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0381・罠と魔物の死体




 下らない話を聞くのも止め、ミクは更にウロウロとしていく。町中に入ってきているにも関わらず誰も気づく事は無い為、当たり前のように町中を闊歩かっぽしている。といってもムカデが歩いているだけなので、存在感がある訳ではないが。



 (それにしてもアレだね、この町は大して見るべき場所も無いし、似たような建物が続いているだけでしかない。前に王都ユグルに行った時には、もうちょっと色々な建物があったけどなー)



 いわゆる豆腐ハウスみたいな物が並んでいる大通りを進みつつ、それなりに大きな町なのにと首を傾げるミク。別に町中なら木の建物でいいんじゃないかと思うのだが、何故か石の豆腐ハウスが並んでいるのだ。


 王都ユグルの建物は木製の建物もあったのに、何故かここは石製の建物ばかりである。何というか頑丈さだけを求めて作られたような、そんな印象を受けるミク。



 (もしかしてここは砦だったとか? それとも森に入植しようとした初期の町なのかな? だから頑丈さが優先された……と考えれば分からなくもないんだけど。でも今の時季は蒸し暑いと思う)



 そもそも森の中は蒸すというか湿度が篭もりやすい。間伐などがされている訳でもない森は過ごすのに厳しく、夏の時季は蒸し暑いだろう。その状況で石製の建物は大変だろうなと思いつつ、ミクは町中を見て回る。


 ここエルフィンの闇ギルドは<黒の墓石>以外まったく手をつけていないが、そもそも手をつける以前の問題であった。どうもエルフィンを拠点に活動する闇ギルドは、エルフの組織だけらしい。


 というより、エルフ以外の種族は明らかに浮いてしまい目立ちすぎるのだ。よって暗躍など出来る筈もなく、闇ギルドとしての活動など無理である。<木を隠すなら森の中>と言うように、エルフの中にはエルフしか隠せないのだ。


 国防という観点から見れば大きくプラスなので、これはエルフが上手くやっている部分であり文句を言うところではない。別に多種族国家が必ず正しい訳ではないのだから。



 (とはいえ、それと見下しや差別は違うけどね。でも他の種族を極力入れない事で国防を強化しているというのは、決して間違いじゃない。それぞれの国の方針の違いというだけだし)



 色々と見て回ったものの、然して見るべき所も無く終わった夜の観光。ミクは町の外へと出ると、町の周りも調べていく。そもそも入り口まで調べれば事足りるので、わざわざ町の周囲まで調べる意味は無い。


 にも関わらず調べているのは、単なる暇潰しでしかない。そうやって調べていると、奇妙な物を発見した。罠があり、そこに魔物が掛かって死んでいるのだが、何故か放置したままなのだ。


 これは忘れているのだろうか? それともワザとこうしているのだろうか? 気にはなるものの、別に解き明かす必要も無いのでスルーし、アンデッド化しないように【聖浄】の魔法を使っておく。


 そして新たに色々探すと、何故か複数の場所に同じような物があった。



 (これって絶対にワザとでしょ。何でこんな事をしてるのか知らないけど、流石に野蛮すぎない? 何ていうか生贄でも捧げてるつもりなのか、それともアンデッドをつく……あれ? そういえばエルフって確か【死霊術】の研究を……って、まさか!)



 ミクは慌てて【聖浄】を使ってアンデッド化を防ぎ、触手で死体を切り刻む。こうする事によってアンデッドにはならないのだが、本来なら【聖炎】で焼きたいくらいである。流石に聖なる炎は隠せないので使えず、仕方なく死体を損壊しているのだ。



 (時間が経っている死体もあるし、そもそもエルフを結構食べたから、そこまでして食べたい訳でもないんだよね。だから壊してるんだけど、どうやらこの町の中に【死霊術】を使う奴が居そうだ。後でそいつは殺す)



