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0362・エルフィン最初の町




 「おはよー……なんだけど、相変わらずそれ好きねえ。何が気に入ってるのか知らないけど、体が鍛えられてるとか言ってたから、それはそれで良いのか」


 「おはようございます。……コロンと転がるところが可愛いですけど、やってる事は鍛練のような遊びなんですよね。別に遊びが悪い訳ではありませんし、楽しく鍛えられるならそれが一番でしょうけど……」



 これを鍛練と呼んでいいのだろうかと首を傾げているが、楽しかろうが辛かろうが鍛えられればいいのであって、そこに大きな意味は無い。続けるのに楽しい方が良いのであれば、楽しい鍛え方をすれば良いだけである。


 自分を追い込んで悦に入るのが楽しい者も居れば、普通に楽しい方が続く者も居る。それぞれが楽しいと思う方法で良いのだが、最低限やらねばならない事や覚えなければいけない事があるのだ。それだけは苦しくともやるしかない。



 「体の使い方とか武器の使い方とか、最低限の基本部分は辛くて苦しくとも学ぶしかない。基本が出来ていないと、その上に何を乗せても上手くはいかないし優秀にもならないからね」



 そう話しつつ【浄滅】を使って皆を綺麗にし、話の続きを行っていく。綺麗になった2人は狐の毛皮をアイテムバッグに仕舞いはじめたので、ミクも狐の毛皮を仕舞っておく。一応は第7エリアの物なので価値は高い。場合によっては狙われる代物である。


 アレッサとティアが話し合い、流石にそろそろ<鮮烈の色>を起こした方が良いとなったので、4人を起こしていく。まだ少し眠そうだが起きた4人は、既に明るい事に驚き、すぐにやるべき事を始める。といっても朝食の準備だ。


 ちょうどフィグレイオの輜重隊も動き出したので、どうやら軍の朝食作りを始めるようだ。シャルは戻ってこないので朝食作りを始め、鍋に水を入れて海老と蟹の身を投入しておく。


 まないたで全粒粉と塩と水を混ぜて練り、生地を作ったら休ませる。その後は生地を薄く伸ばして作っていき、終わったらフライパンを出す。獣脂を入れてフライパンを熱し、溶かしたら生地を焼いていく。


 チャパティが焼きあがったらまないたに乗せていき、終わったら鹿肉を全て焼いていく。幾らアイテムバッグの中とはいえ、日にちが経ちすぎると食べられなくなる。できれば今の内に鹿肉は終わらせておきたい。


 適当な香辛料を掛けて焼き、十分に焼けたら加熱を止める。瞑想の練習中に作っておいた木皿を取り出したら、チャパティを乗せ、その上に焼いた鹿肉を乗せていき、最後に生野菜を切って乗せれば完成だ。


 鍋の水を沸騰させて野菜を入れて煮込んでいたが、そちらも完成したので最後に香辛料を少々掛けておく。蟹の身が良い匂いをさせているスープも完成したので椀に盛り、ようやく朝食が完成した。


 <鮮烈の色>の所に朝食を取りに来た連中がジト目で見てくるものの、ミクは相変わらず完璧にスルーしている。3人と1頭の分を分けて余った物は<鮮烈の色>に渡しておく。


 それで良いのかと思うも、自分達で作った簡易食料の煮込みと共に食べているようだ。合うのか不思議だが、本人達が気にしていないので良いのだろう。


 食事も終わり、ミク達はそれぞれの馬車の点検に出る。それぞれの馬車に<鮮烈の色>のメンバーが行き、一応シングルホーンの状況と馬車のチェックを行っていく。突然壊れたりしたら目も当てられないので、ここは念入りにだ。


 問題ない事をチェックし終わったら、後はフィグレイオ軍が出発するのを待つ。馬車の近くで適当に雑談などをしつつ、<鮮烈の色>はセリオと遊んでいた。当たり前だがパワーが強いセリオは、がっぷり四つに組んでセティアンと力比べをしている。



