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0370・町の隠し通路と再びの奇襲




 林のある場所があったので入り、中で獲物を探すも見つからなかった。更に動き回って小さな森を発見。生命反応があるので近付くと、そこには猪が居た。触手で素早く首を落とし、レティーとドンナに血抜きを任せる。


 その間にも生命反応を探しているのだが、妙な反応があった。最初は町の北側に行っていたのだが、今は南側にいる。そして何故か、近くの地面の下に幾つかの反応があるのだ。その反応は何故か上がってこない。


 地面の下近くで息を潜めている。ミクは気になったものの、意図的にそのまま離れた。もちろんワザとであり、透明の触手を出したままだ。ミク本体はともかく、細い細い触手であれば感知はされないだろう。


 そう思っていると、触手の先の目が人間種の顔を捉える。やはり地面の下に穴があったらしい。妙に生命反応の数があると思ったのだ。どうやら町から繋がっている地下道の抜け穴がここのようだ。


 ミクはそのまま気付かないフリをしつつ、獲物や食べ物を探す仕草を続けた。もちろん透明の触手は出したままだ。素早く地面から上がってきた連中は、ミクを見つけるやハンドサインで意思疎通を行い、背後から一気に襲ってきた。


 しかし透明の触手に気付けない程度ではどうにもならず、麻痺毒を注入され倒れ伏す。すぐに本体空間に送ったミクは、レティーとドンナの元に戻り、レティーを本体空間へと送る。


 そのままドンナと獲物を探しつつレティーからの情報を聞き、糞尿を捨てながらウロウロとしていく。途中で見つけた大きな蛇も倒し、それの血抜きをドンナに任せている間にレティーをこちらに戻す。


 蛇を収納したらミクはフィグレイオ軍の下に戻り、まずはシャルの所へと行く。時間が掛かったもののアリストラが来てくれた後は素早くシャルの下へと移動。ちょうど美味しくない食事を食べていた。



 「ミク、ちょうど良かった。干し肉を持ってたらある程度くれないかい? 幾らなんでも飽きてきてね。まあ、文句を言うのは筋違いなんだけどさ」


 「ワイバーンの干し肉ならそれなりにあるからいいよ。それはともかく、町の南の森の中に隠し通路の出口があった。そこから出てきた奴等に襲われてさ、返り討ちにしたのまでは良かったんだけど、奇襲してくる可能性が減ったかも」


 「あらら。とはいえ遭遇戦じゃどうにもならないし、そんな所に隠し通路の出口があるなんて思わないしね。仕方がないよ」


 「まあ、そう言ってくれると助かるよ。ここでわざわざ待っている時点で、どう考えても挑発なんだろうしね。それを邪魔しちゃったかと思ったんだけど、どうやら大丈夫みたいで助かったよ」


 「連中はどっちみちこちらを見下してるからねえ。必ずや奇襲してくるよ。見下していた相手に見下されるなんて、絶対に許せないだろうしね。だからバカなんだけど、奴等はバカだという事すら理解しない」


 「そうみたいだね。それはともかく、向こうの守備兵の数は約230。で、守りは100ほど置くみたいだったよ。私が斥候を殺したからどれぐらい来るかは不透明だけど、100ぐらいは奇襲してくるかも」


 「それなりに大所帯だねえ。100で騒がれると、予期していなければ大混乱に陥っていたかもしれないよ。ガルドクスはそれが予期できないマヌケじゃないけども」


 「少なくとも斥候5人を殺して得た情報だから、その程度だね。流石に嘘を教えられてたら分からないから、おそらくとしか言えないけど」


 「十分さ。それだけの情報があれば、後はこちらで何とかするよ。昨日と同じく輜重に奇襲される可能性は高い。そっちの方はミクに頼むよ。昨日と同じように輜重を守ってほしい」


