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0363・最初の町の門への攻撃開始




 ミク達が話している間にも、軍の前方では降伏の使者を送り、それが拒否された場合の作戦会議が行われていた。暑いのでテントなどはなく、適当に座り込んでの話し合いだ。その中にシャルとアリストラは居た。



 「将軍、その者はいったい……?」


 「この人物はワシの相談役になってもらったシャルティア殿だ。相談役なのでここにおる。それ以上の質問は無用だ、早速会議を始める。降伏の使者は出したが皆も知っての通り、あんなものは一応の建前に過ぎん。蹴ってくるのは確実として、あの町をどう攻めるかだ」


 「そこまで大きな町ではないのです、基本通りに攻めればよいのでは? そこまで苦戦するとも思えませぬが……」


 「将軍はわざわざ会議を開かれているのだ、他に何か意見がないか聞かれておられるのであろう。私としましては魔法使いのみで牽制をする方が良いかと思います。無駄に矢を使っても、帰ったら面倒な事を言われるだけですからな!」


 「しかし向こうには矢ぐらいあるだろう、エルフィンの町なのだ。必要な経費としてある程度の金銭も支給されておる。それで矢を買えば済むであろうし、戦場の矢を回収してもよい。使える物はあろう」


 「我がフィグレイオ軍がそのような浅ましい事をするというのか? 貧しき国だと思われたら如何する!? 左様な事など出来ぬわ!」


 「しかしな。金銭はあるとはいえ無闇に使えば、それも評価を下げる理由にはならぬか? さりとて魔法使いだけで突破できるとは思えん。魔法ならばエルフの方が上手なのだぞ?」


 「むう……それは確かにそうであるな」


 「攻めるのは間違いない。されど出来得る限り短期間で、かつ被害を少なくして勝利する必要がある。でなきゃ次の町に進む前に疲弊して戦争どころじゃなくなる。2000の兵で来て戦えるのは1500ほど。そのうち歩兵が1000で魔法使いが200、弓兵が300かい」


 「相談役殿はどう思われる?」


 「最初から弓兵を投入するのは正しい。戦場で手を抜く阿呆は殺されても文句は言えないからねえ。とはいえ、町を制圧するには歩兵が入って制圧するしかない。中の物資をどれだけ買うかは後にして、出来得る限り被害を少なくする方法はある。あるんだけどねえ……どうするか」


 「出来れば話を聞かせてほしいのですがな?」



 何故かガルドクス将軍が目上の者のように話す女性。流石に周りの軍幹部も横から口を出したり挑発などしない。何より驚くべき程の覇気を纏う人物である為、迂闊に口出しする事すら躊躇ためらわれた。


 歳のいった幹部の中には”とある人物”を想像してしまった者もおり、それが余計に口を挟めない空気となっている。



 「いや、そこまで難しい事じゃないさ。ミク達に依頼すれば町の門ぐらい簡単に破壊してくれるんだけど、流石にそこの功績を探索者にとられたら困るだろ? あたしもゴールダームの第7エリアを攻略したけど、その時に<鮮血の女王>から魔法を習ってるからね。それをブッ放せば門は開くんだよ」


 「…………いや、流石に駄目ですな。功績を探索者に持っていかれては、帰った後で何を言われるか分かりませぬ」


 「なら魔法使いで攻撃させて、駄目ならミク達に頼むかい? 結局のところ3人を使った方が安上がりなんだよ。もちろんあたしも出るんだけどさ、戦争ってのは無駄に金が掛かるからねえ。小さい所で節約するのは間違ってない。どのみち町を制圧するのは歩兵の役目だ」


 「それは……まあ、そうですな。町の制圧の手柄があるから、門を破る所はなるべく被害の出ぬようにした、と?」


 「ああ。そう言い訳は立つだろう? ここを抜いても後2つの町を陥とさなきゃいけないんだ。こんな所で被害を出したら笑い者にしかならない。もちろん多少は出るだろうけどね。一番危険な所はなるべく被害を減らす必要がある」


