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0375・大休止




 あれから2日。ついに第3の町近くの森にやってきた。ここでフィグレイオ軍は大休止をする事にし、今日一日は休みとする。今はまだ昼前なので、昼食の後で各々は魔物を狩りに行く。最短で明日の朝には食えるので、多くの兵士が楽しみにしていた。


 待ちきれない者達は早々に森に狩りに行き、森の中へと足を踏み入れる。もちろん町に続く道には誰も行かない。どんな罠が待ち受けているかも分からないからだ。そんな危険な所に行っては、命が幾つあっても足りない。


 なので斥候専門の兵士が出て、明日の進軍経路を虱潰しらみつぶしに調べさせるのだ。罠があれば解除させ、明日の進軍に影響を出させない。その為の大休止でもあり、無策で森に突っ込むほど彼らも愚かではない。


 その間、他の兵士達は魔物を狩り、肉を手に入れてくる。ミクが食べているように、戦場では内臓類も普通に食べられているようだ。普段は食べないようだが、一種の戦場食であろう。普段から食べろと思わなくもないが。


 それはそれとして、巨大蛇やウサギの魔物に猪など。食べられる魔物を次々に持ち帰っては捌いていく兵士達。別に綺麗な毛皮を得なければいけない訳ではなく、唯々食べる物の為の解体だ。よほど酷くない限りは許される。


 それらを見つつも、ミク達は余っている肉を使って料理をしていく。なんと言っても、ミクはレティーとドンナの為に毎日狩りに出ており、ここ2日はアイテムバッグの中に狩りの成果を溜めこんでいる。これを処理しなければいけないのだ。



 「おや? 前と中央の連中も狩りに出かけたいみたいだね」


 「仲良くなっていい事ね。中央のとある2人は仲良くなりすぎだけども」


 「ちょっとした林の中で致すというのは、流石にいい事とは思えません。我慢が出来ないのでしょうか?」


 「男女が燃え上がったら、そんなものなんじゃないの? 仲が悪いよりはいいでしょうよ。本当に駄目なら、あそこの御意見番が注意するでしょうし」



 前方の馬車と中央の馬車でグループを組み、狩りに出るのも当たり前になった。こういった所で他の探索者と知り合い、お互いに情報交換をしたりする。言葉は悪いが、探索者の持つ情報や技術などはそこまで優れている訳ではない。


 大半の者が先輩から教えを受けたか我流なのだ。だからこそ情報交換などは普通に行われる。何故ならそれが生き残るうえでとても重要なものとなるからだ。多くの事を知っているだけで生存確率は上がる、それは間違いの無い事実となる。


 当然だが情報には対価が必要なものの、簡単なものであったり誰でも知っているものは対価なしに教えてくれたりもする。それは繋がりを持つ為であり、それが最悪の時の助けになったりするのでバカにならない。



 「そうやって助けてもらった御蔭で、何とか生きてるってヤツも居るしね。それだけじゃなく、引退した後の仕事にありついたりとか、あるいはその縁で結婚するとかもあるんだ。だから本当に助け合いっていうのはバカに出来ないのさ」


 「まあ、助け合いを馴れ合いと言ってバカにするのは一握りの連中だけなんだけど、だからこそ連中はバカにされ続けるのよ。自分達でなんでも出来るなんていう自惚うぬぼれを持つんだから、そんなのマヌケでしかないでしょ」



 そう言うウェルドーザに対し、アレッサは色々な意味を篭めて料理するミクを見つつ、その言葉に対して返事をする。



 「本当に何でも出来るのは居るけど、それは例外過ぎるしね。規格外を持ち出して話をしても意味は無いからしないけど、助けないという事は助けられないって事だと理解できないのね」


 「そういう助けを受けない自分達が格好いいと思ってるんだよ。ああいうマヌケは何処かズレてるんだけど、大抵は誰かチームメンバーが死んだりとかして理解するね。そこまでにならないと理解出来ないっていうのもアレだけど」


