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0374・第3の町へ




 朝食も終わりミク達は食器や料理道具を綺麗にしてからアイテムバッグに仕舞う。<鮮烈の色>も与えられているアイテムバッグに仕舞ったら、後は見ておくだけである。お気楽な立場と言うのはおかしいが、自分達が攻めるわけではないので休んでいる。


 最前線では再び魔法使いの部隊が門を攻めているが大して効果は無く、十分に撃ったらミク達が呼ばれ、1つ目の町と同じく【火球】で攻めていく。もちろん門が焼け落ちるまで攻撃するのだが、ここでは全力で守備兵が守らなかった。


 おそらく1つ目の町の失敗も情報として得ているのであろう。だからこそ無理に守ろうとはせず、攻めてくるフィグレイオ軍に相対する為の物を用意している筈だ。それが何なのか分からないが、2つ目の町は簡単に陥ちないかもしれない。


 門が焼け落ちた後にシャルにそう言い、ミクは最後尾に戻っていく。シャルは悩んだものの仕方ないと溜息を吐くと、自身が一番前で突っ込んでいった。


 流石にそれは予期していなかったガルドクスは慌てたものの、既にシャルは町に向かって走って進んでおり、他の兵も町へと向かっていく。【精神感知】で何かを企んでいるのか、多人数が固まっている地点があったので、そこへと【爆熱球】を放つシャル。


 それは見事に敵に直撃し、その爆発と熱であっと言う間に死体に変わる。突然の高威力攻撃にパニックを起こす守備兵。ここが狙い目だと突っ込むシャル。そしてそれに続く兵士。



 「突っ込めぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 「「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」」」」」」



 そこからは乱戦であり、手当たり次第に敵を殺し進むシャルと、それに負けじと追いかける兵士。その圧力に抗えず流される敵の守備兵。早々に大人数が一気に攻めたからか、結局大した抵抗もなく陥落した2つ目の町。


 勝鬨かちどきを上げるシャルと兵士達を遠くから見ているミクは、自分があそこに混ざっても良かったなと思っている。それと、どうやらシャルは傷一つ負うことなく勝利したらしい。


 そのまま見ていると、兵士達と共に輜重の者達が町へと入って行く。これは最初の町でもあったが、中にある物資を買う為だ。流石に奪っていくのは体裁ていさいが悪過ぎるうえ、どこで情報が漏れるか分からないので禁止されている。


 本物の蛮族国家ならばやるのだろうが、流石にフィグレイオはやらないようだ。これがジャンダルコならやるだろう。蛮族というより怨みや憎しみが元だが、それだけの事をエルフからされてきているので各国も納得はする筈だ。


 しかしフィグレイオがそれをする訳にもいかないだろうし、国家のイメージは国王のイメージでもある。流石に国王のイメージを失墜させる訳にはいかない。何処かの青い星では「そんなの関係ねえ」とばかりに酷いものであったが。


 そんな事をつらつらと考えていると、輜重の者達や兵士が食料を運んできた。どうやら無事に買えたらしい。あの町の食料は減るが、これは戦いに負けたのだから仕方ない。奪われる訳でもなければ買い叩かれる訳でもないのだ。


 甘んじて受け入れなければいけない事であり、根こそぎ買われる訳でもない。町に必要な食糧は残る。まあ、それなりに厳しいかもしれないが飢える訳でもない。



 「ただし、この国のエルフどもなら村から奪おうとするでしょうね。その結果、村との間で新たな争いになるんじゃないかしら。場合によっては村の方が団結してエルフどもを倒すかもね」


 「そうなったらエルフィンは引っ繰り返るでしょうね。そもそもエルフィンにおいてエルフは多数派なのですが、そこまで多数という訳ではないのです。彼らはその意味を理解しているのでしょうか?」