 「うぐぐぐぐぐ………このあたしが力で勝てない、なんて事があるなんて……!」


 『このおねーちゃん、思ってるより強い? ちょっと驚きだけど、でも僕の力には勝てないよ』



 ゼロ距離で組んでいるので押し合いのみなのだが、それでもズルズルと後退していくセティアン。全力で押しているのだが、今のセリオは体の大きさを半分ほどにしている状態だ。この状態のセリオには勝てないだろう。何より体重が違いすぎる。


 結局、決めていたラインを越えて押された為、セティアンの負けで終わる。しかし悔しかったのか再び挑み、またもやズルズルと押されていると、フィグレイオの軍が出発し始めた。


 慌てて馬車に乗り込んだメンバーは、シングルホーンに合図を出して出発する。季節的に馬車の中に居ても暑いので全員外に居たのだ。その所為で焦る事になったが、それでも全員が乗り込んでいるのは確認している。


 忘れられた者など居らず、そのまま馬車はゆっくりと進んでいき、ついにフィグレイオ軍はエルフィン1つ目の町に着いた。ここからエルフィンの王都ユグルまで3つの町があるが、それを攻め落とさないと王都までは辿り着けない。


 もちろんそれ以外にも町はあるが、おそらく多くの兵は既に東に行っているので残ってはいない筈。フィグレイオ軍はそう予想しているが、果たして本当に残っていないかは謎である。


 ミク達は前線の兵とは関係なく、後方にて輜重隊を守る。重要なのは輜重隊の守る食料であり、次に輜重隊の兵士の命だ。勘違いしてはいけないのが、輜重隊の命よりも全軍の食料の方が優先度が高いという事。


 必要ならば輜重隊の兵の命は捨て置いて、食料の方を守る必要がある。それもまた大事な事なので、先に確認しておかなければいけない。ここで個人の命の方が云々と言う者はいないので、そこは良いところであろう。



 「輜重隊も守らなきゃいけないけど、全軍の食料が駄目になったら2000の被害が出るかもしれない。1人の命と2000の命、どっちを選ぶかは当たり前の事だね」


 「それが分からない者も居るから徹底しておいた方が良いかもしれない。散発的に攻められた所為で抜かれるなんて事になったら、食料に余計な事をされるかも。泥水をブッ掛けられるとか」


 「もしくは腐った物とかカビの生えた物の混入ね。それはどんどん広がるから、一度混入させれば後は放っておけばいい。戦争ではよくある事よ」


 「輜重は軍の一番の弱点だものね。何処の軍であろうとそれは変わらない。大型のアイテムバッグを大量に持って、少ない人員で持ち運び出来るなら別だけど、そうでない限りは輜重は間違いなく弱点」


 「だからこそ何処の国も輜重の守りに頭を悩ませるんだし、私達みたいな探索者に仕事が回ってくるのよ。少しでも輜重の守りを増やさないと大変だし、探索者の中にはスキル持ちも居るからね」


 「向こうからすれば来てくれたらラッキーぐらいにしか考えていないんだろうけど、今回はアタシ達以外にミクが居るからね……」


 「輜重に何かしようと思ったら、それこそ大量の人員で奇襲しなきゃ無理じゃない? 手が足りないっていうぐらいじゃないと、ミクならどうにでもしそうだけどね?」


 「するでしょ、確実に。そしてそんな大人数をミクから隠す事は出来ないから、結局無駄って感じかしら」


 「私にも限度があるのと、おかしなスキル持ちの場合は分からない可能性があるから気をつけてほしい。多種多様なスキルが在り過ぎて、私も全ては知らないからね。場合によれば、何もかもを隠蔽するようなスキルも想定しておいた方がいいかも……」


 「それはそれで厄介だけど、そんな奴が居たら流石に諦めるしかないわね。流石にどうにもならないし、自分達がどうにも出来ないのは考えても無駄でしょ」



 確かに無駄かもしれないが、対策を考えるのは無駄ではないだろう。しかしそれは発見できたらの話なので、発見できない程のスキルであれば無駄かもしれない。


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