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0365・戦闘の終了と移動の開始




 歩兵達が雪崩れ込んだ後を見つつ、ミク達はシャルに断って後方へと戻る。本来のミク達の仕事は輜重を守る事であり、町の門を破壊する事ではない。なので本来の位置へと戻るのは当然である。


 最後尾に戻ると<鮮烈の色>が何やらジッと見てくるので、前線で何をしてきたのか教えると、何とも言えない顔をした。



 「ミク達ならその程度できて当たり前なのは分かるけど、よく考えると攻められたら絶対に防げないんだと思ってね。エルフィンのエルフだからアレだけど、相手さんもちょっと可哀想だと思わなくもない」


 「必死に守ったところで絶対に守れないしね。知ってたら、むしろ門は捨てた方がいいんだけど、向こうが知ってる訳はないし。なら魔力枯渇まで頑張るのは仕方ないよ」


 「向こうからすれば門で守らなきゃ、1000の兵が雪崩れ込んでくるんだ。そうなったら勝てないと思ったんだろうね。門で敵軍を防ぐのは何処でも基本だから、兵数に差があるほど門を必死で守るよ」


 「でも、その結果が魔力枯渇でダウンとか……。それに【水壁】の魔法を使うのもねぇ。確かに強力な【火球】が飛んできたら使いたくなるのも分かるけど、魔力消費が大きいんだから長くは保たないに決まってるでしょうに」


 「それが分からなかったからやった訳で、分かってたらやってないと思うよ? もしくは自分達はエルフだから、相手の魔力が先に尽きる筈だと思ったか」


 「それって結局マヌケって事よね? 嫌いだから出た祖国とはいえ、愚かに過ぎるでしょうよ。流石に幾らなんでもコレはない。まともな指揮官も居なかったのか、それとも現場の判断でやってしまったのかは分からないけどさぁ」


 「言いたい事は分かるけど、相手さんはやっちまったんだからさ。今さら何言っても意味は無いよ。それより歩兵が雪崩れ込んだなら、そろそろ制圧は完了したんじゃない? 面倒な事はしないだろうし」


 「武装解除と買い物ぐらいかしら? 昔ならいざ知らず、今では占領地で下らない事をすれば大問題になるからね。国の威信が地に落ちかねないし、そうなると下らない事はさせないでしょ」


 「というより、食料を買ったら先を急ぐんじゃない? そもそも強襲してる訳だから、時間を掛けると態勢を整えられかねないしさ。東から兵を回されると面倒だよ?」


 「確かにね。主力が東で戦ってるから西には兵が少ないんだし、東の主力が回ってきたら結構な損害を受けると思う。何より森に入ると途端にこっちが不利になるだろうしね」


 「森の中のエルフは厄介なんでしょ? 何でも色々な罠とか張って待ち構えてるって聞くし、その罠に掛かってる間に弓で攻撃されるらしいし。流石に罠とか知らない歩兵じゃマズくない?」


 「それはもう仕方がない。それがエルフィンのエルフだし、そういう戦争の仕方をするって知ってる筈だよ。兵士だって知ってるだろうし、そういう奴等と戦うんだっていう自覚もあるだろうさ」


 「ま、そうだよねえ。………輜重が動き始めたね? ああ、食料の確保か。私達もしておいた方が良いかな?」


 「そうだね。でも、軍が先だろうし、おそらく碌な物が残ってないと思うよ? 食料の購入は諦めた方がいいかもね。一応は見て回るけど」



 ミク達は町に入る気も無かったので、ゆっくりと座って待っていると、残っている輜重が昼食の用意を始めた。もうそんな時間かと思ったミクは鍋を出し、干し肉を入れて放っておく。


 まないたを出したら全粒粉と塩と水で練り、生地を作ったら休ませる。鍋の水を沸かし、更に干し肉を投入して煮込み、ある程度柔らかくなったら野菜を投入。そして煮込む。


 フライパンでは獣脂を溶かして猪肉を炒めつつ野菜を投入。更に炒めていく。終わったら木皿に盛り、休ませていた生地を伸ばす。後は昨日と同じようにチャパティを焼き、鍋の加熱を止めて香辛料で味を整えれば完成。


