的なんだろうね。とはいえバレてたら意味無いけど。それでもアタシ達が食い止めなきゃいけないのが300と考えると、こっちが<多勢に無勢>だよ」


 「アレッサ、ティア。新しい武器を作ったから最初に使ってくれる? ある程度までは敵を引きつけて使わないといけないけどね」


 「新しい武器?」



 ミクは右腕と左腕を肉塊にして、右腕からは<バズーカ>2つ。左腕からは弾を取り出す。バズーカの砲身は直径15センチ、長さは1メートル。握る場所はあるがトリガーは無い。魔力を篭めれば自動的に発射される。


 そして弾は大きなタイプしか出していない。昔ながらの火縄銃の如く、一回一回弾込めをしなきゃいけないが、威力は十二分に出ている。試射でも厚さ5センチの鉄板をブチ抜いていた。距離70メートルで、だが……。



 「つまり、この白い弾を砲身の前から入れて、奥まで届かせる。砲身の前を上に向けたら、簡単に奥まで行くでしょ? その後は構えて敵の方に向け、持ち手に魔力を篭めたら発射される。今撃たないようにね」


 「厚さ5センチの鉄板をブチ抜くような武器、危険すぎて触りたくないんだけど? これ、いったい何?」


 「<射出機>を小さくして、持ち運びに便利にしたんだよ。だから原理は<射出機>と同じ。魔力を篭めて中の物を飛ばすというだけ。ただしその威力は相当の物だから、使う際には気をつけてほしい。味方に当たったら死ぬよ?」


 「だからそれが怖いって言ってるんだけど? 味方に当たったら駄目な時点で、危険すぎて使えないって言ってんの」


 「まあまあ。ちょっと面白そうですよ、コレ。評価は使ってみてからでいいのでは? どんな物も使ってみないと分かりませんし」


 「あんたは使いたいだけでしょうが。使った事の無い物なうえ、飛び道具って怖いのよ、味方に当てるって一番最悪だから」


 「おっと、前からも来たね。…………思っていたよりも多い。1000ぐらい居る?」


 「ゲッ!? 後ろと合わせて1300? 東の方に兵を取られてるとはいえ、それでも1000の兵を出してくるかぁ……。しかも連中が得意な森の中で。これは早めに後ろを倒して支援しに行った方が良いわね」


 「ですね。流石に前方からの兵が多いです。1000人となると、フィグレイオの歩兵と互角の数字。魔法使いと弓兵が後ろに居るとはいえ、なかなかに厳しい戦いになるかと」


 「そろそろ前がぶつかる。だから、こっちから先に出て先制攻撃をするよ、向こうに主導権を取られる訳にはいかないからね」



 ミウはそう言いながら馬車を降り、後ろへと歩きつつウォーハンマーとカイトシールドを手にして構える。そのミクの右後ろにアレッサ、左後ろにティアがおり、2人ともバズーカを構えた。


 既に弾は2人に渡してあるので、全弾撃っていいと言ってある。2人に渡したのは30発ずつだ。それぐらいであれば実戦における試射としては十分だろう。そして<鮮烈の色>も馬車を出てきた。


 するとフィグレイオ軍の前方から「ドォン!」という音が鳴り、それと共に後ろの連中が攻めてきた。ミクは素早く構え、アレッサとティアがバズーカに魔力を篭める。


 「ボッ!!」いう音と共に発射された骨弾は敵兵の体に当たり、一撃で吹き飛ばした。ティアの方に至っては肩の付近に当たったらしく、左腕が千切れ飛んでいる。あまりにあまりな威力に唖然とする2人。



 「すぐに弾を入れて撃て!!」



 ミクがそう言うと慌てたように動き、弾を入れて再び構える。そして敵兵へと発射。アレッサの弾は顔に当たり、そのまま頭部が弾け飛んだ。ティアの弾は太腿に命中して足が千切れ飛ぶ。


 その威力に敵兵の勢いが弱まる。特に頭が弾け飛んだのが凄惨過ぎて、兵士の家族達の復讐心を削ぐ。そう、動員されたのは殺された兵士の家族であった。



 「撃てーーーっ!!!」



 ミクが声を上げ、2人が素早く装填して撃つ。2人も分かったのか、頭を狙って撃つ事にしたらしい。頭というのは小さく狙いは外れたが、それは一番前のヤツに当たらなかっただけである。


 後ろにいた者に命中し頭が弾け飛ぶと、ついに耐えられなくなったのか我先にと逃げ出した。そのチャンスを逃すミク達ではなく、追いかけながら撃つアレッサとティア。正規の兵士まで逃亡しているのだから、相当の恐怖を感じているに違いない。


 ここはトラウマレベルの恐怖を植えつけるべき。そう思ったミクは追いかけさせ、どんどんと当たるに任せて2人に撃たせていく。


 2人は「これって良いのかな?」と思いつつも、ミクが追いかけて撃てと言う以上は従っている。そしてある程度の距離を追いかけたら立ち止まり、ミクは輜重の場所に戻る事を言った。



 「おつかれー。アレで他国の連中を敵に回すとどうなるか分かったでしょ、調子に乗ってたら簡単に殺されるってね。見下してバカにしてたら頭が弾け飛ぶんだ、盛大な心の傷になったと思う」


 「ああ、その為に追いかけてまで撃たせたのね。後は生き残ったのが噂なり何なりを広めるでしょう。更に蛮族だとか言うでしょうけど……」


 「それでも、その恐怖は確実に刷り込まれたでしょうね。特に自分の目で見た者達は恐怖を経験しています、周りの連中の妄想を元にした見下しに疑問を持つでしょう。実際に王都まで迫られてもいるんですし」


 「とにかく後ろは終わった。前の援護に行くよ。どうも輜重の中央と前方も戦いに行ってるみたいだし」


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