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0391・買い取った食料の浄化




 アリストラも昼食を終え、今はゆっくりとしている。他の皆も一息吐いたと言うべき顔をしており、町攻めの間はやはり緊張していた事が窺える。適当な雑談をしながら時間を潰していると、ガルドクスが兵を連れてやってきた。



 「おや、アリストラも居るという事は、既に治療は済んだという事かな?」


 「ハッ! ミク殿に治していただいた御蔭で、再び歩く事が出来るようになりました!」


 「うむうむ、それは良かった。ところで食料を買ってきたので浄化をお願いしたい。それが終われば出発ですので、相談役殿はお戻りを」


 「分かったよ。昼食を終えてゆっくりしてたんだけど、流石にずっとそのままって訳にはいかないか」



 そう言って渋々立ち上がったシャル。アリストラも立ち上がり、ミク達もそれについて行く。ダラダラと歩きつつ、輜重の一番後ろから広範囲に【浄滅】を使う。それは一気に広がり輜重の3分の1を浄化した。


 そこまでの広範囲に行ったミクにジト目を向けつつ、溜息を1つ吐いたシャル達は前へと歩いていく。



 「ところでガルドクス、この後はどうする気だい? 絶対に前と後ろを挟まれるよ。相手にとっては最後の止めるチャンスだ。結構な兵を投入してくる筈さ。第3の町からも、おそらく最後の一兵まで出てくる」


 「それは分かっておりますし、だからこその補給です。根こそぎは流石に出来ませんが、結構な食料を買ってきましてな。ついでに兵の武具も追加で購入してきましたぞ。そもそも湧いて出てきた金銭ですからな。この国に返してやらねばなりませぬ」


 「確かにねえ……こっちはどれだけ払っても、痛くも痒くも無い。向こうの金銭で買うだけで懐は痛まないからねえ。それに、わざわざ返してやってるとも言える。とはいえ貨幣で腹は膨れないんだけど」


 「それは知りませんな。向こうに無理矢理出せと言うた訳ではありませぬ。出来得る限り買うから、売ってよい分だけ出せと言うたまで。そこは商人との駆け引きですからなぁ」


 「商人どもが儲けを捨てるなんて、あり得ないって分かってるだろうに。毒か何かを入れてくる事はあっても、儲けをとらない商人はいない。その儲けの元はエルフィンのだけどね」


 「ふふふふふ、御蔭で初めて金銭を気にせず物を買うなんて事が出来ましたな。商人に対して、全部買うから出せるだけ出せと言える日が来るとは……。いやー、本当に楽しかった。それに輜重は出発時よりも増えましたぞ?」


 「積めるだけ積んだかい。まあ、いいけどね。兵士が居ればメシも食うし糞もする、それが当たり前の事さ。後は全てが糞に変わる前に、王都に攻め込んで勝利するだけだ。そして得る物を得たらさっさと帰る」


 「ええ。そろそろエルフィン攻めも大詰めです。向こうが誰を責任者として出してくるかは分かりませぬが、フィグレイオに対する今までの工作活動の賠償を取らねばなりませんからな」


 「ジャンダルコは一番だけど、フィグレイオもゴールダームも工作活動は受けていた。フィグレイオとゴールダームに関しては、主に盗賊に扮している連中と闇ギルドに擬態していた連中だ。ゴールダームは動かないとはいえ、フィグレイオは黙ってる事は無いと示さないとね」


 「我が国の場合は黙っているのではなく、対外戦争を始めると周辺国が動くからですわ。陛下も物を投げたり壊したりして、怒りを露にしておられました」


 「まあ、そうするしかないだろう。ゴールダームは少々特殊な立ち位置だからねえ。特にエクスダート鋼を標準装備にされると、何処の国もマズい事になる。アレはゴールダームに富をもたらしたけど、それで余計に警戒される羽目になったからねえ」


 「流石に兜ごと殺される可能性のある武器は厳しすぎますな。アレを国の標準にされたら蹂躙されかねません。まあ、ゴールダームの立場には大いに同情する部分はありますが……」