 昼食が出来たので呼び、食べていると他の探索者がチラチラ見てくる。相変わらず簡易食料の煮込みを食べているらしいが、そろそろ飽きてきたのだろう。とはいえミク達が分けてやる理由など何処にもない。


 そう思っていると、オドーが獲物を持ってやってきて血抜きを頼んできた。ミクは了承し、レティーに血抜きを頼む。それを見ながら食事を終えたミクは、シャルの所へ行って来ると言い歩いて行った。


 アレッサもティアも食事を続けながら見送り、オドーは「いいのか?」と思いながらも血抜きが終わるのを待つ。



 ◆◆◆



 戻ってきたミクはドンナを連れており、そのドンナはちょっと元気が無かった。理由は血を飲んでいないからであり、シャルがあの状況なので血を飲みづらいのだ。もちろん食事でも栄養補給は出来るのだが、戦場で出る食事が栄養バランスに優れている訳がない。


 なので元気が無く、このままでも困るのでシャルはミクにドンナを渡したのである。で、渡されたミクは食事の終わっていた食器などの後片付けを終えると、近くの林などに行って魔物を狩ってくると出かけた。


 ミクならいつでも戻ってこれるので気にせず見送ったアレッサとティア。説明されれて問題が無いと分かった<鮮烈の色>も気にしなくなり、輜重が出発し始めたのでシングルホーンに合図を出し、馬車を出発させた。



 ◆◆◆



 一方その頃のミクは林の中で魔物を狩り、血抜きをドンナにさせていた。味覚のあるドンナは好まないものの、血の栄養を受けて随分と回復したようである。お腹が減るという事は無いが、栄養不足に陥る事はあるのだ。



 『だから気をつけてもらわないと困るの! シャルはあの老人と話してるし、何か難しい事を話しているから仕方ないんでしょうけどね!』


 『まあまあ。主が血を飲ませてくれた御蔭で随分と元気が出てきたじゃないですか。とりあえず落ち着いて下さい。シャルだって立場がありますし、仕方がない事もありますよ』


 『それは分かってるけどさー。それにしても美味しくないけど栄養価はそれなりだね、この鹿。意外と言ったらなんだけど、色々な物を食べてるっぽい』


 「ふーん。とにかくドンナが血を飲み終わったら、肝臓と心臓だけ貰っていこう。後の内臓は要らないから捨てて、肉とかだけは持っていくかな?」


 『そうですね。他には大した者が居なさそうですし、振動も感じません』


 『うん。感じないね。空気の揺れも変なのは無い感じ。たまに妙に高い音で会話してるヤツとか居るよね』


 『居ますね。魔物の中にも音で会話のようなものをしているのが居て、驚いた事がありますよ』


 「あー、あるある。原始的なものなんだろうけど、高周波みたいなので感情のやりとり程度はしてるんだよねー……って言ってたら何か来た。生命力が近付いてくるから気をつけようか?」



 ミクがウォーハンマーとカイトシールドを出して構えると、林の奥から現れたのは熊の魔物だった。そいつはゆっくりと歩きながらミクに近付き、一定の距離まで近付くと立ち上がって威圧を始める。



 「Guooooo!!!!」



 渾身の咆哮だったのかもしれないが、そんなものに怯える者などここにはおらず、即座にミクのウォーハンマーが熊の左足に叩きつけられる。巨人素材のウォーハンマーの威力は高く、その一撃で熊の左足は潰れた。



 「Gyaaaaa!!! ga!?」



 倒れて悲鳴を上げる熊。しかしそんな隙を見逃すミクではなく、無慈悲にも頭にウォーハンマーは振り下ろされた。その一撃で脳を破壊、熊の魔物は即死して戦闘は終了する。


 レティーとドンナに血抜きをさせ、終わったら肝臓と心臓を抜き出す。腸などの残りの臓器は捨てていき、アイテムバッグに詰めたらミク達は戻るのだった。


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