 「それは依頼だから当然守るよ。それに昨日の調子だと大丈夫だと思う。毒は治療したから命を落とさなかったし、輜重隊も追い駆けなかったみたいだからね」


 「その方がいいよ。一部追い駆けた歩兵が毒にやられたみたいだけど、迂闊に追い駆けるなっていう命令を守らないからそうなるのさ。それに関しては命令をきかない奴が悪い。ミクが考える事じゃないよ」



 そうシャルは言うものの、ミクは特に気にしてなどいない。その後に少し話したら離れ、ミクはアレッサ達のいる場所へと戻っていく。途中で見たリュウハクは隣に居るメイファにあたふたしていたが、何だか妙に初々しい感じである。


 タイランやリーシュンは笑顔だが、リュウレンはそれを見てジト目をしていたのが印象的だった。


 戻ったミクは、何というか形容し難い料理を目の当たりにしている。必要な物は置いてから出たが、失敗とも言えない微妙な物が出来上がったらしい。試しに一口食べてみたが、中途半端すぎてミクが言葉にするのを止めた程なのだ。


 不味いなら不味い、美味いなら美味いでいいのに、何故か中途半端な味なのである。作り直すまでもなく、しかし美味しい訳でもない。ある意味で芸術的なくらい、どうにもならない料理である。


 そんな食事をさっさと終え、ミクはアレッサとティアと<鮮烈の色>に作戦を教えておく。シャルから聞いてきた事を聞くと、若干面倒臭そうな顔をする6人。



 「昨日も襲ってきたのに、今日も襲ってくるなんて面倒な連中ね。向こうからすれば、それが一番こちらに打撃を与えられるんでしょうけど。それに付き合わされるこっちの身にもなれって言うのよ」


 「それでも私達はまだマシですけどね。ミク殿が不寝番をしてくれますし、絶対に安全ですから。他の人達は非常に大変だと思いますよ」


 「何人も眠たそうな奴等が居るからね。どこかでゆっくり寝てるだろうけど、それでも人数的に2日に一度は不寝番が回ってくる。それはそれでキツいからねえ。絶対に周りには言えないけど」


 「それはね。ミクは眠らなくても済むらしいし、ずっと起きてるから任せて問題ないし、ついでに誰よりも強い。ならもう任せちゃうよね」


 「任せるというか、一番の人に守ってもらってるってところかな? 流石に連日の奇襲ともなれば大変だけど、第3の町の前で大休止するだろう。そうしないと兵も保たないよ」


 「あの町は王都前では一番大きいから、それだけ守備兵も多く残ってると思う。だからこそ、万全の態勢を整えて攻めると思うわ。何だかこちらの動きは知られてるっぽいし」



 会話も徐々に減り、アレッサやティアは早々に狐の毛皮を敷いて寝る。<鮮烈の色>は毛布を敷いて横になり、さっさと寝始めた。薄いので寝心地は良くないが、何も敷いていないセティアンよりはマシだろう。


 一番豪快に寝ているが、それらは置いておくとして瞑想の練習を始めるミク。気配や魔力や生命力を感知し、敵が近付いてくるのを察知しようと警戒網を敷く。


 フィグレイオ軍の中は反応だらけだが、その外側は反応が少ないので分かりやすい。その反応が少ない外側から大量の反応が来たら、間違いなく敵である。


 そう思いつつ警戒を続けて深夜、遂に敵の奇襲部隊がやってきた。昨日以上の人数で来ており、更には輜重など関係なく襲って来ているらしい。



 『オドー! リュウハク! さっさと起きろ!! 敵が来たぞ!!』



 そう【念送】を送ると、慌てて動き出すオドーとリュウハク。既に一番前の兵士とは戦闘になっているようだが、それでも襲ってきている数は少ない。最も多いのはやはり輜重に対してだ。


 つまり目眩ましとして前方の兵士にも攻撃しているだけで、やはり相手の狙いは輜重で間違いない。現に、前方の兵士の方には散発的に攻撃してきていて最初から逃げ腰だ。


 しかし輜重の方には人数を掛け、確実に糧食を潰そうという意図が見える。ミクはその事もオドーとリュウハクに伝え、徹底的に叩き潰すように伝えるのであった。


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