 「それが分かってたら、<狂乱王>の始めた見下しや差別に同調なんてしないでしょ。エルフ以外も十分に多いって事は、エルフの数が減れば引っくり返されるって事なのにね」


 「そうなのですが……むしろ、だからこそ<狂乱王>のような者が登場したのでしょうか? 元々は数が拮抗していて危機感を持ったのか、引っくり返されない強い芯が必要だったのかも」


 「………分からなくもないけど、それで見下しや差別ってどうなのよ? 自分達が優れているなんていう妄想と、世界で一番なんていう傲慢。話にならないでしょうし、それに迎合するっていう頭の悪さがエルフにあったって事の証明よ? それ」


 「それもそうですね」



 何をどう考えようとも、今のエルフィンはバカの巣窟でしかない。驚くほどに頭が悪く、妄想の中に沈んでいるだけである。結果として周辺国から攻められているのだから、マヌケにも程があるだろう。


 しかも協力してくれる国や助けてくれる国は無し。それもまた、エルフィンのエルフ達が原因なのだから自業自得としか言い様が無い。しかし見下しや差別が当たり前の彼らは、最後まで自分達の責任を認めないだろう。所詮はその程度である。



 「まあ、あいつらが自分達の責任を認めるなんてあり得ないでしょうね。世界最高民族のエルフに嫉妬したとか、蛮族が攻めて来て野蛮にも奪っていったとか。嘘や捏造で自分達を被害者にするでしょうよ」


 「それまでにどれだけの加害行為を行ったのかを忘れ、自分達に都合の良いものだけを妄信する。始末に負えませんし、人間種として最低すぎます」


 「だから<鮮烈の色>のウェルドーザみたいに、エルフィンから出て行くエルフが居るのよ。逆に言えば、まともじゃないエルフがこんなに居るって事なんだけど」



 ミクは話を聞きながら、ますます中華思想や小中華思想の民族にそっくりだなと思ったが、口には出さなかった。説明が面倒なのと、他の星の事なので話しても仕方ないと思ったからだ。


 そもそも似ているとはいえ、それは醜さがそっくりなだけで、それ以外は全く似ていないのだ。心根の醜さだけが似ているというのも、それはそれでどうなのかとは思うが、そこはスルーしたミクであった。


 食料を積み込んでいるのを見つつ、毒などは調べたのだろうかと疑問を持つが、とりあえず口には出さず見守る。ここでミクが口に出したとて反発されるだけだろうし、面倒な事にしかならないだろう。


 それを思えば、後で問題が起きた際に何とかしてやればいいかと思うのであった。



 ◆◆◆



 食料の積み込みなどを終わらせたフィグレイオ軍は出発していく。この星では戦争で奪った町などで休む事はない。理由は簡単で、いつ暗殺されるか分からない場所で休むのは危険すぎるからだ。


 護衛で固めればいいと思うかもしれないが、そもそもどんなスキルを持つ者が居るか分からない以上、迂闊な事をすると多くを危険に晒す。町で休むより、軍で固まって寝泊りした方が安全で守りやすい。


 なので町に泊まるなんて言い出す者は、敵と内通しているか寝首を掻かれたい阿呆だけである。ミク達ならば何の問題もないが、町中というのは敵の勢力圏でしかない。そこに自ら喰われに行くのは愚かの極みだ。


 だからこそ町から離れ、既に第3の町に向かって出発しているのである。そして第3の町は厄介な事に森の中にあり、そこは既にエルフのテリトリーと言っていい場所なのだ。


 ここからがエルフィン攻めの本番であり、ここまでに被害が殆どないのはフィグレイオにとって恵まれている事である。全ては誰かさん達が参戦した影響なのだが、そこはガルドクスも幹部の全員もが分かっている事だった。


 彼らの本来の予想よりも遥かに死亡者が少ないのだ。流石はスヴェストラ将軍というところであろう。実際にはミク達の門攻めの御蔭なのだが、そこにシャルが絡んでいるというだけでコレである。


 人望がある者はこうなるとはいえ、現実を正しく認識しろと思うシャルであった。


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