 そんな話を聞きつつ輜重の中央に【浄滅】を使い、再び一気に浄化して行くミク。またもや輜重の3分の1を浄化したが、もはや諦めにも似た表情をしているガルドクス。



 「もしや、ミク殿が本気であれば、我らは1時間も保たずに蹂躙されるのでは?」


 「何をバカな事を言ってるんだい、ガルドクス。1時間も保つわけないだろ。10分で全員炭になってるよ。ミクは最上級の儀式魔法を連発できるんだ。そもそも今使ってる【浄滅】だって儀式魔法だよ? 本来なら20人以上の魔法使いが協力して使う魔法だ」


 「なんと………」



 魔法にはあまり詳しくなかったのだろうが、魔法使い20人で使う魔法と聞いて驚いている。それをたった1人で使い、しかも連発しているのだから驚く事しか出来ないのだろう。



 「実際あたしは見てないけど、【火魔法】の儀式魔法は灼熱の嵐を顕現させたらしいね。それはアレッサとティアが言ってたよ。魔物なんて炭化して炭になってたってね。真っ黒な何かが残ってただけだと」


 「………」


 「その儀式魔法も私は知らなかったんだけどね。教えてくれたのはエルフィンの王都ユグルに居た<狂乱王>だよ。<ノーライフキング>になって儀式魔法を使おうとしてきてね、その時に魔法陣を見たから使えるんだ」


 「ノーライフキング……!」


 「ミクに一撃で滅ぼされた、何の見所も無かったヤツだよ。儀式魔法を使おうとしたけど、ミクに魔力を喰われて不発に終わり、近接戦闘ではボコボコにされて手も足も出なかった。何一つ上手く行かなかった挙句、さっきから使ってる【浄滅】で塵にされたんだとさ」


 「………のノーライフキングを、赤子の手を捻るように倒すのですか」


 「ミクにとっては、いちいち絡んでくる面倒臭いヤツでしかなかったらしいけどね。ま、神様に創られた最強の怪物が、ノーライフキング如きに負ける事は無いって事さ」


 「ああ、そうでしたな。神が創られたのでした。それならノーライフキングが相手にならないのも当然ですか……」


 「ついでにノーライフキングと違い、ミクが殺すのはゴミだけだしね。あたし達にとったらありがたい限りさ。ゴミどもにとっては地獄だろうけど、それは奴等の自業自得だ」



 輜重の前方に来たミクは、最後の【浄滅】を使う。途端に何もかもが綺麗になっていき、ついでに範囲に入っている兵士も綺麗になっていく。その所為か輜重の兵だけが綺麗になっており喜んでいる。


 ちなみに輜重、魔法使い、弓兵は女性の割合が結構高い。歩兵は殆ど男なのに対し、魔法使いと弓兵は半数近くが女性。そして輜重に至っては8割が女性である。女性を入れると規律が云々と言われたりするが、少なくともフィグレイオでは関係ないらしい。


 これが星全体なのか、それともフィグレイオだけなのかは分からない。そんな事がふと頭の中に浮かんだので考えつつ、ミクはシャル達と別れて最後尾に戻っていく。


 綺麗になったからか喜んでいる輜重の兵である女性兵。中にはアレの臭いをさせていた兵士も居たのだが、今は綺麗になったからだろう、スッキリした顔をしている者が多い。


 【清潔】を使える者も居るだろうが、だからといって誰も彼もに使っていたら戦いに使えなくなる。戦争では何が起こるか分からないから、魔力は節約させる筈だ。


 儀式魔法をポンポン使うミクには関係ないが、本来なら節約するのが当たり前である。だからこそ臭いを振り撒いていた女性兵士が多かったのだろう。そんな事を帰って話す。



 「あー、アレはねえ。戦場でのお金稼ぎだよ。各国ともに女性兵士を連れてきてるけど、町を制圧した後でおかしな事をさせない為に、自国の女性兵士で解消させてるんだ。ちなみに引き換え券が渡されてて、戦争後にお金に換えてもらえるらしいよ」


 「そうそう。だから女性兵士にとっても稼ぎ時ってわけ。戦争に志願する女性兵士が多いのもそういう理由からだよ。女性兵士とする為の引き換え券は国から支給されるし。ちなみにだけど、自国の女性兵士にしか使えないらしいけどね」



 成る程、そういう理由で臭かったのか。と納得するミクであった。


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