 ミクが「喰う」ではなく「殺す」と言う事は、それだけの罪を犯しているという事である。もちろん十分に食べているというのもあるだろうが、【死霊術】で死体を利用する事は許されない事なのだ。


 自分の手で倒した相手をアンデッドとして復活させるならともかく、罠で捕らえて放置し、死なせた死体を使うなど言語道断。それは<死の神>や<生命の神>に<魂の神>が激怒する案件である。


 だからこそミクは「喰う」ではなく「殺す」と言ったのだ。ちなみにリッチなどが【死霊術】で死体を操る事に対し、神々は何も言わないし興味も無かったりする。元々自然発生したアンデッドは負の想念を集める触媒のような物なのだ。


 それを浄化する事によって星全体の負の想念を減らす。アンデッドというのはそういう存在である為、アンデッドがアンデッドを増やす事に関して神々は目くじらを立てたりしない。ちなみに<狂乱王>に関してはグレーとなる。


 <狂乱王>がグレーなのは、【死霊術】を利用したものの狂ったからである。アンデッドと同じように狂った以上、自分から負の想念を集める触媒と化したのだ。星の役には立っている為、自らアンデッドになったもののグレーで済んだと言える。


 あの場にミクが居た為、神々が何かをする必要もなかったのは事実であり、神々としてはグレーな奴が消えたというだけだ。しかも<ノーライフキング>になる程に負の想念を溜めこんでいた奴である。随分と清浄になったであろう。


 それでも星全体からすると少ないのは仕方がない。流石に何億という人間種が出す負の想念は並大抵の量ではないのだ。



 (それにしても数が多いね。相当の命を弄んだ事になるんだけど、これをやった奴、もしくはやらせた奴は自覚してるのかな? まあ、理解なんてしてないか。だからこそ神どもが私を創ったのだし)



 まさしく神のいうところのゴミである奴が居た事に、ちょっとした新鮮味を感じつつ、ミクは罠に捕まったり殺されたリしている死体を壊していく。もちろん壊す前に綺麗にしているので、作法的にも問題なし。


 そうやって町の周囲の罠を潰しつつ、死体も全てアンデッドにならないようにしていった。



 ◆◆◆



 死体のアンデッド化を阻止した後、ミクは素早く町に入り、一番大きな屋敷に向かう。ここのトップなら全て知っているだろうし、知らないなら唯の職務怠慢である。ならば喰われても仕方あるまい。


 【死霊術】などという手段を想像させなければ喰われずに済んだのだ。しかしエルフィンが国家として研究していた以上、死体が大量にあれば疑われるのは当たり前である。


 ミクは町の中央にある、石製の2階建ての建物に入り、中に居る人物1人1人の生命反応を調べる。すると地下にも反応があるのを発見。屋敷の中から行けるだろうとウロウロ調べていると、早々に階段を見つける。


 そこから地下に下り、地下室の扉の隙間を抜けると、一人の老人エルフがベッドで寝ていた。室内は豪華な装飾などがある為、こいつがこの町のトップであろうと決め喰らう。



 (本当に【死霊術】を使う気だったのかは分からないけど、既に可能性がある時点で問題なんだよね。それに敵だから多少無茶しても神どもは何も言ってこないし)



 それが分かったうえでミクもやっている。流石に適当に喰うのは危険なので、その辺りはしっかりしているのだ。さっさと転送し、レティーが脳を食った結果は果たして……。



 『主の予想通りです。こいつらは明日、死霊術士に【死霊術】を使わせ、アンデッドを使ってフィグレイオ軍を攻撃する気でした。罠に嵌まっているフィグレイオ軍に矢を射かけ、その最中に襲わせる気だったようです』


 『成る程な。それにしても【死霊術】を使うとは……こいつらは自分達のイメージが最悪になる事を自覚しているのか? 戦争にアンデッドを利用するなど、間違いなく世界中から敵視されるぞ』



 本体はあり得ないだろうと思っているが、あり得ない事をするマヌケがエルフである。でなければ王の寝所をアンデッドが守ったりなどしない。


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