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0369・第2の町の前まで到着




 『しかし200って事は倍だし、思っているよりも多いね。何でそこまで多いんだろう? 本来なら他国に近い町の防備を重視して多くしない? にも関わらず内側の町の方が人数が多いって……』


 『分かりませんが、元々はそうだったのかもしれません。戦争に人手を多く取られて数が少なくなっていたのでしたら、少ない数でも納得できませんか?』


 『それならまあ、納得は出来るかな? 東から攻めてきた連中を迎撃する為に人数が取られてる、そして王都ユグルが揉めてる事を加えると……おかしな命令が出ても不思議じゃないね。何より、どの王子や王女が口出ししてるか分からない』


 『それこそ二重や三重の命令で人手が取られた可能性もあります。そうなれば大幅に人数が減ったでしょうし、特に守備兵の多い所に命令を送るでしょう』


 『全体も考えず、とりあえず多い所の兵を移動させろ? やっぱり一番上が居ないと簡単に狂うね、国家というのは。<船頭多くして、船山に登る>と言うけれど、実際には<船頭多くして、船座礁す>ってところかな』


 『どっちでも多数の船頭が邪魔な事に変わりはありませんけど、国が無くなるという意味では、船が座礁する方が正しいでしょうかね。揉めている船頭は誰しも譲ろうとはしませんし、譲ったら殺されるなら譲らないでしょう』


 『既に暗殺合戦を繰り返してたりして。既に色々なのが命令しても上手くいかないって分かっただろうし、となると殺して船頭の数を減らさないといけない。そういう発想になってると思うよ。なってなくても誰かが入れ知恵してるでしょ』


 『そうなった場合、真っ先に狙われるのは王太子では? 一番正当な者が一番邪魔でしょうし、それは他の全員に共通した考えだと思います』


 『だろうね。そして王太子は正当なだけに、おそらく協力者も多い筈。だから王太子派からの暗殺者も苛烈に攻めてるんじゃないかな? なかなか良い感じに揉めていてくれそうだ』


 『ですね』



 おそらくそこまで予想は外れていないだろう。誰かが頂点に座り、命令を出さなきゃいけない。上に居る者が多くても現場が混乱して邪魔なだけだ。何も上手くいかなくなるという、典型的な亡国まっしぐらな状況。


 ここからどうするのかを見つつ、今は第2の町の攻略をしていかなきゃいけない。ま、また呼ばれるんだろうなーと思いつつ、ミクは瞑想の練習を始めるのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 翌朝。起きたアレッサやティアに挨拶し、亀の肉と猪肉の野菜炒めとチャパティで朝食にしたら、ミクも後ろから押して進んで行く。昨日の今日で奇襲してくる事はないだろうと思いつつ、それでも警戒は続けるミク。


 東へと進んで行くと良さ気な森を発見。中に入って獲物を物色すると鹿が居たので殺し、レティーとドンナに血を飲ませたら戻る。死体を放置していれば何者かが食うだろう。そう思って放置した。


 流石に熊肉もある以上、新たに鹿肉を得ても仕方ない。このままでは持て余して腐らせてしまう。そんな事を考えつつ馬車へと戻り、改めて熊を出したら後ろから押す。流石に離れている間は熊を収納していたのだ。シングルホーンだけでは牽けないので仕方ない。


 戻ったミクが押していると全体的に止まる。どうやら昼食の時間らしく、止まった場所で早速料理を始めるミク。そろそろ熊肉も食べなければいけないので捌き、解体が終わったら【浄滅】を使ってから収納する。


 このままではシングルホーンが楽すぎて牽かなくなるかもしれない。そう言われたら流石に収納せざるを得なかったのだ。亀肉と蟹の身で出汁をとり、焼いた熊肉と野菜を投入して煮込む。焼いたチャパティを出せば昼食は完成。


 <鮮烈の色>にも熊肉を提供し、ある程度の量を減らす事は出来た。しかしそれでも熊肉は多く、なかなか減らない。これは他の馬車の奴等にも分けた方がいいかな? そう思いながらも休憩中に水を汲みに行く。