 「うむむ……確かに。王都ユグルまで迫れないとなれば、そちらの方が恥となりますな。しかし、後で必ず文句を言ってきますぞ?」


 「だったら、これ以上に被害の出ない方法を出せと言えば済むだろう? 言ってくるのは新しく宰相になったオールドムか、その腰巾着どもぐらいだろうしね。だったら「次の戦争はお前らがやれ」とでも言ってやりゃいい」


 「それはスヴェスト……ゴホン! 貴女だから言えるのであって、ワシには無理ですぞ?」


 「おや、情けないねえ。どうせ将軍の枠は昨夜に1人分空いてる。適当に引いて自分の後継を突っ込みゃいいだろうに。空いた一枠は3人で相談して決めな。ガルドクスなら後ろ盾になってやれるだろ?」


 「候補はまあ、居ないでもないですがな……」



 どう考えても目の前の女性はスヴェストラ将軍だ。この場に居るガルドクスとアリストラ以外の全員がそう確信し、同時に「この戦争に勝った」と全員が思った。それ程までに<雪原の餓狼>の名前は重いのだ。



 「まだ使者が戻ってこないから適当な話が出来るけど、そろそろ答えを出しておかなきゃいけないねえ。で、どうするんだい? ここの総責任者はガルドクスだ。あたしは唯の相談役に過ぎないよ?」



 そう言いながら、シャルはニヤニヤとガルドクスを見る。ガルドクスは苦笑しつつ、先ほどの話し合いで既に決まっていた事を口にする。



 「まずは我が軍の魔法使いに門を攻めさせる。それで突破できぬなら、相談役のお仲間に頼み門を破壊していただく。しかしその後は我が軍の本領を発揮せねばならん。皆の腕の見せ所ぞ、よいな!」


 「「「「「「ハッ!!」」」」」」



 その場に居たガルドクスも幹部連中もニヤニヤしている。この先どうなるのかと思って出陣してきたら、何故かスヴェストラ将軍が居るのだ。かつてとは見た目が違うものの、その覇気と態度に言葉使いは懐かしきものがあった。


 たった1ヶ月半ほどであるにも関わらず、こんなに懐かしさを感じるものかと驚いてもいるのだ。だからこそニヤニヤが止まらない幹部たち。かつての戦争が頭の中に駆け巡っているのだろう。それらの戦場と変わらないのだ、今も。


 その時ちょうど使者は戻ってきたが、やはり町の者達は拒否したとの事。



 「それでは始めるぞ! こんな所で時間を喰ってなどおれん。早々にアレを制圧し、我らは先へと進軍する! 各々油断せぬように、己の職責を果たせ! よいな!!」


 「「「「「「「「「おおーーーっ!!!「」」」」」」」」」」


 「では行くぞ! 魔法隊前へ! 門へ魔法攻撃を集中させ、こじ開けるぞ!!」


 「「「「「「「「「「うおぉーーーーっ!!!」」」」」」」」」」



 先陣をたまわるのはほまれである。そういう時代でもある為、魔法使いの部隊は士気も高い。とはいえ他の部隊の嫉妬は少なかった。あっても精々弓兵の部隊からぐらいである。そんな魔法隊は、町の門にギリギリまで近付いて魔法を放つ。


 門には木製と鉄製があるが、エルフィンでは木製の門が多い。たとえばゴールダームは全て鉄製の分厚い門だが、これは都市国家と変わらないから出来る事でもある。ドルム地下王国でも、全ての町の門が鉄製なんて事は無い。


 それでも地下にある町は全て鉄製なので、それだけでも凄い事だと言える。それぐらい重厚に鉄を使った門はお金が掛かるのだ。


 そして目の前の町の門も木製である為、魔法使い達は【火弾】を連射して門に火を着けようとする。遠くから火を着けるには、それだけ多くの魔力を篭めて飛ばさなければいけない。


 そして門近くになると威力も衰える。魔法使い達の【火弾】は、町の守備兵達の【風壁】に完全に阻まれてしまうのだった。


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