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0389・第3王子の持ち物について相談




 「共犯者っていう言い方が悪かっただけで、別に犯罪という訳じゃないのよ。簡単に言うと、わたし達は門を破った後に歩いて戻ってたの。そうしたらミクが森の北の方で動いている気配を発見してね。そいつらに近付いたら剣を抜いてきた」


 「剣を抜いてきたという事は当然敵という訳でして、私達は6人全てを殺しました。戦場ですから当たり前ですし、奇襲を企てている可能性もありましたので。その後、ミク殿が死体を回収。本体空間へと送りました」


 「本体空間?」


 「ガルドクス、ミクは神様に創られたって言ったろう? ここに居るミクが全てじゃないんだよ。いや、正しく言うと、ここに居るミクは一部なのさ。本体は本体空間と呼ばれる場所にいて、そこに居るのは肉の塊だ。肉の塊が宙に浮いてるんだよ」


 「………」


 「神様の創った者が普通の姿をしてる訳ないじゃん。腐った者を喰う者だよ? それに相応しい姿をしてるのは当然でしょ。そのうえミクにとって人間種は美味しいらしいしね。そういう意味でも積極的に食い荒らすように出来ているって事」


 「そうですね。ミク殿の話を聞いていると、神様は意図的に人間種を美味しく感じるように創られた。そう思えます。そうすれば積極的にミク殿が腐った連中を食べると思われたのでしょう」


 「ああ、うむ。………理屈としては分かるのだが、心がついてこぬと言うか何と言うか……」


 「まあ、言いたい事は分かるけどね」


 「話を戻すけど、ミクはそこに死体を持っていって、レティーというブラッドスライムに脳を食わせるの。何故ならレティーは脳を食べる事で、その人間種の知識や記憶などを奪えるから。これはレティーがミクの血肉を取り込んだ事で出来る様になった事らしいわ。だから他のブラッドスライムには出来ない。そうでしょ?」


 『そうですね。ドンナもその能力を持っていませんので、間違いなく私だけの能力です』


 「うおっ!? 頭の中で声がするとは、何ともおかしな気分だのう」


 「それがレティーの声だよ。こうやって意思疎通が出来るうえに、記憶や知識を奪えるのさ。ちなみにドンナというのは、あたしの連れてるブラッドスライムだね。今はミクに預けてあるけど」


 『シャルが血を飲ませないのが悪いのよ! 食事でも大丈夫だけど、ここの食事は栄養が偏ってる物が多すぎ! もう少し栄養バランスに気をつけないと、兵士が病気になるわよ』


 「流石に兵士も戦場で美味くない物を食いたくないからねえ。ある程度の物は出るさ。それでも似たような物になるし、節約しなきゃいけないから仕方ないよ。それに栄養より味を選ぶしかない。不味いと確実に士気が落ちる」


 「まあ、それはそうよね。体に良いとはいえ、美味しくない物じゃ厳しいでしょう。っと、話がまた逸れた。脳を食わせて知識や記憶を奪うんだけど、わたし達が殺した中に豪華な服を着たヤツが居たのよ」



 アレッサの一言を聞いた瞬間、それぞれの者が顔色を変えた。<鮮烈の色>は驚き、シャルとガルドクスは渋い顔をしている。おそらくミクが気付かなければ逃げられていたと思ったのだろう。



 「……うん、まあ。危なかったね。おそらくは王族だろうけど、まさか逃げられるトコだったとは。下手に他国へ亡命されると面倒な事になってたよ。ミクのお手柄だね。何処の国だろうと密かに暗殺するような相手だけど……」


 「我が国に来たら、陛下が余計な事を言い出しかねませんな。エルフィンのエルフ、しかも王族など。<百害あって一利なし>ですぞ」


 「まったくさ。碌でもない奴等が他国へと逃れるところだった。危ない、危ない」


 「実際、正しく言うと第3王子だったみたい。そいつは最初に暗殺者をけしかけたヤツで、王太子に放ったけど失敗したんだってさ。その後、他の王族が居るところで糾弾されて、王城を出る際に宝物庫の色んな物を持って出てたってわけ」