 本来なら沸かしてから飲むし、危険の可能性がある水を使う事は無いのだが、今は行軍中なので背に腹は代えられない。それでもミクの場合は【浄滅】を使うので、危険はまず無い。


 【浄滅】でさえ消えない汚れもあるだろうが、それは神が作りだした汚れぐらいであろう。なので星の中の汚れは間違いなく消える。そうして保存される水なのだから、綺麗で長保ちするのだ。


 戻ったミクが馬車に乗り込むのと、出発するのは殆ど同時だった。輜重隊が汲んでいた水に【清潔】を使っていた所為で遅れたのだ。密かに【聖潔】も使っていたが、誰も気付く事はなかった。


 そのまま2時間ほど揺られていると、第2の町に辿り着いた。しかし厄介な事に今は夕方前という時間であり、とても攻められるような時間ではない。しかしこちらが攻めている事はバレているので、対応をとってくるだろう。


 前方のガルドクスや幹部は悩んでいるに違いない。



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 そうミクが予想したものの、ガルドクス達は悩んでなどいなかった。もし通常通りに戦うのであれば、もっと手前で休息にし、改めて翌日の朝に町に接近していただろう。しかし今日の夕方前に町が見える場所まで来たのには意味がある。



 「さて、あたしが言い出したのは事実なんだけど、あんた達は乗り切れるんだね? こんなところで泣き言を言うんじゃないよ?」


 「もちろんですぞ。我らス、相談役殿の話を聞き、我らなればそれを成し遂げられるから了承したのです。それでも怪我人は出ましょうが、第1の町と同じく死人は出ますまい」


 「場合によれば、魔法使いと弓兵が狙われましょう。なので中央に集めておいた方が良いかと。流石に町が見える場所で堂々と一夜を過ごすのです、向こうは腸が煮えくり返っておりましょう」


 「おのれらなど歯牙にもかけぬ。正確に我らの意図は伝わりましょうから、向こうは襲って来ざるを得ますまい。昨日も奇襲してきて失敗しておりますからな。今日もきっと汚名挽回してくれるに違いありませぬ」


 「汚名は返上するものであるが、奴等だと汚名挽回してくれそうですな。愚か者が来るのが楽しみで仕方ありません。来ぬなら来ぬで、根性無しなだけですからな。それも含めて楽しみだ」


 「なーに、他種族を散々見下してるんだ。自分達が見下されるとなると我慢なんて出来ないよ。だからこそ愚かなんだけど、それが分かるなら他種族を見下したりはしない。分かりやすいバカどもだよ、まったく」



 どうやらシャル達は敵を挑発して釣りだすらしい。そして奇襲を逆手にとって叩き潰すという作戦のようだ。向こうの守備兵を釣りだして潰せるのなら、そちらの方が都合が良いのであろう。


 問題は手薬煉てぐすねひいて待っている所に本当に来るのか? という事だが、差別感情を利用すれば容易く引っ掛かるだろう。実際、見下している相手に見下されるなど、エルフィンのエルフには我慢が出来ない事である。


 その程度のマヌケだから挑発に引っ掛かるのだが、そうでなければここまで周辺国に嫌われたりなどしない。肝心な時にでさえ内部で揉めて収拾できない連中なのだ、シャル達からすれば引っ掛けるのは容易い。


 後はバカが網に掛かるまで待つだけだと、ほくそ笑みながら待つのであった。



 ◆◆◆



 ミク達は作戦など関係なく夕食の準備をしており、料理をアレッサとティアに任せ、ミクはレティーとドンナを連れて適当な場所に狩りに出かける。理由は熊肉を渡したからだ。


 簡易食料の煮物に熊肉をブチ込みたいらしく、多くの熊肉を持っていかれたので、早めに肉の補充が必要になったのである。これなら鹿を置いてくるんじゃなかったと、少し後悔しているミクであった。


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