 「バカってそんなものだから仕方ないわよ。っと、料理が出来たみたいだから昼食を食べてくるわ」



 アレッサはそう言ってミクとティアが居る場所へと歩いていく。そろそろ自分達も食事かと思いつつ、ファニスとウェルドーザも移動するのだった。



 ◆◆◆



 昼食後、ミクは森に入って獲物を獲りに行く。当然、第一の目的はレティーとドンナの食事だ。2匹共に同じ物を食べているが、それと血を摂取する事は別である。そんな2匹の為にウロウロするが、兵士がウロウロしているからか近くに生命反応が無い。


 困ったなと思いつつ森の奥の方へと行くと。沼地になっている場所を発見した。泥の中の生き物は泥臭いので泥抜きをしなければいけないが、いちいち面倒なのでやる気は無い。なので無視しようかと思ったのだが、思いがけない物を発見する。



 「あれ? これって米じゃないの? こんな所にあったんだ。………当たり前だけど時季的に収穫はできないね、残念。とはいえ天然であるって事は、エルフィンって米を栽培しているのかな? 酒の神が語ってたけど、私にとっては食べられるって事の方が重要だしね」



 何故か酒の神はミクにおかしな知識を与えているようだが、神々などそんなものとも言える存在だ。適当な愚痴を言いに来たのか神託なのか分からないものも多く、そこもミクが神を敬わない理由の1つである。


 更に色々と調べていると蓮の花を発見。しかし花が咲いているという事は、まだレンコンは出来ていないという事だ。食材が増えると思ったがそうではないのでガッカリしつつ、ミクは移動していく。


 他にもないかと探して沼地を迂回していると、突然鱗を持った生き物がミクの足に噛みつこうとしてきた。近くに居るのは知っていたが、手を出して来ないなら放っておくつもりだった。しかし手を出してきたならば容赦はしない。


 ミクは素早く槍を取り出して頭を一突きにして仕留めた。頭を突き刺すというか、貫通した槍を引っこ抜いて魔物を調べる。平たい体をしているが鱗が硬く、口と尻尾が妙に長い魔物である事が分かった。


 何処かの青い星の者であればわにと言うのだろうが、それを知らないミクは口の長いヤツと勝手に名付ける。適当に切ってみると血が出てきたのでドンナに血抜きをさせ、それが終わったら収納。沼地の魔物だから期待はしないが、一応帰ってから調理してみようと思うミク。


 沼地を迂回する間に3度襲われたが、3回とも頭を穿って殺害し、血抜きをして収納した。結局その程度しか手に入らず、ミクは仕方なくアレッサ達の下へと戻る事に。特に異変も何も無く、すんなり戻る事ができた。



 ◆◆◆



 アレッサ達の下へと戻ったミクは、先ほどの口の長いヤツを取り出す。すると一緒に居たウェルドーザが驚く。



 「それゲーターじゃない!? もしかして沼地に近付いたの? この魔物は大きな沼地に沢山居る魔物で恐れられてるヤツよ。身は泥臭くて食べられないけれど、【清潔】の魔法で落ちるって聞いた事があるわ。そして近付くと足を食い千切られるっていう凶暴な魔物なんだけど、ミクだしね……」


 「むしろ逆に食い千切らない? ミクなら。そんな相手に手を出したんだから、このゲーターとかいう魔物の方がバカだっただけだね」


 「魔物がそんな事を知ってる訳が無いんだから、仕方ないんじゃない? むしろどんな味がするか気になるし、少し食べさせてほしい」


 「まあ、いいけど、とりあえず解体してからね」



 そう言ってミクは解体ナイフを入れていく。本来なら硬い鱗であり簡単には解体など出来ず、専用の刃物でしなければいけないのだが、ミクの解体ナイフはあっさりと切り裂いた。


 ウェルドーザはワザと言わなかったのだが、言わなくて正解であり、予想通りだったと遠い目をしている。面白いほどに抵抗無くスパスパ切っていくのだから、遠い目になるのも仕方ない。


 ウェルドーザどころかエルフにとって、ある意味で信じられない光景なのだ。ミクが解体している様は。


 その鱗の硬さと噛みつきの強さをして、<沼地の悪魔>と言われるのがゲーターなのだ。それをあっさりとスパスパ切るのだから、この世の光景とは思えないのであろう。


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