 「成る程ねえ。そこにあった金銭を渡すから黙ってろ、それが共犯って事かい」


 「ああ、そういう事か。それならば……飲んでもよいな。我が国に迷惑は掛からぬだろうし、第3王子など知らぬ存ぜぬで済む。仮に【真偽判定】を受けても問題ない。ワシは第3王子とおぼしき者しか知らぬしな。しかもそやつは戦場で殺されておる」


 「戦場にいて剣を向けてくる奴を殺すなというなら、お前が説得してみせろって話だ。そんな事は出来やしないんだから、妄想をホザく奴なんぞ無視すりゃいい。もしくは戦場に放り込めば済む」


 「それが一番いいでしょう。マヌケにはマヌケの死に様というものがありますでな。その通りにしてやればよいのです。それこそが相応しい末路でしょう」


 「中に入っていたのは金銭と宝石と魔道具。そのうち魔道具は今は渡せない。何故なら複製中だから。おそらく明日には終わってるだろうから、そうしたら持ってっていいよ」


 「………魔道具を複製できるので?」


 「できるよ? 私にとっては当たり前に出来る事でしかない。だから部屋を温める魔道具とか、冷やす魔道具を量産して渡したんだしね。シャルも持ってるでしょ?」


 「持ってるよ。あれ使ってると涼しく寝られるから助かるんだよね。日中はダンジョンに行ってるから暑くないんだけど、帰って来て寝る時には暑いからねえ。まだ夏本番じゃないからいいけど、夏本番でエルフィンは大変だったろうさ」


 「第3王子が持っていたアイテムバッグを狙って、騎士達が取り戻そうと襲ってきてたみたいだけど、それはおそらく<射出機>を持ち出したからだと思う」


 「「「「「「「「<射出機>?」」」」」」」」


 「これぐらいの大きさの筒で、広さはこれぐらいの円筒形の魔道具。中に入れた物を射出できて、結構な距離まで飛ばせるってもの。鉄球などを使えば、木製の門なら十分に壊せると思う。もしくは火の着いた槍を飛ばすとか」


 「その槍が刺さった所から門が燃え広がると。鉄の門ならともかく、木製の門なら開けられる武器ね。しかもそれ、遠くから敵兵を狙えるんじゃないの?」


 「狙えるとは思うけど、門と違って標的が小さいから難しいんじゃないかな? 代わりに魔石で使えるから、誰でも使える武器なんだよね。延々と石とか飛ばされたら堪ったものじゃないと思う」


 「確かに敵が持っているとなれば厄介な魔道具ですな。今はこちらに有るようですから問題はありませんが……」


 「他には何があったんだい?」


 「他は浄水機、破砕機、温熱機、爆音機に攪拌機だった。水を綺麗にする魔道具。物を破砕する魔道具。中の物を温めたり加熱する魔道具。通した声を何倍にも増幅する魔道具。そして何かを掻き混ぜ続ける魔道具。おそらくはユグル近くのダンジョンで出た魔道具だろうね」


 「それにしても妙な取り合わせというか………魔道具に一貫性が無いね?」


 「適当に持ち出したのか、そもそもこれだけしか無かったのか。その辺りは分からないの?」


 『第3王子は宝物庫に1つしかない魔道具を持ち出しています。おそらく珍しい物の方が良いと判断したのでしょう』


 「それでか。妙におかしいと思ったら、魔道具の価値も分からずに適当に詰め込んでたとはねえ。で、その中に1つ当たりがあったと」


 「浄水機も割と当たりの部類じゃない? 水が綺麗に出来るなら、行軍などでお腹を壊さなくても済むし」


 「原理的には簡単だよ。水の入った容器に小さいコップを沈めて、そこに【清潔】を使うようなもの。そうすると水の中の汚れがコップの底に溜まるでしょ? それをやる魔道具ってだけ。ただし自動で水を循環させるけど」


 「つまり?」


 「つまり水に浸けて放っておけば、自動で綺麗にしてくれる魔道具」


 「十二分に便利じゃない!」


 「まあね。とはいえ人力でも出来る事だよ。魔道具じゃなきゃ無理って訳じゃない」


 「それは……そうだろうけど」



 何だか微妙に納得がいかないアレッサであった。


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